反転思考を活用しよう!知の巨人たちの「考え方」を一冊で、一度に、一気に学びきる グレートメンタルモデルの書評

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知の巨人たちの「考え方」を一冊で、一度に、一気に学びきる グレートメンタルモデル

シェーン・パリッシュ、リアノン・ボービアン
サンマーク出版

本書の要約

反転思考を活用することで、成功を阻む障害を見つけられ、それを排除できるようになります。何かに行き詰まったときには、シンプルに反転して考えることを心がけましょう。反転思考の結果をしっかりと受け止めていけば、問題解決に向けて大きく前進できます。

反転思考を活用しよう!

「反転思考」は、よりよい考え方をするための強力なツールとなる。成功を阻む障害が何かを理解し、取り除くのに役に立つからだ。「反転」はそもそも「ひっくり返す」という意味だが、思考のツールとしては、ある状況に対して通常思いつく視点の「反対側」からアプローチすることを指す。ほとんどの人は問題をひとつの方向からだけ考える傾向がある。「反転思考」の発想を取り入れれば、問題をひっくり返して通常とは逆の方向から考えられるようになる。(シェーン・パリッシュ)

ものごとをゴールから反転して、逆の方向から考えることで、新しいアイデアが生まれます。ある方向から考える能力とその逆から考える能力を組み合わせれば、現実を多面的に見ることができるようになります。

「反転思考」を取り入れるには、以下の2つのやり方があります。
①証明しようとしていることが正しいかどうか仮定し、「それを確かめるために何が必要か」を考えます。
②ゴールを直接目指すのではなく、「何を避けるべきか」を深く考えたうえで、どのような選択肢が残るのか確認します。

1920年代、アメリカン・タバコ・カンパニー社は「ラッキーストライク」をもっと女性に売りたいと考えていました。女性がタバコを吸つのはタブーと考えられていた時代にこのマーケットを開拓すれば、莫大な収益をもたらす可能性があったのです。

同社の社長は「タバコを吸うとやせる」と女性に思わせて、当時すでに始まっていたダイエット・ブームに乗ろうと考えました。その際、広報の父と呼ばれるエドワード・バーネイズを起用し、彼に革命的なマーケティングキャンペーンを考案させました。

反転思考をしたバーネイズは、女性がタバコを買って吸うにはどんな条件が必要だろうかと考えました。彼は大規模な「反スイーツ・キャンペーン」を展開し、夕食後にはデザートではなくタバコがいい、タバコはやせるけれどデザートは体型に悪影響がある、と訴えかけたのです。

同時にバーネイズは、アメリカの社会と文化そのものを作り替えようとしました。バーネイズはジャーナリストや写真家に、スリムであることのメリットを訴求しました。食後にタバコを吸うことは健康にいいと医師に証言してもらいました。さらに環境そのものを変え、タバコがどこにでもあるような世界を作ろうとしました。

ホテルやレストランのデザートメニューにタバコを追加するキャンペーンを展開し、家庭向け雑誌で特集記事を組んでもらい、「食べすぎの危険から読者を守る」メニューを掲載しました。世論に影響を与えるだけでなく、人々の生活そのものを変えてしまおうと考えたのです。

その結果、アメリカの女性たちの消費習慣が一変しました。バーネイズは単にタバコを売り込むだけではなく、女性の日常生活にタバコが欠かせないものとなるように社会を変容させたのです。

公共の場での喫煙を社会に受け入れさせようとしたバーネイズの取り組みは、喫煙を女性の解放と結びつけました。喫煙を自由の象徴と位置付け、タバコを「自由のたいまつ」として売り込んだのです。彼は公共のイベントも企画し、1929年のイースターの日曜日に行われた悪名高いパレードでは、女性たちがタバコを吸いながら行進しました。

バーネイズはキャンペーンの細部まで徹底的にこだわり抜き、喫煙に対する世間の考えを瞬時に変えてしまいました。喫煙をごく普通のことにしただけでなく、好ましい習慣にまで一気に高めたのです。

課題解決のための5つのステップ

よい結果を得る方法を考えるのではなく、どうすれば最悪の結果を得ることになるのかを自問し、それを意思決定の指針にすることで、良い結果を得られることもあります。

株価指数(インデックス)に連動して運用成績が上がるように銘柄を組み入れたインデックスファンドは、ヴァンガード社を創業したジョン・ボーグルが考案し普及させました。反転思考を活用したボーグルは多くの先人たちのように「どうすれば市場で勝てるか」を考えるのではなく、まずその難しさを正しく認識しました。

誰もが株式市場で勝とうとしていますが、一貫した戦略で行動できる人は一人もおらず、遅かれ早かれ損失を出していました。そこでボーグルは逆転のアプローチをとりました。投資家が手数料の支払いや投資アドバイザーの選択ミスによる損失を最小限に抑えるにはどうすればいいか、と考えたのです。その結果、インデックスファンドという素晴らしい発明と、金融業界史上有数の企業が誕生しました。

心理学者のクルト・レヴィンは、1930年代「力の場の分析」というアイデアを考案しました。これは本質的に、変化が望まれるあらゆる状況において、その変化をうまく管理するには逆転の発想が必要だとするものです。以下の5つのステップで考えることで、課題解決力が高まります。

①「問題」を特定する
②「目的」を明確にする
③目的に向けた変化を「もたらす力」を特定する
④目的に向けた変化を「阻害する力」を特定する
⑤解決のための「戦略」を立てる。

どの角度から問題にアプローチするにしても、その次に反対の角度から検討する必要があります。「問題解決のために何ができるか」だけでなく、「何をすれば問題が悪化するのか」を考えるようにすべきです。問題が起こるような行動を避け、あるいはそうした行動を繰り返し誘発する条件を排除します。

何かに行き詰まったときには、シンプルに反転して考えることを心がけましょう。反転思考の結果をしっかりと受け止めていけば、問題解決に向けて大きく前進できるようになります。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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