クラウス・シュワブの第四次産業革命 ダボス会議が予測する未来の書評


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第四次産業革命 ダボス会議が予測する未来
著者:クラウス・シュワブ
出版社:日本経済新聞出版社

本書の要約

現代は第四次産業革命のさなかにあり、この革命を通じて、ビジネスや経済、社会、そして政治は劇的に変化しています。変化の中で生まれるチャンスをつかむ一方で、今後予測される課題を解決するために、私たちは準備を怠らないようにすべきです。

第四次産業革命とは何か?

第四次産業革命では、大きな利益がもたらされるが、それと同じくらい大きな問題が生じることにもなる。とくに懸念されるのは、不平等の悪化だ。不平等が高まることによる問題は、私たちの大半が消費者であり生産者でもあることから定量化が難しく、イノベーションと破壊が私たちの生活水準と幸福に好影響と悪影響の両方をおよぼすことになる。(クラウス・シュワブ)

第四次産業革命というキーワードがメディアに頻繁に登場しています。テクノロジーが劇的に変化する中で、私たちの生き方、働き方も変わらざるをえません。少し前の本ですが、今日はクラウス・シュワブの第四次産業革命 ダボス会議が予測する未来をテキストにして、私たちの近未来を考えたいと思います。

著者は、ダボス会議(世界経済フォーラム)の創設者として有名ですが、ダボス会議でグローバルエリートと行ったディスカッションを基に、来るべきメガトレンドを予測しています。第四次産業革命によって、多くのメリット・デメリットが生まれ、経済、政治、雇用は激変してます。

この動きの中で、最も得をしているように見えるのは消費者だと著者は指摘します。第四次産業革命は、実質無料で消費者の個人生活の効率を高める新たな製品やサービスを可能にしました。タクシーを予約する、フライトを確保する、製品を購入する、支払いを行う、音楽を聴く、映画を見るどれもいまやスマホ一つで可能になりました。インターネット、スマートフォン、数千ものアプリは、私たちの生活を楽にし、生産性を高めていることは間違いありません。

第四次産業革命により生じた問題のほとんどは、供給側(すなわち労働と生産の世界)で起こりました。過去数年にわたり、最先進国の圧倒的大部分や、中国のような成長著しい経済大国で、労働分配率が大幅に低下しました。第四次産業革命の大きな受益者は、知的資本または物的資本の提供、プラットフォーム効果の結果、少数の強力な独占的プラットフォームへの集中が起きたのです。GAFAが強くなることで、価値と利便性は高くなる一方、コストは低く抑えられたため、消費者はこのメリットを享受しました。

しかし、価値と権力がごく少数の人々に集中するという問題点が新たに生じました。強力なグローバルなプラットフォーマーが台頭することで、経済、社会、政治システムに影響をおよぼすしています。破壊的なテクノロジーが、いつ、どのように、どんな影響をおよぼすのか?ということを現代の経営者や政治家は考えなければなりません。破壊が起こることを前提に、政策の選択肢を増やし、備えることが求められています。

破壊が現実であり、破壊が私たちにおよぼす影響が不可避であるといっても、それに直面する私たちが無力だというわけではない。政策の選択肢を増やし、第四次産業革命をすべての人々の機会とする変革を実施するために共通の価値を築くのは私たちの責任である。

プラットフォーマーやイノベーター、投資家、株主が強者になる中で、労働に依存する人々と資本を所有する人々の間に、猛烈な格差が生まれています。実質所得が一生増えないことや子供たちの暮らしが自分たちよりよくならない可能性があると確信した多くの労働者の間に幻滅感が広がっています。一握りの人々に利益と価値が集中する状況は、いわゆるプラットフォーム効果によりさらに悪化しています。

第四次産業革命と高齢化が経済に及ぼす影響

今後の世界の人口は現在の72億人から2030年までに80億人、2050年までに90億人に達すると予想されています。これは総需要の増加につながるはずですが、高齢化という問題が顕在化します。一般には、高齢化の影響を受けるのは主に豊かな欧米諸国だと考えられていますが、アジアや南米でも人口の高齢化問題が起こりつつあります。

高齢化は経済問題である。高齢者を労働力として貢献可能にすべく大幅な定年の引き上げ(多くの経済的利益をもたらす経済的緊急課題)を行わないかぎり、労働年齢人口の減少と扶養高齢者の増加が同時に起きるからだ。高齢化が進み、若年成人が減少するにつれ、住宅や家具、車、電化製品など高額商品の購入は減少する。さらに、高齢労働者は持てる資産を新規事業の立ち上げではなく快適な老後のために維持する傾向にあるため、リスクを取って起業する人が減るだろう。

著者は高齢化は経済問題だと指摘します。一般的傾向として、高齢化社会では技術革命が生産性の大幅な向上をもたらさないかぎり(さらに懸命に働くのではなくスマートな働き方を見つけないかぎり)、成長は鈍化する運命にあります。第四次産業革命によって、私たちはより長く、より健康に、より活動的な生活を送れるようになりますが、高齢化が新たな問題を引き起こします。

先進国は今日生まれた子供の4分の1以上が100歳まで生きると予想されるような社会になっているため、労働年齢人口、定年、個人の生活設計といった問題を再考する必要があります。人生100年時代のライフプランを作り、新たな時代に適応するために私たちは学び続ける必要があります。変化を恐れず、転職や起業を選択肢にすべきです。

イノベーションが人々の働き方を変える!

