出口治明氏の「おいしい人生」を生きるための授業の書評

グーグルを見よ。人事データに国籍や年齢、性別の情報はなく顔写真すらない。これが世界標準だ。部下の年齢・性別・国籍などを意識せず、必要なことは淡々と尋ねればいい。人間は難儀なもので、時間をかけてもらえないと相手に愛着がわかない。時間をさいてくれない上司に部下は反発する。1対1で意見を聞くことは、行為そのものが、相手を尊重しているシグナルになる。急がば回れ。職場のダイバーシティ(人材の多様性)が進もうと愚直に1対1を繰り返すことが何よりも有効だ。(出口治明)


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1on1を定期的に行い、ダイバーシティ時代を生き残ろう!

先日の日経新聞に出口治明氏のエッセイが掲載されていました。冒頭の言葉はそこから引用しました。これからの企業はダイバーシティが当たり前になり、良質なコミュニケーション・スキルが欠かせなくなるはずです。その際、1on1を活用することが効果的だと出口氏は指摘します。

会社や取引先の中に、自分の課題を解決してくれる人がいるはずです。まずは、自分の味方を見つけるために、1on1を習慣化しましょう。上下関係だけでなく、横の人とのつながりを強化することで、仕事だけでなく、プライベートの悩みも解決できます。1on1というと上司と部下のコミュニケーション・メソッドだと捉えがちですが、1on1を様々な人と行うことで、自分を応援してくれる味方が作れます。彼らとの会話を通じて、新しいアイデアを生み出せるようになるのです。

1人30分など時間を決めて、部下と1対1のミーティングを持つこと。まずは相手の職務、過去にどんな仕事をしてきたのか、これから何をしたいかの3つを聞こう。これらキャリアの基本事項を押さえたうえで、職場の課題や自分に何を期待しているのか、相手の顔色を見ながら聞くといい。面白い意見を言ってくれる人や信頼できる人は必ず1人や2人は見つかる。自分なりに、その職場の地図が見えてくるだろう。

私はサラリーマンをやめ、今はコンサルタントとして独立しています。仕事の中身はクライアントの課題を解決することです。取引先との経営者と日々、1on1を行っていますが、経営者の課題を解決するために、様々な視点で答えを出すようにしています。過去の知識や経験を頭の中で結びつけながら、1on1をすることで、面白いアイデアが次々浮かぶようになりました。経営者の課題をひとつ解決するたびに、他のクライアントの課題も解決できるようになりました、1on1によって、情報のつながりを強化できるようになり、脳の働きがよくなったのです。様々な会社の経営者と1on1をすることで、クライアントの課題を解決できるだけでなく、自分のスキルアップにもつながっています。

ここまで記事を書きながら、最近出口氏の本を読んでいないなあと思い、「おいしい人生」を生きるための授業を購入しました。学生向けに書かれた本で平易に書かれていますが、素晴らしい一冊でここから多くのヒントをもらえました。出口氏は好きなことをやることで幸せになれると述べています。1on1をする仲間をたくさん持つことで、幸せな時間を過ごせます。いろいろな人の価値観に触れ、それぞれが好きなことをし、お互いに応援できるようになると幸せな人を増やせそうです。

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自分の頭で考える習慣を身につけよう!

何かの本を読んだり人から聞いたりしてもすぐにわかった気にならずに、大局的な視点に立ち、何ごとも「数字・ファクト・ロジック」を使って自分で検証する習慣をつけてほしいと思います。「数字・ファクト・ロジック」を使って、腹落ちするまで自分の頭で考えることが「おいしい生活」への第1歩となるのです。

「おいしい生活(イノベーション)」を送るためには、様々な知識と自分の頭で考える力を掛け合わせることが求められます。頭の中にたくさんの知識や情報がなければ、いくら考えても新しいアイデアは生まれません。アイデアは要素と要素の組み合わせですから、頭の中に絶えず新しい情報をインプットすべきです。

アイデアを自分だけのものにするのではなく、他者に発信することでフィードバックをもらえます。先ほどの1on1でもアイデアを積極的に話すようにすれば、人から感謝され、よいことが起こるようになります。幅広いことを学び、仕入れた情報や知識を広げることで、課題を解決できるようになります。

アイデア作りには、時間軸やエリアを広げることも重要です。視点を世界まで広げたり、時間軸を過去に延ばすことで、アイデアの幅が広がります。また、数字、ファクト、ロジックに徹底的にこだわることで、人の話を鵜呑みにせず、自分の頭で考えられるようになります。数字やデータをベースに考えるとより正解に近づけます。特に現代のように情報が爆発している時代には、重要な情報を見つける力を高め、フェイクニュースに踊らされないようにすべきです。

ただ、将来、どんな仕事が実際になくなるかの答えは、今はまだ出せません。何がなくなるか心配していてもしかたがないことです。それは、まさに「杞憂」というものです。

AIやロボティックスなどのイノベーションによって、私たちの働き方は激変することは間違いありません。しかし、未来のことばかり心配していても意味がありません。目の前の仕事に全力を尽くし、自分の評判を高めることの方が重要だと思います。周りの人に貢献することで、人から感謝される存在になれ、幸福度をアップできます。

ファクトを確認すればわかることですが、今の若い人にはチャンスが満ち溢れています。毎年200万人規模の団塊世代の高齢者が、これから続々と引退していきます。一方、新社会人はその半分の100万人弱しかいないのです。2030年には800万人もの労働力が不足するという試算もあります。こう捉えるとITの進化や失業を怖がらなくてもよいことがわかります。日本は失業率ゼロがずっと続くことになるのですから、未来をいたずらに心配するのをやめ、自分への投資を行うようにしましょう。

未来のことは正確にはわかりませんが、自分のスキルを磨いていれば、稼げるようになっている可能性が高いのです。IT社会においては、新しい仕事が次々に生まて来るはずです。社会の大きな変化に適応するために、若い人は学び続けるのがよいと思います。未来をポジティブに捉え、今自分ができることに集中すると、よいことが起こるようになります。自分の仕事に集中し、その改善に役立つことを学ぶようにしましょう。

まとめ

過去の歴史を振り返れば、わかりますが、世界は絶えず変化しています。世の中が変わるたびに、イノベーションが起こり、新しい仕事が生まれています。未来に不安を感じるのではなく、変化に適応できるようにしましょう。未来をポジティブに捉え、今自分ができることに集中すると、よいことが起こるようになります。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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