Netflixのリード・ヘイスティングスの言葉から学んだこと

競争はゼロサムではないと思っている。いま、人は異なる内容の複数の雑誌を購読しているが、動画も同じことになるだろう。私の場合、アマゾンとユーチューブとネットフリックスそれぞれを契約して好きな動画を見ている。作家や俳優などクリエーターに流れるお金が増えるという点でプラスでもある。(リード・ヘイスティングス)


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Netflixの強みはコンテンツ制作とデータ分析

日経新聞NetflixのCEOのリード・ヘイスティングスのインタビューが掲載されていました。アメリカではGAFAの次に位置付けられているサブスクリプション・モデル型のコンテンツ企業の経営者が何を考えているのかがわかるインタビューでした。

先日こちらのブログで紹介したティエン・ツォゲイブ・ワイザートサブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデルでも、Netflixが紹介されていました。その本も参考にNetflixの強みについて考えてみたいと思います。1997年創業のNetflixは、映画のストリーミング配信を2007年に開始し、 この10年で有料会員をゼロから1億3000万人まで増やしました。
 
同社はYouTubeを参考にしたビジネスモデルでスタートし、AmazonやDisneyという強者との戦いを続けています。リード・ヘイスティングスは魅力的なコンテンツを提供すれば、この分野で生き残れると述べています。そのために、同社はオリジナル・コンテンツの制作に1年間に80億ドルを支出しています。このコンテンツときめ細かいデータ解析を行うことで、顧客からの支持を得ているのです。

直近にどの作品をどこまで見たかといったユーザーデータの分析も可能になった。我々はユーザーの嗜好を2000にまで細分化して整理している。世界中から集めた大量のコンテンツから、個々のユーザーに適した動画を『推薦』として表示している。

例えば、シンガポールを題材にした万人向けではないドキュメンタリー番組をNetflixは作成しています。シンガポールの文化やノンフィクションが好きな人たちは、世界中に存在し、彼らから評価されているのです。顧客や視聴データを駆使してその作品を見てくれそうな人にその作品をレコメンドしているのです。大作のドラマだけでなく、ニッチな分野の作品によって、世界のユーザーを取り込もうとしています。

 

コンテンツが世界中のクリエイターと顧客のつながりをつくる!

今日、世界中で1億3000万人の加入者がいることで、彼らは自社のコンテンツに莫大な予算をかけられるようになりました。 年間利用料の平均が100ドルとすれば、 毎年130億ドルの収入を得ることになりますが、ここから彼らは80億ドルをコンテンツ制作に注いでいます。  

番組が成功してもしなくても、  ネットフリックスにとっては、 切れのよい新しいコンテンツに投資することは、  1 新しい加入者を獲得し、  2 現在の加入者の契約を継続させるのに役立つ。しかも、その番組はいつまでもコンテンツ・リストにあり続けるのだ! (ティエン・ツォ)

新しいオリジナル・コンテンツは、新規顧客の獲得コストを引き下げると同時に既存加入者の生涯顧客価値(LTV)を高めてくれます。様々なコンテンツを追加することで、顧客の継続へのモチベーションがアップします。Netflixは、加入者ごとに、かけたお金の回収が終わるまでの時間を正確に把握しています。新しいコンテンツのための巨額の制作費は、長期的な儲けを重視しているあらわれです。

我々はコンテンツに投資するビジネスモデルだ。コンテンツは一度手にすればその後長い時間をかけて使い続けることができる。株式市場もそれを分かっており、時価総額が過去5年で10倍以上にまで膨らんだ。(リード・ヘイスティングス)

そして、今後は海外マーケットを強化することで、Netflixは成長しようとしています。アメリカ以外のマーケットは巨大で、まだまだ大きくなれる可能性を残しています。同社は世界中の人々に良質なコンテンツを提供することで、AmazonやDisneyとの戦いに勝つだけでなく、巨大なプラットフォームを作ろうとしています。

フェイスブックやユーチューブなどインターネットの利用を世界で分析すると、米国はわずか10%分しか占めないことがわかる。残る90%は海外だ。そして米国は世界人口の5%の位置付けでしかない。成長のためには世界に出ていくのは当然だ。 そして我々こそが過去に存在しなかったグローバルなテレビネットワークをつくった企業でもある。世界のユーザーに向けて良質な動画を流せる企業はほかになかった。 これが何を生むかというとつながりだと思う。異なる文化同士がつながる手立ては実はこれまでほとんどなかった。それが動画を通じて、他国の人が同じようなことで面白いと思ったり、希望を持ったりすることが分かってくる。

Netflixは動画のグローバルのコミュニティによって、世界中のつながりを生み出そうとしています。動画を基軸に世界中がつながるようになれば、Netflixはここから様々なビジネスを作り出せるはずです。同社はこの20年の間変化に適応してきましたが、今後も変わり続けることで、顧客からの支持を得られるはずです。

まとめ

Netflixは変化に適応することで成長を続けてきました。顧客から選ばれるコンテンツを作り続けることで、新規顧客の獲得と既存顧客を同時に満足させられます。このモデルを世界中に広げることで、動画のプラットフォームを強化し、つながりをつくることが同社の戦略なのです。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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