島田太郎氏、尾原和啓氏のスケールフリーネットワーク ものづくり日本だからできるDXの書評


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スケールフリーネットワーク ものづくり日本だからできるDX
著者: 島田太郎、尾原和啓
出版社:日経BP

本書の要約

インターネットのデータだけでなく、フィジカルなデータをつなぎ、プラットフォームをつくること、スケールフリーネットワークを生み出すことで、日本企業もイノベーションを起こせるようになります。誰もがつながれるようなオープンなネットワークをつくることが、日本企業に求められています。

スケールフリーネットワークとは何か?

日本が今日まで培ってきた「ものづくり」の資産と「スケールフリーネットワーク」を組み合わせれば、GAFAに代わって、新たな世界の覇権を握ることも決して夢物語ではないと考えています。(島田太郎)

日本企業はこの10年でGAFAやBATHとの戦いに敗れ、彼らの後塵を拝しています。日本企業は、今後もGAFAやBATHに負け続けるのでしょうか?

元シーメンスのDX担当で、現在は東芝執行役上席常務・最高デジタル責任者として活躍する島田太郎氏は、GAFAが寡占したかに見えるデータは実は一部でしかなく、ハードウエアに強い日本企業は「ものづくり」の資産と「スケールフリーネットワーク」を組み合わせれば、まだまだ勝負できると言います。

「スケールフリーネットワーク」は20世紀後半に発見された、比較的新しいネットワーク理論です。インターネットのデータだけでなく、フィジカルなデータをつなぎ、プラットフォームをつくることで、日本企業も再び成長可能だと言います。

その際、参考になるのが、DXの先端企業であるDBSが育んできたノウハウです。同社のCEOのピュシュ・グプタ氏は、以下の3つの宣言により、DXを加速させました。
1、Become digital to the core.(芯までデジタルに変革する)
2、Embed ourselves in the customer journey.(自らをカスタマージャーニーへ組み込む)
3、Create a 22,000 start-up.(従業員2.2万人をスタートアップへと変革する)  
この3つの宣言を取り入れることで、DX化がうまくいくようになります。

IoTの本格普及によって、これからあらゆるフィジカルのモノがインターネット につながる時代がやってきます。日本企業は自社が持つ情報を顧客視点で捉え直し、オープンにすることで、新たなサービスを生み出せるようになるのです。GAFAはサイバー上だけで勝者になっているだけですから、サイバーとフィジカルの両方で強みを発揮できれば、日本企業もプラットフォーマーの座を狙えます。

スケールフリーネットワークがイノベーションを起こす!

スケールフリーネットワークが持つ多様性は、イノベーションを生む土壌にもなります。イノベーションとは、新たなアイデアによって社会を大きく変える革新のこと。そして新たなアイデアというのは、一見まったく関係ないように見える別々の要素の組み合わせによって生まれてくるものです。多様な要素がネットワークでつながるスケールフリーネットワーク上では、互いに関係のない要素同士が偶然つながり、まったく新しい切り口が生まれる可能性があります。

スケールネットワークには多様性が欠かせません。サイバーだけでなく世界中のフィジカルなデータが結びつくことで、イノベーションが生まれやすくなります。今まではつながらなった情報が結合することで、全く新しいアイデアが生まれます。

さらに、ネットワーク上で何かが浸透する「パーコレーション」という現象が起こります。人間関係が巨大なスケールフリーネットワークを形成することで、あっという間にそのプラットフォームが使われるようになるのです。

ビジネスにおいても、スケールフリーネットワークのどこかで新しいアイデアが生まれ、それが多くの人にとって魅力的であれば、ごく短期間でネットワークの大部分に広がり、社会に変化をもたらすでしょう。圧倒的な多様性によって新しいアイデアが生まれやすく、優れたアイデアが出現したら一気に広まっていく。この両方の特徴を併せ持つスケールフリーネットワークは、新たなイノベー ションを生む場として最適なのです。

真のDXとは、ビジネスモデルや組織体系、社員の意識、仕事の進め方など、あらゆるものを根本から変えるような変革です。ビジネスを劇的に変革したければ、以下の3つのステップを取ることが重要になります。

ステップ1 自社が目指すDXを定義する
DXの第1段階、それは「定義」をつくることです。まずは自分たちが目指すDXが何かということを明確にします。

ステップ2 「自分ごと」として定着させる

ステップ3 全社に展開する
トランスフォーメーションとは、今まで自分たちが本業としていた仕事をやめるということ、つまりビジネスモデルの転換することです。

スケールフリーネットワークをビジネスに応用し、3つのステップで企業をDX化させことで、イノベーションを起こせるようになるります。

スケールフリーネットワークは、自社だけで作ろうとしてもうまくいきません。様々な企業のネットワークがつながり、プラットフォームが重なり合うことで世の中に広がっていきます。企業のアセットをいち早くオープン化すれば、それだけ大きな利益を受けやすくなるのです。

誰もがつながれるようなオープンなネットワークを作れば、自社にも大きなメリットが返ってきます。また、データを自由に活用できるようなネットワークができれば、ビジネス面だけでなく、暮らしやすい社会を実現できるようになり、企業と生活者の関係を変えられます。スケールフリーネットワークをつくり、生活者に便利な世界を提供することで、熱狂的なファンを生み出せるようになります。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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