タル・ベン・シャハーのハーバードの人生を変える授業2の書評


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ハーバードの人生を変える授業2
著者:タル・ベン・シャハー
出版社:大和書房

本書の要約

心理学の研究によると幸福感の40%は、選択によって決まることがわかっています。自分らしい人生を送る鍵は、今のペースを変え、自分がいま何をやっているのかを考え、自分がしている行動の意味を問うことです。本当に自分が何をしたいかを考え、選択する時間を持つようにしましょう。

人生は急ぐには短すぎる!

ただ深く考える時間が不足しているだけかもしれません。(タル・ベン・シャハー)

「人生は急ぐには短すぎる!」という言葉を作家のヘンリー・デイヴィッド・ソローが残しています。多くの人は、あまり考えずに行動し、不道徳な行為に走ったり、仕事での自己実現をあきらめたりしてしまいます。自分の価値観をないがしろにして、性急に行動することで、自分の人生をつまらなくしています。

ハーバード大学でポジティブ心理学を教える著者のタル・ベン・シャハーは、慌てて行動するよりも、ゆとりを持つ方がよいと述べています。慌てて行動するのは、自分の人格に問題があるかのように私たちは考えがちですが、実は、ただ深く考える時間が不足していただけかもしれません。 心理学の研究によると幸福感の40%は、選択によって決まることがわかっています。時間をかけずに、直感を信じたり、自分の意志とは異なる選択をすることで、人は不幸になる確率を高めます。こう考えると慌てて選択することは、リスクが高いことが理解できます。

すばやく行動に移すことは有益ですし、それが必要なこともあります。しかし現代社会において、私たちのペースはあまりに速くなりすぎていて、時にはペースを落とすほうがいい場合もあることが忘れられています。取るべぎ行動や選択について考える時間をもたなければ、いちばん手近にある目立ったものに反応してしまうことになります。その結果、自分本来の価値観に従わずに、社会からのプレッシャーに屈した行動を取ってしまったことにあとで気づくことになるでしょう。

私たちは自分の時間をコントロールすることができます。もし、いつもあなたが慌てて行動しているなら、自分との対話の時間を持つべきです。 自分の価値観を書き出し、本当にやりたいことを自分に問うようにすべきです。

自分らしい人生を送る鍵は、今のペースを変え、自分がいま何をやっているのかを考え、自分がしている行動の意味を問うことです。人生の別の選択肢を考える時間、本当にやりたいことを考える時間を持ちましょう。 視点を変え、異なる選択をすることによって、自分にとって心から満足できる仕事に携わったり、自分にとって大切な人と時間を過ごせるようになります。日々の選択を変えるために、自分の内面との対話の時間を持つようにするのです。私は朝時間を自分との対話の時間にしていますが、この時間を持つことで、正しい選択ができるようになりました。

心に余裕を持つ重要性

するとそこへ、ある律法学者が現れ、イエスを試みようとして言った、「先生、何をしたら永遠の生命が受けられましょうか」。彼に言われた、「律法にはなんと書いてあるか。あなたはどう読むか」。彼は答えて言った、『心をつくし、精神をつくし、力をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛せよ』。また、『自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ』とあります」。彼に言われた、「あなたの答は正しい。そのとおり行いなさい。そうすれば、いのちが得られる」。すると彼は自分の立場を弁護しようと思って、イエスに言った、「では、わたしの隣り人とはだれのことですか」。イエスが答えて言われた、「ある人がエルサレムからエリコに下って行く途中、強盗どもが彼を襲い、その着物をはぎ取り、傷を負わせ、半殺しにしたまま、逃げ去った。するとたまたま、ひとりの祭司がその道を下ってきたが、この人を見ると、向こう側を通って行った。同様に、レビ人もこの場所にさしかかってきたが、彼を見ると向こう側を通って行った。ところが、あるサマリヤ人が旅をしてこの人のところを通りかかり、彼を見て気の毒に思い、近寄ってきてその傷にオリブ油とぶどう酒とを注いでほうたいをしてやり、自分の家畜に乗せ、宿屋に連れて行って介抱した。翌日、デナリ二つを取り出して宿屋の主人に手渡し、『この人を見てやってください。費用がよけいにかかったら、帰りがけに、わたしが支払います』と言った。この3人のうち、だれが強盗に襲われた人の隣り人になったと思うか」。彼が言った、「その人に慈悲深い行いをした人です」。そこでイエスは言われた、「あなたも行って同じようにしなさい」。(新訳聖書 善きサマリア人のたとえ)

プリンストン大学の心理学者、ジョン・ダーリーとダニエル・バッソンは、聖書に書かれている「善きサマリア人のたとえ」に似せた実験を行いました。まずダーリーとバッソンは、プリンストン神学校の学生である被験者を無作為にふたつのグループに分けました。 第1グループは「善きサマリア人のたとえ」についての説教を、第2グループは、それ以外の聖書に関連した説教をするように依頼されました。すべての学生はある建物でこの指示を受けたあと、聴衆が待っている別の建物まで歩いて移動するように言われました。そして次の建物に行く前に半分の神学生はこう言われました。「まだ数分ありますが、そろそろ出かけたほうがいいでしょう」そして、残りの神学生はこう言われました。「遅刻です。もう数分前からみんな待っていますよ。急ぎましょう」。

建物への移動中に神学生たちは、苦しそうにうずくまっている人に出会います。それはじつは役者で、苦しんでいるふりをしているだけなのですが、被験者の神学生たちはそれを知らされていません。結果として、説教の時間まで「まだ数分ある」と言われた学生は3分の2がその人を助けるために立ち止まりましたが、遅刻していると言われたほうは10分の1の学生しか立ち止まりませんでした。

この結果は、依頼された説教が「善きサマリア人のたとえ」かどうかには関係なく、心理学者が別の機会に確認した学生たちの信心深さにも相関性はありませんでした。あとから実験の結果を知らされた神学生たちは、自分の取った行動に愕然としました。時間がないと感じ、請けおった仕事を他のあらゆることよりも優先しなくてはいけないというプレッシャーのもとで、彼らは自分の信念に反する行動を取ってしまったのでした。

忙しいからといって、自分の選択肢を減らすことはやめましょう。あなたにはもっといい選択肢があるはずなのです。あなたの信念に基づいた正しい選択をするために、自分との対話の時間を持つようにしましょう。性急に選択するのをやめ、自分の価値にあった選択をすることで、私たちは幸福になれるのです。

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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