コロナ時代に私たちがすべきこと。多様なネットワークを作るべき理由をショーン・エイカーから学ぶ。


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潜在能力を最高に引き出す法: ビッグ・ポテンシャル 人を成功させ、自分の利益も最大にする5つの種
著者:ショーン・エイカー
出版社:徳間書店

本書の要約

多様な人的ネットワークを持つことで、人生に起こる不測の事態にうまく対応できるようになります。人種、性別、政治信条、興味、目指すものなど、自分とそっくりの人とばかり付き合っていると、自分の潜在能力の発揮と成長に制限を設けることになり、良い結果を出せなくなります。

多様性によってバランスを生み出そう!

シンプルだが見逃されがちな原則がある。スポーツにもあてはまるし、ポジティブな人のネットワークにもあてはまる法則で、「チームは変化と多様性に富むほどよい」ということだ。(ショーン・エイカー)

ショーン・エイカー潜在能力を最高に引き出す法: ビッグ・ポテンシャル 人を成功させ、自分の利益も最大にする5つの種の書評を続けます。著者は意識的に良い人間関係を作り上げることが重要で、次の3つのステップが必要だと述べています。
1、周囲からのポジティブな同調圧力を利用する
2、多様性によってバランスを生み出す
3、双方向の絆を作る

今回は2つ目の「多様性によってバランスを生み出す」について考えてみたいと思います。とてもシンプルですが見逃されがちな原則が、「チームは変化と多様性に富むほどよい」ということです。進化理論によって、生存のカギは生物多様性にあるということがわかっています。種の遺伝子構造が多様であればあるほど、疾病や自然災害に直面した時に、それを乗り越える力が強くなります。

同様に、私たちの周囲のネットワークも、多様であるほど人生に起こる不測の事態にうまく対応できます。人種、性別、政治信条、興味、目指すものなど、自分とそっくりの人とばかり付き合っていると、自分の潜在能力の発揮と成長に制限を設けていることになります。

アリソン・レイノルズとデイヴィッド・ルイスの研究によると、6チームの参加者を対象に、「認知の多様性」を調べる数学的モデルを使って、参加者の考え方がどのように異なるか、あるいは同じかを調べるテストを行いました。まったく異なる文化的背景を持つ2人や、まったく異なる専門分野で働く2人が、同じように考えることもありますし、同じ町で育ち同じ業界で働く2人が、かけ離れた考え方をすることもあります。その上で仕事の達成度を調べると、「認知の多様性」が最も高かったチームが、仕事の達成度も最高だったのです。

一方、多様性が最も低かった2グループは、達成度が基準に達しませんでした。多くのチームや企業が多様性を求めることに消極的なのは、人間関係に対立や摩擦が起きるのではないかと怖れるからです。あまりに違う人々が集まると、協力して働くことに支障が出るのではと心配しがちです。

他の調査によると、ほぼ同質なメンバーで構成されたチームに、外部の異質な人材を入れたところ、困難な問題を解決する確率が倍になりました。チームが多様化すると、人々は協力することが難しくなったと感じますが、「認知多様性」が加わることにより、メンバーは各自の「コンフォートゾーン(居心地のよい領域)」から出て、それまで考えたり賛成したりしたことのない視点やアイデアを考慮せざるを得なくなります。視点やアイデアが多様化することで、より良い結果を人は出せるようになるのです。

3つのタイプのポジティブな人を集めよう!

多様な人々からなる「スター集団」を作り出すには、バラエティだけでは十分ではない。人生の多様な「目的」に役立つ人たちを選択しなければならない。

多様なチームを構成するには以下の3つのタイプのポジティブな人を集める必要があります。

①柱になってくれる人 
困難な時期に拠り所となり、何があっても味方になってくれる人
②橋を架けてくれる人
現在の生態系外の新しい人やリソースにつないでくれる人
③自分を広げてくれる人
ポジティブな影響を与えて、あなたをコンフォートゾーン(快適な領域)から押し出してくれる人

1960年代、社会学者のマーク・グラノヴエッターは有名なに「弱いつながり」の論文を書きました。この研究で彼が発見したのは、仕事を見つけることに手を貸してくれたのは、親しい友人よりも単なる知り合いが多かったということです。

自分のネットワークに「弱いつながり」の知人をいくつか加えることによって、その相手の社会的地位にかかわりなく、チャンスを現実のものにできる可能性が高くなるのです。仲の良い人間だけでなく、友達の友達などの弱い繋がりが、あなたの可能性を広げてくれます。

自分を広げる人とは、自分とはまったく違うスキルセットや性格を持つ人です。私たちはついつい似た者同士の人に惹かれます。しかし、これでは、異なった考え方や見方に触れる機会も、新しい変わった経験をする機会も少なくなります。

リーダーシップで一番重要なものは、プランニングでもポジショニング(位置づけ)でもない。肝心なのは「人」である。ジム・コリンズのチームは、卓越したビジネスリーダーたちを研究した時、「good to great」の変革型リーダーたちが、まずビジョンと戦略の決定からはじめるだろうと予想していた。ところがリーダーたちが最初にしたことは、メンバーを選ぶことで、戦略に取り掛かったのはその後だった。リーダーの仕事がうまくいくかどうかは、メンバーの仕事ぶりと切り離せないからであり、チームが多様性を持っているほどよいのである。

多様なポジティブな人との繋がりが、あなたの可能性を広げてくれます。コロナが蔓延する中、人に声をかけるのは難しいかもしれませんが、メッセンジャーなどで、周りの人の中で、これまで話をしようと思わなかった人に声をかけてみたらいかがでしょうか?

自分のコンフォートゾーンから押し出してくれる、自分と違う人たちと知り合いになるための時間を作ることで、多くの学びを得られます。「本気になって相手の話を聞き、つながりを持つことができれば、どんな人からも何かしら学べる」という法則を実践するのです。

「ランダムネットワーク理論」が示しているのは、「ネットワークにおけるノード(結節点) 1つ当たりの平均リンク数がある閾値を超えると、巨大クラスターから取り残されるノードの数は飛躍的に減少する」ということです。つまり、ネットワークの中につながりの数を増やせば増やすほど、孤立する結節点は減っていきます。

周りの人たちが付き合いの幅と多様性を広げられるように手助けするたびに、ただ1人を紹介してあげるだけでもシステム全体を劇的に強化することになります。結節点が増えていけば、誰かがネットワークからこぼれ落ちる可能性が少なくなり、結果的に困難に立ち向かうグループのレジリエンスが高まります。あなたを取り巻くネットワークが強く多様であればあるほど、最大ポテンシャル達成のための支援が得られます。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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