リーダーの暴走をコントロールするための2つの方法

数々の研究から、富や資格も同様の影響を及ぼしうることがわかっている。(ダッチャー・ケルトナー)

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リーダーは瞑想で自分の行動をコントロールしよう!

カリフォルニア大学バークレー校教授のダッチャー・ケルトナーカリフォルニァ大学アーバイン校教授のポール・ピフと行った実験では、低価格の自動車を運転する人は、横断歩道で必ず停止して歩行者を優先させていたました。一方、BMWやベンツなどの高級車を運転する人が停止する割合は、54%にすぎませんでした。高級車の持ち主は、2回に1回は歩行者も法律も無視していたのです。27力国で従業員を対象に行った調査では、裕福な人は、賄賂や脱税など非倫理的な行為に手を染めることは許容されると答える確率が高かったのです。(昨日のカルロス・ゴーンのブログをご参照ください)

カナダのモントリオール高等商業学院で上級研究員のダニー・ミラーを中心に行われた最近の研究は、MBAを保有しているCEOは、そうでないCEOよりも、自分の報酬は増えるが、会社の価値が下がる原因となる利己的な行動を取る可能性が高いことを示しています。リーダーはしっかりと自分をコントロールしないと、この種の不正行為を犯しやすくなります。

では、このような権力のパラドックスに陥るのを避けるためには、何をすればよいのでしょうか?力ギを握るのは「自覚と行動だ」とダッチャー・ケルトナーは言います。自分の感情や言動を冷静に見つめることがリーダーには求められます。

その第一歩は、自己認識を広げることです。権力を得ると、人は一種の躁状態になり、名誉や報酬を渇望し、自分は全能でリスクを取っても平気だと感じるようになります。そのような精神状態にあると、向こう見ず、無礼、非倫理的な行動を取ってしまうのです。しかし神経科学の最新の研究では、このような考えや感情と向き合うだけで、前頭葉の一部が働き出し、最悪の衝動を抑制しようとすることがわかっています。自己の感情を認識し、いま感じているのは喜びである・自信であると分類できれば、その感情に突き動かされて不合理な判断を行う可能性を減らすことができます。

自己認識を改善するためには、日々のマインドフルネスが有効です。まず、静かにくつろげる場所に座り、深呼吸をし、息を吸う時と吐く時の感情、体が受ける感覚、周囲の音や景色に集中するのです。一日に数分実践するだけで、集中力と冷静さが増すことが明らかになっています。私もマインドフルネスを実践していますが、気持ちが落ち着き、判断力を取り戻せるのでおすすめです。

 

リーダーは自分の立ち振る舞いに注意すべき!

自分の立ち居振る舞いをよく考えることも重要だ。人の話に割り込んでいないか。人が話をしている時に携帯電話をチェックしていないか。誰かにバツの悪い思いをさせるとか、面目をつぶすような冗談や話をしなかったか。職場で悪態をつくことはないか。グループの功労を一人占めにしたことはないか。同僚の名前を忘れることはないか。以前よりはるかに多くのお金を使ったり、常識を超える危険な行動を取ったりしていないか。

これらのうち少なくとも2、3の質問への答えがイエスだったら、傲慢で問題のある方法で権力を誇示する誘惑にかられている可能性が高まっています。自分をコントロールしないと部下が離れ、実績を残せなくなります。

ケルトナーは権力の座にある企業幹部は以下の3つに注意を払うべきだと述べています。
1、共感する
2、感謝の意を示す
3、寛大である
この3つを身に付けることで、最も苛烈な状況にあっても、善意に基づくリーダーシップを維持させることができるのです。

力ーネギーメロン大学准教授のアニタ・ウーリーとマサチューセッツ工科大学教授のトマス・マローンによると、理解、関与、関心、懸念をメンバーがお互いにさりげなく知らせるチームは、難解な分析問題により効果的に取り組めることがわかっています。

ささやかな形で感謝を伝えることで、ポジティブな結果を生み出せます。ペンシルバ二ア大学ウォートン校教授のアダム・グラントは、マネジャーが時間を割いて従業員に感謝すると、より生産的かつ積極的に仕事に取り組むようになることを突き止めました。

ハーバード・ビジネススクール教授のマイク・ノートンは、組織が職場で慈善事業に寄付する機会を提供すると、従業員の満足度は高まり、より生産的だと感じるようになることを突き止めました。感謝や寄付によって、チームが幸せになり、生産性が高まるのです。

共感する、感謝する、寛大になるという能力は、そうした気持ちを示す機会があるたびに、ただ社会的行動を取ることによって育むことができる。「権力のパラドックス」に陥るのを避けようと思ったら、共感、感謝、寛大さを軸とする倫理を実践することだ。それにより、あなたの周囲の人々から最善の仕事と協力の精神を引き出すことができる。あなた自身にもメリットがある。それは輝かしい名声、長期的に持続するリーダーシップ、他者の利益向上に貢献できたという至福感である。

ダッチャー・ケルトナーのアドバイスに従い、他者との関係を見直しましょう。瞑想や部下に共感することで、自分の暴走を食い止められるようになります。リーダーは自己認識を広げ、立ち振る舞いに注意すべきです。

まとめ

権力を握るとリーダーは暴走しがちです。それを避けるために、自分の行動を瞑想によってコントロールしましょう。部下に対して共感をもったり、感謝の気持ちを伝えることも重要です。寄付などの慈善活動によって、メンバーが幸福を感じ、パフォーマンスが高まることがわかっています。リーダーは感謝のある組織を目指すことで、自分の暴走を防げると同時に組織を強くできるのです。

参考図書 ハーバード・ビジネス・レビュー[EIシリーズ] 共感力

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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