ハロルド・ジェニーンのプロフェッショナルマネジャーの書評


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プロフェッショナルマネジャー
著者:ハロルド・ジェニーン
出版社:プレジデント社

本書の要約

経営者の評価は業績という基準で判断されますが、その数字を上げるためには、まず明確な目標を定めることが重要です。結果から逆算し、良いと思ったことを順番に試していきましょう。望む結果を達成するためには、失敗を恐れず、使えるアセット全てを活用すべきです。

経営とは業績から逆算すること

本を読む時は、初めから終わりへと読む。ビジネスの経営はそれとは逆だ。終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをするのだ。(ハロルド・ジェニーン)

プロフェッショナルマネジャーの著者のハロルド・ジェニーンは経営が傾いていたITT(International Telephone and Telegraph)の社長に招かれます。まず、一株あたり利益を毎年10%アップするという目標を掲げ、経営陣と組織、人材評価の見直しを行いました。

著者のジェニーンは「経営はまず結論ありき」だと言います。経営者は結論を先に決め、そこから逆算して、いろいろな方法を考えます。その中からいいと思うことからから実行し、ダメなことを修正することで、なんと破綻寸前だった同社は14期連続で増益を達成したのです。

〝経営(する)〟とはなにかをなし遂げること、マネジャーである個人なりマネジャーのチームなりが、努力するに値することとしてやり始めたことをやり遂げることだ。

著者は経営とは何かを成し遂げることだと言い、有名な冒頭の「3行の経営論」を明らかにしました。経営者は、業績という結果から逆算し、それにコミットメントすべきです。著者は何度も本書で、経営において重要なことは結果だと述べています。

経営者にはリーダーシップが欠かせないと著者は言い、経営をボートレースに例えます。

ほかの人びとと一緒にボートに飛び乗り、オールをつかんで漕ぎ始めることだった。仮に名づけるなら、参加的リーダーシップと呼んでもよかろう。私はボートの後尾に座って自分は何もせず、部下たちにすべての仕事をするように説諭する船長になりたくなかった。また両手に大きな鞭を握って、奴隷たちを死ぬほどの恐怖に縮みあがらせる奴隷船の船長にもなりたくなかった。

リーダーは経営が人間相手の仕事であることを忘れてはなりません。経営者はリーダーシップを発揮し、共通の目的を達成するために、チームを結束させる必要があります。経営者はチームと共に考え、彼らに成長の機会を与えなければならないのです。著者はゴールを達成するために、みんなでやろうというメッセージを絶えず発信し、チャレンジを重ねることで、14期連続の増益を実現したのです。

ミスを早期に発見せよ!

ITTの基本ポリシーのひとつは、「びっくりさせるな!」ということだった。企業にあって、びっくりさせられることの99%までは良くないことに決まっている。

ビジネスには予期せぬことがつきものです。社員のだれかが失策を犯すことは防げず、必ず問題が生じます。経営者は誰もが予期しなかった問題を発見し、できるだけ早いタイミングでそれを解決する必要があります。課題の全てを早期に発見することは難しいかもしれませんが、その95%に対処できれば、残りの時間とエネルギーを他の重要な課題に振り分けられます。

著者は経営者がびっくりしないようにするため、部下のレポートの書き方を改善させます。ドキュメントの最初に結論を書き、経営者が正しい判断をできるようにすることが、メンバーの仕事であると徹底しました。レポートは以下のフォーマットで書くことが ITTのルールになったのです。
1、提案要領
2、問題になっていること
3、提案のベースになる論拠。エビデンスになる数字
4、起案者の個人的意見、確信の度合い、取り上げられた事柄に対する疑念、短いステートメント

今すぐに、それは事実か?と、そして忘れずに、それは揺るがすことができない事実か?とたずねる習慣を身につけようではないか。

ミスや失敗はビジネスにはつきもので、それをなるべく早く経営陣に知らせることが重要です。経営者は意思決定する際に、間違った情報を信じてはいけないのです。事実ではない事実のために、マネジメント全体の意思決定の流れが間違った方向に向けられないようにすべきです。

経営者とマネージャーは、失敗から学びを得て、それを改善することで、当初立てた目標が達成できるようになります。

われわれは成果を挙げるために、あらゆるものを利用した。学校で学んだあらゆるのことを、ビジネスの経験から学んだあらゆることを、同僚から学んだあらゆることを利用した。自分たちの発明の才を働かせた。自分たちの頭脳を働かせた。

ハロルドは経営にはセオリーはないと言い、結果を出すために過去の知識と体験を総動員しました。望む結果を達成するためには、使えるアセット全てを活用すべきです。

ある問題に対するひとつの解決法が効果を表さなければ、別の解決法を試み、それがダメなら別のチャレンジをするだけです。結果を出すために、ゴールから逆算し、良い方法を順番に試していきましょう。ミスを犯したら、失敗した理由を明らかにし、次の手を打つようにするのです。

ハロルド・ジェニーンはブラジルでの商談を成功させるために、部下とのミーティングを重ね、あらゆる選択肢を試したかを質問します。その結果、大統領との商談を部下に指示し、商品の売り込みに成功します。

経営者は、うまくいっていないことを見つけたら、原因がわかるまで究明し、ひとつの解決法が効果を挙げなければ別の、また別の、さらにまた別の方法を探すべきです。良い経営とは、問題が起こった時にそれを解決するだけではなく、今後起こりそうな問題を予見し、それを回避する方策を考えるべきです

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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