小川仁志氏の超・知的生産術 頭がいい人の「読み方、書き方、学び方」の書評


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超・知的生産術 頭がいい人の「読み方、書き方、学び方」
著者:小川仁志
出版社:PHP出版

本書の要約

今までの常識が通用しなくなったウイズ・コロナの時代には「哲学」が役立ちます。「哲学は深く考え、本質を探究する営み」で、問いに対する答えが出るまで徹底して思考を繰り返します。インプットとアウトプットを通じて、思考を重ねることで、自分らしい答えを見つけられるようになります。

哲学とは何か?

つねに新たな概念を創造すること、それこそが哲学の目的なのである。(ジル・ドゥルーズ)

哲学というと日本では小難しいものと敬遠されてきましたが、ウイズ・コロナの時代となり、哲学が再び見直されています。今までの常識が通用しなくなった新たな世界を生きる私たちにとって、哲学が役に立つと考える人が増えています。

AI、IoTなどのテクノロジーの進化によって、知性が人間だけのものでなくなったため、私たちはこれまでの知的生産術をアップグレードしなければなりませんが、その際、哲学が力を発揮します。「哲学は深く考え、本質を探究する営み」で、問いに対する答えが出るまで徹底して思考を繰り返します。ああでもない、こうでもないとあらゆる角度から考え、自分らしい答えを出す必要があります。この哲学の思考スタイルを使うことで、ウイズ・コロナという難しい時代を生きる私たちは、より正しい答えを見つけられるようになります。哲学という「究極の知的生産術」を多くの人が身につけることで、よりよい世界を創れるようになるのです。

「哲学カフェ」を主宰するなど、市民のための哲学を実践している著者は、哲学のやり方をシンプルに整理します。以下の5つのステップによって、私たちは新しい概念を創れるようになります。
1、まず変な質問をたくさんする
2、その各質問に答える
3、全部の答えを比較して、全体に共通する最大公約数的な要素を取り出す  
4、それを感情や個性を出しつつ普遍的な言葉に置き換える  
5、その言葉を軸に、他の物事と差異化できるような表現を用いて一文で本質を表す

著者は哲学者にように勉強すべきだと言います。新しい概念を生み出す哲学者のような勉強術を身につけることで、人生を変えることができるのです。本書ではデカルトやカントなどの哲学者の勉強法が紹介されています。

デカルトの自分自身に問いかける勉強法から、著者は次のような答えを導きます。

自分自身に問うてみるという姿勢が大事です。最後は自分が答えを出さなければなりません。そしてその答えだけは決して疑い得ないものです。誰がなんといおうと、自信をもって自分はそう思うといえばいいのです。したがって、読者の皆さんがこれを勉強法として実践する場合には、どんな勉強でもまず自分で考えて解を出してみることです。模範解答や解き方が手元にあっても、あえてそれを見ない勇気が必要です。お手本を先に見てしまうと、どうしても引きずられてしまうからです。本当に頭を鍛えるためには、ゼロから自分で答えを導き出し、さらにはその答えに自信を持つことが大事なのです。 (小川仁志)

インターネットや本の情報を鵜呑みにせず、自分の頭で考えなければ、フェイクニュースに簡単に騙されてしまいます。自分の外に答えを探すだけでなく、内なる自分との対話を繰り返しましょう。

私はこのブログを書くことで、日々著者の言葉を整理しながら、自分に質問を繰り返しています。ただ本を読むのではなく、思考する習慣が私の可能性を広げてくれました。AIが決まり切った解答を出す中で、あえて自分らしい答えを出し続けることが、デジタル社会を生きる強みになるのです。

ヘーゲルのまとめ式ノート勉強法とは?

カントの食事や散歩の勉強法は、私も実践しています。人との食事や散歩と行った日常のルーティンに、勉強のプロセスに取り入れることは本当に効果があります。人との会話や散歩によって、頭が活性化され、新しいアイデアが生まれてきます。

ヘーゲルの「まとめ式ノート勉強法」は、このブログに通じるものがあるで、詳しく紹介します。

彼はまず「詳細な読書のさいには」自分にとって注目に値すると思われるすべてを一枚一枚の紙片に書き記し、特殊の内容が含まれるべき一般的な表題をその紙片の上部につけて示した。それから上部欄外の中央に大文字で記入事項の見出し語を書いている。彼はこれらの紙片そのものを自分でふたたびアルファベット順に整理し、この簡単な方法によってその抜き書きをいつでも利用できる状態にしておいた。たび重なる引越しのさいにも彼は、自己形成のこの古い記録をいつも保管していた。(ゲオルグ・ビーダーマン)

著者の言葉を抜き書きし、引用した物を整理することで、他者の思考法に近づけます。ヘーゲルはアルフベット順に言葉を整理し、自分オリジナルの辞典を作っていたのです。ヘーゲルはこの辞典を活用しながら、知の探索を深めていきます。

私もこのブログ(読書日記)を自分の辞書がわりに活用しています。10年以上続けたこのブログが私のアイデアの源泉になっているのです。アイデアとは要素と要素との組み合わせで生まれますが、様々な著者のメッセージが私の脳で結びつくことで、新たなアイデアが浮かんできます。それをアウトプットすると他者からのフィードバックをもらえるようになり、アイデアのクオリティを高められます。

あのサルトルも読書とアウトプットを通じて、知識を定着させていったと言います。読書によって、得た知識を他者に伝えることで、知的生産のパフォーマンスが高まります。インプットとアウトプットを両輪にすることが、学びには欠かせないと考え、アウトプットを習慣化しましょう。

著者は目的を明確にし、戦略をたて、勉強を習慣づけることが重要だと言います。私の学びの目的は、社外取締役やアドバイザリーをしている会社に貢献することです。クライアントのあらゆる課題を解決することためには、様々なカテゴリーの知識や体験が必要になります。読書だけでなく、あらゆる体験が私の血となり、肉となると考え、私は多くの情報をインプットし、新たなアイデアを生み出すようにしています。私はインプットとアウトプットと思考を習慣化することで、いつの間にか哲学を実践していたのです。本書には、哲学的な様々な思考法が紹介されていますが、それは別途紹介したいと思います。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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