過去10年間、技術進歩やイノベーションへの投資の飛躍的な伸びにかかわらず、世界の生産性(労働生産性または全要素生産性[TFP])は低迷しました。技術革新は生産性向上につながっていないのです。生産性は長期的な成長と生活水準の向上の最も重要な決定要素なので、第四次産業革命を通じてこの生産性の低さが維持されると、長期的成長も生活水準向上のいずれも享受できなくなります。

新しい製品やサービスの多くは「非競合性」があり、限界費用ゼロ、デジタル・プラットフォームをベースとした競争の激しい市場、そしてそれらがもたらす低価格が特徴になります。私たちは第四次産業革命のごく初期段階にあり、その価値を存分に享受するためにはまったく新しい経済的および組織的構造が必要となるのです。

社会の構造的要因(過剰債務、高齢化社会)と体系的要因(プラットフォームおよびオンデマンド経済の導入、限界費用逓減の妥当性増加など)の組み合わせは、経済学の教科書の書き直しを今後迫るはずです。第四次産業革命は、経済成長を推進し、私たち全員が直面している地球規模の大きな課題のいくつかを緩和させる可能性を秘めています。しかし、第四次産業革命には悪影響があることを忘れてはいけません。とくに不平等、雇用、労働市場への悪影響を認識し、それに対処する必要があります。

テクノロジーやイノベーションはは労働の性質を劇的に変えます。エマージングテクノロジーが労働市場におよぼす影響に対する予測は2つの陣営に分かれます。
1、ハッピーエンドを信じる人々
技術により職を失った労働者が新たな仕事を見つけ、技術が新たな繁栄の時代をもたらすと彼らは考えています。2、大規模な技術的失業の発生により段階的に社会的、政治的なハルマゲドンに至ると信じる人々

歴史を紐解くと、結果はその中間になる可能性があります。技術革新というものは、一部の仕事を奪う一方、別種の新たな仕事を生みします。19世紀初頭の米国では農業従事者が労働人口の90%を占めていたのに対し、現在では2%未満になっています。こうした劇的な削減は比較的スムーズに行われ、社会的混乱や特定地域における失業も最低限に留まりました。

外部にiPhoneのアプリ開発が許されたのは2008年でしたが、2015年半ばまでに世界のアプリ経済は売上高1000億ドルを突破し、100年以上の歴史を誇る映画業界を越えました。ハッピーエンドを信じる人は、技術は破壊的ですが、技術が常に生産性向上と富の増加をもたらし、製品やサービスに対するさらなる需要と、それを満たすための新たな種類の仕事を生み出すと主張します。

しかし、いまのところの兆候として、第四次産業革命では過去の産業革命時よりも新産業で生み出される仕事が少なく終わりそうです。「テクノロジーと雇用に関するオックスフォード・マーティン・プログラム」の推計によれば、米国の労働人口のわずか0.5%が今世紀の変わり目には存在しなかった職業に就いています。

1980年代に労働人口の約8%が新産業で生まれた職業に就いており、1990年代には同約4.5%でした。21世紀初頭のこの数字は少ないことがわかっています。直近の米経済国勢調査によると、情報技術の革新とその他の破壊的技術は、製造にさらなる労働力を必要とする新たな製品を生み出すのではなく、既存労働者を代替して生産性を向上させる傾向にあります。

技術革新が失業におよぼす潜在的影響の数値

オックスフォード大学マーティンスクールの研究者のマイケル・オズボーンは、技術革新が失業におよぼす潜在的影響を数値化しています。この研究は、米国における全雇用の約47%が今後10~20年間に消滅するリスクがあると結論づけました。

これは過去の産業革命時に起きた労働市場の変化よりはるかに速いペースで、さらにより広範囲だ。さらにこの傾向は、今後の労働市場をさらなる二極化に導き、高収入の認知的・創造的職業と低収入の単純労働では雇用が増加する一方、中所得の機械的・反復的職業は大幅に減少するだろうと予測している。

第四次産業革命は世界中の労働市場と職場に大きな影響をおよぼすことはほぼ不可避です。しかし、これは人間対機械というジレンマに直面することを意味するものではありません。実際、大多数のケースでは、現在の変化を推進しているデジタル技術と物理的技術と生物学的技術との融合は、人間の労働および認知の拡大に寄与すると見られています。これは、リーダーは労働者に対して、より優れた機能を持つネットワークに接続されたインテリジエントな機械を使って作業する心構えと、教育モデルを開発しなければならないのです。当然、労働者は自分のスキルを時代の変化に合わせて、適応させる必要があります。

時代が劇的に変化する中で、テクノロジーの変化に敏感にならなければなりません。しかし、日本政府や教育関係者は旧態依然の教育にこだわり、テクノロジーを軽視しがち、時代にフィットした教育が行われていません。イノベーションを起こせる人や使いこなせる人を増やさなければ、海外のプラットフォーマーの餌食になるだけです。

 

 

 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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