売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則 -「ありがとう」があふれる20の店の実践
笹井清範
同文舘出版
本書の要約
お客様は信頼がおけて顔の見える personality(個性・人柄)と、promise(約束・絆)を結びたいと願っています。personalityに対する信頼の根本には、自身の商いや仕事に対する philosophy(哲学・理念)を持ち、それを具現したstory-rich product(物語性豊かな商品)が欠かせません。新たな4Pがお客様との絆を強化します。
マーケティングの新しい4Pとは?
〝不〟の発見と解決こそ、あなたが商いをする目的です。この営みの中にこそあなたの喜びがあり、結果としての儲けがあります。目的は、お客様の笑顔。儲けは、商いと仕事をさらに磨いていくための資源なのです。だから、あなたは大切にすべきお客様を見つめ、その声を聞きましょう。そこに必ず、あなたが商い、働く理由があるはずです。(笹井清範)
本書では、マーケティングの成功法則とされてきた4P(product/price/place/promotion)に代わる「新しい4P」を提案しています。自社の商品やサービスがなぜ生まれてきたかをパッションのあるストーリーで発信することで、課題を持つお客様に見つけてもらえるようになり、やがて絆が生まれます。新しい4Pを実践し、お客様の〝不〟の発見と解決をスタートしましょう。
■新しい4P
①PHILOSOPHY 商いの哲学・理念(priceからphilosophyへのシフト)
私たち生活者は単なる価格の安さだけを求めてはいません。多くの事業者が低価格ばかりを訴求し、他の選択肢を提示しないから価格で選ばざるを得ないだけです。商品の中に哲学や理念(philosophy)が感じられれば、価値が評価され、価格競争の泥沼から抜け出せます。
②STORY-RICH PRODUCT 物語性豊かな商品(productからstory-rich productへのシフト)
作り手の思いや個性、開発エピソードといった「付加価値」が加わってこそ、思わず誰かに伝えたくなるような豊かな物語性(story-rich)を持ち得ます
③PERSONALITY 個性・人柄(promotionからpersonalityへのシフト)
ITの発達で、情報が爆発する中、信頼のおける人からの血の通った情報をお客様は求めています。個性・人柄(personality)は、あなたが信頼できる対象となるために欠かせない条件になっています。
④PROMISE お客様との約束・絆(Placeからpromiseへのシフト)
価値をお客様が感じれば、どんなに辺鄙な立地にあろうと、来店客でにぎわう繁盛店もあります。お客様はそこに約束や絆(promise)を求めて、わざわざその店を目指すのです。
顧客を絞り、感動創造業を目指す理由
理念がお客様に理解され、商売の実際と矛盾なく一致しているとき、顧客から寄せられる共感はより熱量の高い熱狂へ、愛着から無二の存在へ、信頼から応援へと昇華していくのです。
以下の5W1Hを実践することで、自社を無二の存在に変えられます。
・誰に(WHOM=対象顧客)
・何を(WHAT=商品・サービス)
・なぜ(WHY=経営理念)
・いつ(WHEN=商機
・どこで(WHERE=立地)
・どのように(HOW=業態・販売方法)
人口減少期を迎えた今日、もはやお客様は無限に存在しないため、顧客を定義することが重要になっています。 「あの人に」と言い切れるくらいに対象顧客が明確であってこそ、他の5つの要素も明確になります。満足させたいお客様を徹底的に絞り込むと、共感が生まれ、売上げと利益が上がるようになります。
仕事に惜しみなく自分の人間性(personality)を伝えられれば、お客様は共感と共に儲けという果実を与えてくれます。「感動創造業」という役割を担えた企業が、お客様から支持されるようになります。
お客様から選ばれるための前提は商品知識です。単なるカタログなどに記載された仕様を超えて、その商品が誰の、どのような問題を、どのように解決してくれるかを伝えられる知識です。 そうした知識を、お客様に伝えられてはじめて、「あの人は私のことをよく知ってくれているし、よく知ろうと努めてくれている」とお客様は感じてくれます。だから、私たちは商品ばかりではなく、一人ひとりのお客様の生活を見つめ、お客様の声に聞き耳を立てなければなりません。
商いとは、お客様に〝明るい未来〟を約束する営みです。そのためには、あなたならではの philosophy(哲学・理念)に基づいた story-rich product(物語性豊かな商品)を、あなたらしい personality(個性・人柄)で伝えることが重要になります。
日々、「WOW体験」を提供し、promiseを明確にすることで、お客様との関係を強化できます。価値を提供し、約束を果たそうと努力する姿をお客様があなたに認めたとき、お客様は自ら来店したり、情報をシェアしてくれるようになります。
「新しい4P」を、最も雄弁かつ効果的に伝えるのが、経営者の「人格」であり、その店の「のれん」になります。お客様は、信頼がおけて顔の見える personality(個性・人柄)と、promise(約束・絆)を結びたいと願っています。personalityに対する信頼の根本には、自身の商いや仕事に対する philosophy(哲学・理念)を持ち、それを具現した story-rich product(物語性豊かな商品)が欠かせなくなっています。新たな4Pを定義し、それを実践しましょう。
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