知の巨人たちの「考え方」を一冊で、一度に、一気に学びきる グレートメンタルモデル(シェーン・パリッシュ)の書評

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知の巨人たちの「考え方」を一冊で、一度に、一気に学びきる グレートメンタルモデル
シェーン・パリッシュ、リアノン・ボービアン
サンマーク出版

本書の要約

人生において悩んだりつまずいたりしたときには、偉大な先人の知恵を活用すべきです。知の巨人たちの考え方を学び、「グレートメンタルモデル」を身につけることで、正しい答えを見つけられる確率を高められます。思考の死角をなくす努力を重ねましょう。

グレートメンタルモデルを身につけよう!

【メンタルモデル】私たちがどのように考え、ものごとを理解し、どういった信念を持つようになるのかを導く、おもに潜在意識下で働く機能。世界をよりよく理解するための鍵は、頭の中にメンタルモデルの格子構造をつくりあげることだ。(シェーン・パリッシュ )

メガ・ブログの「Farnam Street」創設者のシェーン・パリッシュは、人生において悩んだりつまずいたりしたときには、偉大な先人の知恵を活用したらよいといいます。

彼は本書で、以下のグレートメンタルモデルを紹介しています。
①現実とその「モデル」の違いを知り、本質を見きわめる「地図理論」
②自分の専門分野や得意な領域を構築し、維持する「能力の輪」
③複雑な状況を根本に立ち返って理解する「第一原理思考」
④想像力で世界を検証し可能性を探究する「思考実験」
⑤長期的な影響を見通し常に二手先を読む「二次的思考」
⑥不確かな未来をできるかぎり正確に計算する「確率思考」
⑦通常とは逆の視点から新たな答えを導く「反転思考」
⑧複雑な現実をそぎ落とし、シンプルな真実を見抜く「オッカムのカミソリ」
⑨固定観念と思考過剰のわなを避ける「ハンロンのカミソリ」

チャーリー・マンガー、ナシーム・タレブ、チャールズ・ダーウィン、ピーター・カウフマン、ピーター・ベヴェリン、リチャード・ファインマン、アルバート・アインシュタインといった偉大な先人たちのメンタルモデルを身につけることで、正しく未来を予測し、結果を出せるようになると言うのです。

ほかの人々が考え出した最高の英知を習い覚えるべきだと、私は信じている。(チャーリー・マンガー)

バークシャー・ハサウェイのチャーリー・マンガーは、「メンタルモデル」と呼ばれる思考のフレームワークと、それを幅広い「格子構造」に作りあげて問題に取り組むやり方を修得しています。さまざまな分野からの知識の集合体をマンガーは得ることで、投資の世界で類まれな結果を出しています。

私たちは考えられるすべてのリスクに備えることはできません。ものごとは「偶然」の要素によって、完全には予測することができないくらい複雑になります。しかし、先程の9つメンタルモデルを使いこなせれば、ものごとの裏側で作用している要素を正しく理解し対処できるため、リスクを最小限に抑えられるようになります。

ものごとをさまざまな角度から見る能力を身につけることで、リスクに備えられるようになります。たくさんの学問分野にまたがる思考方法とメンタルモデルを身につけ、使いこなすことで、未来を明るくできるのです。

今日はこの中から、「能力の輪」と「確率思考(反脆弱性)」を取り上げます。

変化に適応するために、能力の輪を広げよう!

「能力の輪」を、固定的で一度身につけると生涯変わらないかのように扱うことはできない。世界はダイナミックに動いており、新しい知識を覚えるにしたがって自分の「能力の輪」も新しくしていく必要がある。

好奇心を持って学び、常に自分の「能力の輪」を把握し、現実からのフィードバックを得ることで、能力の輪を維持、鍛えることができます。

変化が激しい時代には、過去の知識や体験があっという間に古臭くなります。そのため、変化に適応するためには、常に好奇心を持って「能力の輪」の開発と強化に取り組み、それに役立つ情報を探す必要があります。

また、自らの「能力の輪」には限界があることを忘れないようにしましょう。ネットワークを大きくしたり、好奇心の対象を広げる必要があります。そのために、以下の3つのことを意識するようにしましょう。

①自分がエキスパートではなく門外漢だと自覚し、自分の活動領域について少なくとも基本的なことを学ぶようにします。
②その分野で優れた「能力の輪」を持つ人から話を聞くようにします。
③世界を理解するための基本的なメンタルモデルの数々を幅広く理解して身につけ、自分にとって不得意分野の限られた知識を補うようにします。

自分が才能を発揮している職業においても、知識が手薄な領域は必ずあるものだ。自らの「能力の輪」が世界のあらゆる対象をカバーすることはありえない。

ナシーム・タレブの「反脆弱性」を武器にすることで、自分の可能性を広げられます。ウォール街のトレーダーが言うところの「アップサイド」、つまり、チャンスになる確率が高いと思われる状況を探し出し、それを活用するのです。

たとえば、知り合いになりたいと思うような有力者たちが集まるカクテルパーティに参加します。必ずしも何かが起こる保証はありませんが、セレンディピティや偶然性の恩恵を自らに与えるのです。この場合の残念な結果は「何も起こらない」ことですが、家でじっとしていたら有力者には絶対に出会えません。パーティに行くことで、チャンスを手に入れる確率を高められると考えましょう。

「正しい失敗の仕方」を学ぶことも重要です。正しく失敗する方法は次の2つの要素でできています。
・完全に立ち直れなくなるようなリスクをとらないこと
・失敗から学んで再出発するための「回復力」を身につけること
これらの原則を身につければ、失敗を成功に繋げられます。

失敗を好む人間はいないし、傷つくのは避けたい。だが、失敗にはそこから学べるという大きな「反脆弱性」の贈り物がある。正しい考え方に基づいて失敗を恐れない人は、他人より大きなアドバンテージを持っている。失敗から学ぶことで、世界の不確実性に影響されにくくなる。真の意味の「反脆弱性」で、失敗の恩恵を受けられるのだ。

成功と失敗を繰り返し、即座のフィードバックを得ることで、成功のタネを見つけられるようになります。「反脆弱性」は、どんなリスクもチャンスに変えるユニークな考え方です。偶然性や不確実性が失敗の原因ではなく、自分の味方になると考え、正しいと思える事柄に積極的にチャレンジしましょう。

本書で紹介されている知の巨人たちの考え方を学び、「グレートメンタルモデル」を身につけることで、正しい答えを見つけられる確率を高められます。思考の死角をなくす努力を重ねましょう。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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