右脳思考
内田和成
東洋経済新報社
本書の要約
新規事業や組織改革を行う際に、ロジカルだけに頼るのはリスクが高いと考え、右脳を活用し、チームの感情を意識するようにしましょう。相手のやる気を引き出すことが重要だと考え、左脳と右脳の両方を活用することで、ビジネスで結果を出せるようになります。
なぜ、新規事業が失敗するのか?
実際のところ、多くの企業でよく起こり、そして、やっかいなのは、計画を推進・実行する人が納得しておらず、その気になっていないというものである。(内田和成)
新たなアイデアを生み出し、データを検証し、ロジカルに考え抜いたにも関わらず、予算をかけた新規事業が失敗することが多々あります。経営コンサルタントの内田和成氏は、新規事業で一番多い失敗の理由は、プランを考えた人と実行する人が別なことだと指摘します。
経営企画部門などに所属する優秀なスタッフが新規事業を発案して、それを事業部門の別の人間が指名されて実行するとたいていの場合、うまくいかないというのです。
実行する側の別の人には、オーナーシップ(当事者意識)が欠けています。新規事業では失敗がつきものですが、彼らはちょっとした壁にぶち当たったり、事前のシナリオと違うことが起こったりしたときに簡単にあきらめてしまいます。
これは人間の優秀さとは関係がありません。新規事業へのモチベーションが結果を左右するのです。
人間は誰しも、自分がやりたいと思ったことは一所懸命やるが、人から言われたことで興味がないことは、ほどほどになりがちだ。まして、経験をしたことがない領域であればあるほど、腰が引けてしまい、リスクに敏感になる。
ロジックに加え、人の感情を考えないために、多くの企業は新規事業で失敗を繰り返します。新規事業を立ち上げた、パッションのある人物に任せるべきなのに、立案する人と実行する人を分けることで、失敗してしまうのです。
人を動かすためには、発案した人が自ら先頭に立つか、あるいは実行する人をその気にさせる仕掛けや努力が必要なのです。
組織界改革でも右脳思考が必要な理由
人は感情で動く生き物です。組織変革をする場合にも、感情を意識すべきです。新しいリーダーがこれまでのやり方を変更して、改革をすることに決めて、実際に公式にアナウンスもし、プランを発動したとします。しかし、実際に進めてみると、変革に了解しているはずのメンバーが思うように動いてくれない時があります。ひどい場合には、賛成していた人が、抵抗勢力となってしまうこともあります。
著者は、こういった場合には、部下のやる気に問題があると指摘します。人はいままで慣れ親しんできたやり方から新しいやり方に移るのに心理的抵抗があります。改革を面白いと思う気持ちや新しいことを試してみようという前向きの気持ちより、不安を感じてしまうのです。
やる気のないメンバーに、いくらロジックで改革の必要性を説いても、なかなかやる気のスイッチが入りません。こういった場合には、ロジカルで解決するのではなく、右脳思考を活用すべきです。ロジカルだけで組織が動かないと感じたら、すぐに右脳で解決する方法を考えましょう。
「勘や感覚よりもロジックが大事」というのはビジネスの常識ですが、人の感情を理解しなければ、組織は動いてくれません。相手の心理面まで入り込んで、何が障害となっているのかを理解した上で、先に進む方法を考えないといけないのです。
心の底から納得していない案は、計画発表され実行に移されたときに、本人のやる気が足りなければ、途中で頓挫してしまいます。この場合重要なことは、ロジックではなく、やりたいとか、面白そうとか、やらないとまずいなといった気持ち=感情なのです。右脳と左脳のキャッチボールを実践すれば、組織改革を応援してくれる人が増え、成功が近づきます。
新規事業や組織改革を行う際に、ロジカルだけに頼るのはリスクが高いと考え、右脳を活用し、チームの感情を意識するようにしましょう。相手のやる気を引き出すことが重要だと考え、左脳と右脳の両方を活用することで、ビジネスで結果を出せるようになります。
コメント