デジタル時代に人はどう脳を活用すべきか?


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天才科学者はこう考える 読むだけで頭がよくなる151の視点
著者:ジョン・ブロックマン
出版社:ダイヤモンド社

本書の要約

デジタルギアを活用し、脳をリ・デザインすることで、よりクリエイティブな存在になれます。覚える必要のないことを記憶するのをやめ、デジタル時代に適応した新たな思考法を身につけることで、今までにない価値を他者に提供できるようになるのです。

脳の可塑性を維持するために、デザイン力を鍛えよう!

脳の可塑性や認知的負荷の危険性に関する近年の調査を見ると、認知の武器として最も強力なものはデザインする力ではないかと思う。具体的に言うと、デザインの原則や決まりごとを、思考の形成に活用する力のことだ。これは知識の取得とは違う。(ドン・タプスコット)

イノベーション、メディア、グローバリゼーションに関する世界的な権威であるドン・タプスコットは、脳を良い状態に保つために、デザインの力を活用すべきだと述べています。デジタル時代を迎え、私たちの脳の使い方が、日々変わっています。テクノロジーが進化する中で、効果的な考え方、記憶の仕方、コミュニケーションのとり方をリ・デザインすることで、今まで以上に脳の力を引き出せるようになります。ただ、知識を取得するのではなく、デジタル時代にフィットした脳の活用法をデザインしましょう。

デジタル時代が認知に悪影響を及ぼすというネガティブな声が巷に溢れていますが、ドン・タプスコットは、悲惨な未来を予測するよりも、明るい未来を築くべきだと言います。デジタル・ツールを遠ざけるのではなく、それを使いこなすことで、脳の配線を変えられると考えてみるのです。

脳は使い方しだいで、パワーアップできることがわかっています。ロンドンのタクシー運転手を対象にした有名な調査により、彼らの脳内の記憶の形成に関わる特定の領域は、ほぼ同じ年齢でタクシー運転手ではない人たちよりも、物理的に大きいことが明らかになりました。タクシー運転手はロンドンの多数の通りを記憶する必要があり、それにより海馬の構造が変化していったのです。

脳のどこか1カ所を集中して使うようにすることだけでも、脳の状態をよくできます。目隠しをして過ごしていると、触覚(点字の)識別が改善するという研究報告がいくつもあります。実験参加者の脳をスキャンしたところ、1日あたり1時間強の目隠しを5日間続けただけで、聴覚や触覚に刺激を受けたときの視覚野の反応速度が上がりました。

脳の適応力を的確に高めることで、脳の力を維持できるのです。今は、豊富な情報、さまざまな刺激、ペースアップ、マルチタスクを可能にする様々なデジタルツールが用意されているのですから、それらを認知能力の拡大に活用しましょう。

精神科医のスタン・カッチャー博士は、デジタルテクノロジーが脳の発達に及ぼす影響について、次のように述べています。

新しいテクノロジーにさらされることで、ネット世代(ティーンエイジャーや)の脳の容量が従来の限界を押しのける可能性があると示す証拠が現れつつある。(スタン・カッチャー)

オールAの女子学生が宿題と同時にオンライン上で別のことを5つやれるのは、彼女のワーキングメモリと切り替え能力が優れているからです。彼女は、実際に複数のタスクを同時にこなしているわけではありません。彼女の脳は、デジタル時代の要求に対処するようにうまく配線されているのです。デジタルギアを使いこなすことで、新たな脳のパワーを引き出せば、自分の可能性を広げられます。

クリエイティブな存在になるために、自分の脳をデザインしよう!

よいデザインは、一般に、なんらかの原則や実用的な目的から生まれます。速読のような昔からあるものでも、理解を損なわずにインプットの容量を増やせます。本や雑誌を読んでいて集中できないと感じる人は、記事の見出しや要約だけでなく、記事の全文を1日に何本か読むようにするだけで、集中力を高められます。

外科医になりたい人は、ゲーマーになるか、地下鉄の車内で手術の脳内リハーサルをするといいとドン・タプスコットは指摘します。手術のリハーサルをすることで、物理的に身体を動かしたときに生じるほどの大きな変化を運動皮質に起こせます。

以下の調査結果を知ると、イメージ・トレーニングの価値がわかります。ひとつのグループには5本の指を使った簡単なピアノの練習をしてもらい、もう一方のグループには、頭のなかでまったく同じように一音ずつ指を動かしてピアノを練習していると考えてもらう実験を行いました。すると、どちらのグループの運動皮質にも変化が現れました。頭のなかだけでピアノを弾いたグループにも、実際に指を動かしてピアノを弾いたグループと同じくらい大きな変化が起きたのです。

記憶力が下がったという人は、アルベルト・アインシュタインが使っていた記憶の法則を目的に合わせて応用するとよいでしょう。アインシュタインは、なぜ自分の電話番号を電話帳で確認するのかと尋ねられたとき、調べられない事柄しか覚えないようにしていると答えたといいます。

人間が記憶できる容量には限界がありますから、記憶するものと記憶しないものの基準を設ければよいのです。昔ほど今は記憶に頼る必要がなくなっています。インターネットを使えば、覚える必要のないものはいつでも検索できます。好きなことに時間を使うようにすると同時に、自分の頭で考えたり、クリエイティブなことを行うことで、脳に刺激を与えられます。 私たちは莫大な情報から自分に役立つ情報を取り入れ、自分の脳をデザインすることを目指すべきです。これからの時代には、知識の多さではなく、思考力があなたの武器になることを忘れないようにしましょう。

デジタルギアを活用し、思考をデザインするようになれば、よりクリエイティブな存在になれます。脳の使い方を時代に合わせて、デザインすることで、他者に新たな価値を提供できるようになります。デジタル時代においては、知識を取得するのではなく、思考することに脳を活用すべきです。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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