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FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略
著者:ベンジャミン・ハーディ
出版社:サンマーク出版
本書の要約
その人の能力は、才能や出自、そして意志の強さとは関係しません。重要なのはすべて「置かれた状況」、すなわち「環境」によって決まると著者のベンジャミン・ハーディは言います。自分が変わるための環境を作り出すこと(環境デザイン)で、未来を明るく変えられます。
環境デザイン力を身につけよう!
産業革命は確かにものすごい環境変化ではあった。しかしこの変化を今のグローバルな環境へと加速させたのは、1980~1990年代に始まった情報とテクノロジー革新の時代だ。技術の向上は今、飛躍的なスピードで進んでいる。しかし、この環境を形作っている変化に適応できる人間は、ほとんどいない。多くの人が、急激な環境変化の犠牲になっている。新しいルールに則った新しい世界で自分を律することができずに、様々な中毒に屈しているのだ。「テクノロジー」中毒に加え、炭水化物や糖分を多く含む「食べ物」や「カフェイン」、「仕事」といった”刺激物”に中毒している。(ベンジャミン・ハーディ)
多くの人がアルコールや加工食品、iPhoneなどのテクノロジーに依存してますが、自分の人生をコントロールしたいなら、意志力に頼るのはやめた方がよさそうです。依存症の専門家、アーノルド・M・ウォシュトン博士は、「依存症患者には意志力が必要だと考える人が多いが、それは真実にはほど遠い」 と述べています。意志力の代わりに必要なのは、環境を自分で作り出し、それをコントロールする力なのです。
目標の実現に向けて自分の決意にコミットするために、私たちは以下のステップを踏む必要があります。
・事前に「投資」する
・「公言」する
・「期限」を設定する
・「フィードバックをもらえる仕組み」や、「自分が責任を負える仕組み」
・「自分の決意に反するもの」はすべて環境から取り除くか変更する
本当の意味でのコミットメントとは、自分の中にある内なる決意や意志の強さだけに頼ることではありません。「目標を確実に達成できる環境」を自分で作り上げることで、行動できるようになります。しっかりと準備が整えば、心の底から求めてやまない目標に向かって行動を起こす以外に選択肢はなくなります。
私たちは、環境に適応する。そのため、個人レベルで意識的に進化していくには、環境を意図的にコントロールして、なりたい自分を形作ってくれる環境を構築する以外に道はない。人生にあるものはすべて、自然で有機的な働きの中にあることを忘れてはならない。私たちは自分が選んだ環境に合わせて適応し、進化していく環境があなたを作るのだ。変わりたいなら、自分の環境を変えよう。意志力でなんとかするなんて考えは、もうやめよう。
成功せざるを得ないような状況を作り出すという環境デザインを行うことで、自分の行動を変えられます。仕事に集中したいなら、「気が散ってしまうようなもの」は物理的にもデジタル的にも仕事環境からすべて取り除くようにします。健康的な食生活を送りたいなら、自宅にある「不健康な食べ物」をすべて取り除けばよいのです。モチベーションが欲しいなら、今よりも多くの「責任」を背負い、成功と失敗どちらのリスクも上げるようにしましょう。
人間の内面と外面は互いに作用し合います。たとえば、付き合う人たちを変えるなどして自分の環境を変えると、自分の考えや感情も変わります。こうした内面的な変化によって自分の価値観や願望が変わり、そのため今度は自分の外の環境をさらに変える必要性が出てくるのです。つまり環境に変化を加えることで、自分の姿を積極的に形作っていけるのです。
自分の世界観は、外から入ってくるもの(受け取る情報、付き合う人たち、訪れる場所、経験することなど)を自らの手で積極的に形作っていくことで構築されるものだ。
人生を変えたければ、自分の役割を変え、環境を変えればよいのです。特定の人物や場所と物理的に距離を置き、同じ役割とパターンから抜け出しましょう。 自分の役割を、突然かつ劇的に変えることで、自分の未来を変えられます。
私はお酒をやめる時に、この環境デザインの手法を使い、自分の役割を変えました。家中にある酒を全て捨て、行く場所、付き合う人、行動する時間帯を変えました。朝型の生活を習慣化し、朝の勉強会を主宰することで、私は自分のビジョンを見つけ、お酒だけでなく、サラリーマンを辞めることができたのです。著者や社外取締役になれたのも、環境デザインという考え方のおかげです。
環境が人生の可能性を広げる!
「環境」や「状況」を敵に回すのではなく、自分が人として本当に変われる唯一の手段は、実は環境作りなのだと気づくことが大切だ。新しい情報、新しい人間関係、新しい経験は、自分が変わるための手段だ。人生という豊かな庭園を作るには、自分の環境の中から適切な種を集めて蒔かなければならない。
歴史家のウィリアム・デュラントは膨大な年月をかけて研究し、歴史とは、偉人(ヒーロー)たちによって作られたものではないことを発見します。歴史とは、「偉大な人物」によって作られるものではなく、「困難な状況」によって作られるとデュラントは考えたのです。すばらしい何かを作るもっとも重要な材料はたったひとつ、「必然性」だったのです。
デュラントはヒーローは環境によって生み出されると述べています。世の中が悪くなった段階、どうしようもない環境の中で、それを解決するヒーローが登場するのです。
ヒーローとは、ヒーローという存在だから生まれた結果ではなく、”状況が生み出したもの”だ。差し迫った必要性があれば、人は並外れた能力を発揮する。(略)ヒーローの役割とは、自分が持てる潜在能力をすべて発揮しなくてはならないような”状況に立ち向かうこと”だ。(略)状況に求められれば、平均的な人でも倍の能力を発揮できると私は思う。(ウィリアム・デュラント)
ヒーローは差し迫った必要性、大きな課題を解決するために、とてつもない力を発揮できたのです。
環境は、人生のあらゆる面を作り出します。「収入」から「価値観」、「ウエストの太さ・細さ」から「趣味」に至るまで、環境が左右します。あなたが抱くあらゆる考えは、あなたがそれまでに触れてきたものからやってきます。あなたがどういった人物になるか、そして人生をどう過ごすかは、あなたの周りにいる人たちや、あなたが消費する情報の質に左右されます。
今までと同じ環境から抜け出せずにいるために、多くの人は自分を変えられません。ほとんどの人は自分の能力を発揮せずに控えめに暮らしています。自分の才能を求められるような環境にいないために、自分の可能性を自ら閉じているのです。人生を変えたければ、自分の環境と役割を見直しましょう。本書には環境を変え、人生を変えた人たちのエピソードや研究結果がいくつも紹介されています。自分の環境を変え、新たな旅に出かけましょう!
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