脳の老化を防ぐシンプルな方法とは?ジョン・メディナのブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産であるの書評


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ブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産である
著者:ジョン・メディナ
出版社:東洋経済新報社

本書の要約

高齢者になっても、脳を進化させることができます。脳の老化を防ぎたければ、新しいことにチャレンジすることが有効です。複数の言語を学ぶ。音楽を愛好する。読書を習慣化する。運動を日課にすることで、脳の老化を遅らせることができるのです。

高齢者になることで、進化する脳の領域

高齢者の脳には経験がぎっしり詰まっているということだ。(ジョン・メディナ)

ジョン・メディナブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産である書評を続けます。高齢者になることで、脳は当然変化します。人生で多様な経験を積むことで、高齢者の脳は2つのメリットを得られます。
1、高齢者は知識の宝庫にアクセスできますから、意思決定する際に、幅広い選択肢から選ぶことができます。
高齢者はそれを武器として、複雑かつ微妙な問題に取り組むことができます。
2、高齢者の意思決定は、衝動的ではなく、思慮に富むものになります。
高齢者の脳には多くの情報が詰め込まれていますから、意思決定には時間とコストがかかります。そのため、高齢者は愚かな過ちを犯しにくいのです。

高齢者は若者より選択肢を多く持っていますから、確立された行動のレパートリーから、ふさわしいものを選ぶことができるのです。この「より豊富なモデル」は「知恵」と呼ばれ、これにより昔から老人は尊敬されていました。

逆に、年を重ねるうちに、短期記憶は衰えます。ワーキングメモリは20代の数値はおよそ0.6ですが、40代には0.2に下がり、80歳になる頃には、マイナス0.6まで急落します。老化は短期記憶だけでなく、ある種の長期記憶にも影響を及ぼします。

それはエピソード記憶といわれるもので、様々な出来事を記憶することです。自分に起こったことを思い出すこと(情報自体)とそれがいつ起こったかを思い出すことです。

エピソード記憶の能力は、ワーキングメモリと同様、年をとると衰える。研究によれば、その能力は20歳頃をピークとして、70代までに33パーセント下がる。だからおじいちゃんは、孫娘ほどには朝食に何を食べたかを覚えていない。エピソード記憶の中でも特に衰えるのは、情報源記憶だ。あるテストでは、若者と高齢者に、複数のスピーチを観察させ、その後、スピーチの内容と、どの人がどのスピーチを行ったかを尋ねた。スピーチの内容(意味記憶)については、若者も高齢者もよく覚えていたが、話し手(情報源記憶)について高齢者の記憶はあいまいで、話し手がだれだったかを思い出すのが難しかった。話し手の性別さえ思い出せなかったが、それは認知的にははるかに容易な、部分情報源記憶と呼ばれるものだ。

年をとるとエピソード記憶に何が起きるのでしょうか?

エピソード記憶には、海馬とデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)との電気的つながりが関わっています。海馬はさまざまなタイプの記憶に関わってますし、DMNは広範な脳領域をつなぐ神経ネットワーク・グループだからです。

「デフォルト(なすべきことがなされない状態)」と呼ばれるのは、あなたが活動していない時、すなわち、退屈していたり、空想にふけったりしている時に、活性化するという特徴があります。DMNのメンバーの中でも前頭前皮質の右側の領域は、エピソード記憶と深く関わっています。空想もエピソードも物語性を持つので、同じ脳領域が関わっているのです。

年をとることで、海馬とDMNは衰えていきます。その衰えは、構造(容積の減少)としても、機能(つながりの変化)としても、確認できます。残念ながら、脳にその衰えを克服するほどの力はないと著者はいいます。意図的に何か方策を取らなければ、衰えは恒久的なものになってしまいます。ひどい脳の老化はやがてアルツハイマーを引き起こします。

脳の老化を防ぐシンプルな方法

では、どうすれば、この脳の老化を防げるのでしょうか?脳を老化させないためには、ひたすら学び続けることが重要だと著者はいいます。老化しつつある脳には、新しいことを学ぶ余力が十分に残されているのですから、新たな知識をどんどんインプットしましょう。

脳の老化を防ぐ、最も栄養価の高い学習のタイプもわかってますそれは「エンゲージメント」という心理学の概念に基づくもので、2つのタイプがあります。
1、受動的エンゲージメント
受動的エンゲージメントとは、受動的に、ゆったりと学び、すでになじみのある知識領域を刺激することです。これによって高齢者の記憶力は改善します。
2、生産的エンゲージメント
記憶力を大幅に改善したいのであれば、生産的エンゲージメントを選びましょう。生産的エンゲージメントでは、積極的に、ともすれば挑戦的に、新しい考え方を経験します。その最善の方法は、あなたとは意見が異なり、議論できる相手を見つけることです。

生産的エンゲージメントでは、あなたの仮説は異を唱えられ、あなたの展望は広がり、あなたの偏見は否定され、あなたの好奇心は刺激されます。生産的エンゲージメントを通じて、記憶の電池の消耗を防ぐことができます。テキサス大学ダラス校の研究者たちは「シナプス・プロジェクト」というプログラムを開発しました。それには受動的、生産的の2つのタイプの学習が含まれていました。

被験者になった高齢者は、3カ月にわたって週に15時間ずつ、どちらかのタイプの学習を行いました。生産的グループは、デジタル写真やキルティングといった技術を学んびました。受動的グループはただ仲良く交流しましたが、3カ月後、どちらのグループにもエピソード記憶の大幅な改善が見られました。両者を比較すると、生産的グループの改善ぶりはきわだっていたのです。実際、生産的グループのエピソード記憶の改善は、 受動的グループのそれを600パーセントも上回っていました。 

ヨハネパウロ2世の脳は亡くなるまで、良好な状態を保っていました。彼の習慣を真似ることで、年を重ねても、脳を活性化できます。
■複数の言語を扱う
■音楽を愛好する
■読書を日課にする
■運動を日課にする

12年におよぶある研究では、1日に3.5時間以上読書をする高齢者は、読書をしない高齢者に比べて、ある年齢までに死亡する確率が17パーセント低いことが明らかになりました。読む量をさらに増やせば、その数は23パーセントに増えるそうです。

読書を習慣化することで、老化を防げるという研究結果は、私のような書評ブロガーには朗報です!本書を読んで、読書のモチベーションが高まりました。

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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