縁リッチメントで運を高める方法!杉浦正和氏の幸運学 不確実な世界を賢明に進む「今、ここ」の人生の運び方の書評


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幸運学 不確実な世界を賢明に進む「今、ここ」の人生の運び方
著者:杉浦正和
出版社:日経BP

本書の要約

新しい縁をつないで広げていきながら、既にあるご縁を一層大切にする「縁リッチメント」によって、運を高めることができます。その際、ウィーク・タイ・ストロング理論を活用しましょう。異なるネットワークをいくつも持ち、価値を提供することで、成功する確率を高められます。

運を高めるために、「縁リッチメント」を築こう!

「弱い紐帯が、強さを持っている」という事実は、異なる人的なネットワークを、ウィーク・タイの人が橋渡ししてくれることを意味しています。(杉浦正和)

早稲田大学ビジネススクールの教授の杉浦正和氏の幸運学 不確実な世界を賢明に進む「今、ここ」の人生の運び方書評を続けます。今日はソーシャル・ネットワーク時代に必須な理論である「ウィーク・タイ・ストロング(弱い紐帯の強み)」を取り上げます。

人間関係には、ストロング・タイ(強い関係性)とウィーク・タイ(ゆるやかな関係性)があります。ストロング・タイとは家族や親戚、親友、会社などでの近しい人間関係ことで、ウィーク・タイとは友達の友達などの緩い人間関係のことを指します。

マーク・グラノベッターは、ウィーク・タイ(弱い紐帯)こそ、人的なネットワークにおいては強みがあると論じました。グラノベッターの人的関係の網目の構造についての研究は「ネットワーク論」として盛んになり、1990年代には「社会資本(ソーシャル・キャピタル)」の概念が発達しました。

アメリカの政治学者ロバート・パットナムは、ソーシャルキャピタルの考え方を広めた立役者です。パットナムは、社会がうまく回るのはみなが協調し合うことであり、それを促すのは、信頼や規範、そしてネットワークであると論じたのです。

ソーシャルキャピタルが充実していると、自発的な相互協力が行われ、相互信頼が醸成されて、いわば社会全体が幸運な状態となっていきます。ソーシャルメディアの普及で、豊かな人間関係は、社会だけでなく、個人にとっても大切な資本になっています。SNSとリアルで良い縁をつなぎ、ウィーク・タイを強化することで、様々な課題を解決できるようになったのです。

縁をつなぎ、人脈をディベロップしていくことは、次の2重の意味で運を拓きます。縁や人脈は、弱いものであっても何か次の機会をもたらす可能性があります。良い縁や人脈を得ることは、そのこと自体が幸運なことです。私はそれら両方の意味を込めて、「縁リッチメント」と名付けました。

「縁リッチメント」には、次の二つの方向性があります。
・新しい縁をつないで広げていく
・既にあるご縁を一層大切にする
著者はこの縁リッチメントが、運をディベロップしていくと指摘します。

ポジティブ・ゴシッピングでよいネットワークを築こう!

「ポジティブ・ゴシッピング」という言葉があります。「前向きな噂話」という意味です。オハイオ州立大学の実験から、他人のことを積極的に褒めるような噂話を流す人ほど親密感を持たれ、悪い情報を流す人ほど嫌悪感を持たれる傾向があることがわかりました。

他人について褒めたり良い噂話(ポジティブ・ゴシッピング)をすると、それを言った人が好かれます。逆に、他人について悪口を言ったり、悪い噂話(ネガティブ・ゴシッピング)をすると、それを言った人が嫌われてしまうのです。誰かから第三者の悪口や陰口を聞いて、一緒に悪口や陰口を言った場合も、好感度は下がります。

私たちは、悪い噂という内容に対してではなく、単に相手の苦労に共感を示そうとして、悪口や陰口に同意してしまうことがあります。しかし、これに同意することで、自分の評判を下げてしまいます。悪い噂を相手と一緒に言うのはやめ、「それは苦労されましたね」と、苦労に対する共感を示せば良いと著者は言います。

人との会話においては、ネガティブ・ゴシッピングは行わず、ポジティブ・ゴシッピングを心がけると決めておけば良いのです。共通の知人などについてポジティブ・ゴシッピングを行うのは、良い効果をもたらします。

ポジティブ・ゴシッピングが効果がある理由
・会話の内容がポジティブになって楽しくなるから
・会話の相手は内容と経験の両方について共感できるから
・他人の良い面を見つけるようにしている人だとの印象を与えるから
・自分のいないところで自分の悪口は言われないという安心感を相手に与えるから

それらに加え、5つ目の理由として「本人へのグレープバイン効果」があります。グレープバインとは、ぶどうの蔓のことで、噂が伝わる経路を意味します。「噂で聞いたんだけどさ」というのを英語で「ぶどうの蔓を通して(汁丁「through the gravevine」と表現することから著者が名付けました。

「あの人のことを褒めていたっていう話を伝えたら、とっても喜んでいたよ!」そう言われて嬉しくない人はいません。褒めた人と褒められた人は、ぶどうの蔓を介してとても良い関係に発展していきます。同時に「人を褒める人」という評判が、ポジティブ・ゴシッピングとして周りに伝わっていきます。自分が人のことをどう言うかをマネージすることで、良い縁を広げる機会にできるのです。第三者の前で仲間を褒めることを習慣にしましょう!

人を通しての機会のつながりは、「ネットワーク効果」によって幾何級数的に増えます。ネットワーク効果とは、プラットフォームを利用するユーザーの数が増えれば増えるほど、プラットフォーム自身の価値が高まっていくことです。

このネットワークには「メトカーフの法則」と呼ばれるものがあります。「ネットワークの価値は、接続されているシステムのユーザー数の2乗に比例しますから、より多くの人とのつながりを築きましょう!ネットワークは「縁」であり、人間同士のつながりの機会です。自分自身が縁に恵まれた状態にあるのと、そうでない状態にあるのとでは、良い機会の出現率が全く変わってきます。よいつながりを増やすことで、よいウィーク・タイが生まれます。他者のために貢献し、良い評判を起こすことで、縁リッチメントな状態になり、運が高まります。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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