研究が明らかにした”人間にとって重要なこと”とは?上位3つは、金、人間関係、健康だ。
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人間にとって重要な3つのこと
人間にとって重要なことは3つあるとショーン・ヤング氏は、UCLA医学部教授が教える科学的に証明された究極の「なし遂げる力」で述べています。金、人間関係、健康の重要性を一つ一つ見ていきましょう。
まずはお金です。実際、金があれば必要なものや欲しいものが買えるだけではなく、気持ちも豊かになります。お金は人の感情を大きく動かします。確かに、悪い感情も生みますが、ポジティブで持続的な感情もお金からもらえます。
1994年、メキシコは経済危機に直面していました。メキシコ・ペソは急落し、メキシコ全体に経済危機を引き起こし、まともな食事もできない貧困世帯を大勢生み出したのです。エルネスト・セディージョ大統領は、国全体に広がる貧困の問題に対処するため、エコノミスト仲間のサンティアゴ・レヴィ、人口統計学者のホセ・ゴメス・ド・レオンと協力し、従来とは根本的に異なる貧困対策を打ち出しました。
それは、貧困者に食料配給券ではなく現金を渡すというものでした。その条件は2つあり、ひとつは現金を受けとった世帯は民間ではなく公共の医療機関を利用すること、もうひとつが現金をその世帯の女性のみに与えることでした。
政府は男性よりも女性の方が、支給された金で家族のために食料を買い、子供の健康を保つために使うはずだと考えたのです。しかし、メキシコ議会は大反対しました。貧困層に現金を与えれば酒や麻薬に消えるだけかもしれないし、妻に渡された金を奪おうとする夫による家庭内暴力が増えることも不安視されたのです。
大統領のチームは、議会に計画を潰されてしまわないよう、カンペチエ州で試験的なプロジエクトを実施し、効果を確認しました。その結果、同州の3万1000の人々は、支給された現金を麻薬や酒ではなく食料と医療費に使っいました。議会は納得し、プログラムの規模は拡大されることになりました。
1997年、「プログレッサ計画」と名づけられた政府公式のプログラムが開始され、30万人以上に現金が給付されました。給付対象が小学生から中学生の子を持つ母親のみであること、公共の医療施設を使わなければならないのは試験版と同じでしたが、前回よりも予防治療を重視し、栄養の乏しい加工食品ではなく健康的な食料を購入したことを証明しなければならないという違いがありました。最終的に、500万人以上に現金が給付され、その結果、貧困家庭が果物や野菜を食べる量は増え、幼児の栄養失調は減り、子供の就学率は上がり、医療施設への訪問数は劇的に増え、小児疾患の発生率は10%以上低下するなど多くの効果が出ました。
給付対象となった世帯は、プログラム終了後も以前より健康的な食料に金を使うようになったのです。このプログラムは現在でもメキシコで続いていて、金の価値を証明しています。
このエピソードから得られる教訓は、現金は人の行動を根本的に変える力があるほど重要だということだ。食料配給券とは違い、現金は貧困層を動機づけることに成功したのだ。ただし、金が誰にとっても有効だというわけではない。金はときに、私たちの望ましい行動にブレーキをかけるような働きさえする。実際、研究の結果、金よりも大きな動機づけ要因があることがわかっている。
では、金よりも重要なことは何なのでしょうか?
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良い人間関係は金よりも幸福度を高める
人生で何を重要だと見なすかは、人によって違う。その要因は、育ち方や生まれ育った国、年齢など、実にさまざまだ。それでも、科学がはっきりと示していることが2つある。幸福度に関して言えば、お金は私たちが思っているほど重要ではないこと。そして、人間関係は私たちが思っている以上に重要だということだ。
1930年代、ハーバード大学の研究チームが、同校の学生を対象にして、卒業後の人生の選択を追跡調査を実施しました。この研究は75年間続けられ、その結果、幸福な人生を送るためにもっとも重要なのは、豊かな人間関係であることが明らかになったのです
また、脳の実験からも豊かな人間関係で幸せになれることがわかりました。脳は温かさがもたらす快感と同じように、温かい人間関係に反応します。被験者にMRlで脳をスキャンされる状態で、家族や友人が書いた2種類のメッセージを読んでもらいました。1種類は「世界の誰よりもあなたを愛している」といった心のこもった(温かい)メッセージで、もう1種類は「あなたは巻き毛ですね」といった中立的なメッセージでした。
メッセージを読みながら、被験者は2つの物体を10秒間ずつ手で持つように指示されました。1つは温かいボール、もう1つは室温と同じ温度のボールでした。メッセージを読んでいる最中にどれくらい温かさを感じたか、ボールを持っているときにどれくらい人とのつながりを感じたかを尋ねたところ、「温かい」メッセージを読んだときに感覚的な温かさを感じ、温かいボールを持ったときに人との結びつきを強く感じていたことがわかりました。
つまり、「心温まる」(ハートウォーミング)という言葉は、文字通り真実を表していたのだ。被験者の脳は、2種類の「温かい」活動の最中、同じようなパターンで活性化していた。脳にとって、身体で感じる温かさと感情的な温かさは似ているのだ。これとは正反対の効果を生むのが、他者からの拒絶だ。誰かに拒絶されると、脳は身体の痛みと同じような反応をする。
ナオミ・アイゼンベルガーによる研究では、被験者は脳波を測定された状態でバーチャル・ゲームの「サイバーボール」をプレイしました。このゲームでは、プレイヤーはアバター2人と3人でキャッチボールをする。だが、ある時点で2人のアバターは被験者を無視し、自分たちだけのキャッチボールをするようになります。
被験者は悲しい気持ちになり、疎外感を感じましたが、脳波を分析したところ、被験者の脳はアバターからボールを渡されなくなったとき(他者から拒絶されたとき)に、肉体的な痛みを感じているときと同じような反応をしていたのです。
この心の痛みを抑えるために再び実験をしました。ゲームをする前にタイレノールを飲んだ被験者の脳波には、アバターに拒絶されることで生じる悲しみの反応が少なかったのです。つまり、人間関係はそれくらい重要であり、幸福感と深く結びついています。
人間関係は、金よりも強く私たちを行動に向かわせることがある。「コミュニティの力」が人の行動を大きく変化させるのもそのためだ。
健康も人間にとって重要であり、「なし遂げる力」の源になります。しかし、人は多くの間違った健康情報で失敗します。何が自分にフィットする方法かを考え、食事を改善したり、運動を習慣化しましょう。
人は、その生涯を通して、金、人間関係、健康を重要だと見なし続ける。だから、これらは行動を続けるための動機づけになるのです。お金があると幸せになれる、健康になれば良い人生が送れると考えるから、人は行動を続けられるのです。
まとめ
人間にとって重要なことは、金、人間関係、健康の3つであることがわかっています。金や健康も重要ですが、人間関係をおろそかにすると幸福になれません。人間関係は、金よりも強く私たちを行動に向かわせることがあります。「コミュニティの力」が人の行動を大きく変化させることを忘れないようにしましょう。
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