2割に集中して結果を出す習慣術
古川武士
ディスカヴァー・トゥエンティワン
本書の要約
パレートの法則によれば、本当に重要なタスクは全体の20%にしか過ぎません。本当に重要な2割の仕事を明らかにし、それに集中するようにしましょう。そのためにはやらないことを決めることも重要です。自分の仕事のやり方を見直すために、一度、業務を棚卸し、時間配分を考えてみましょう。
2割の重要なタスクに集中しよう!
最善主義とは、「力の入れどころと抜きどころ(集中する2割)を見極めて、より無駄をなくし、限られた時間で最大の結果を出す」ことです。この思考を身につけると、あなたは今よりも少ない時間で大きな成果を出すことができます。 そして、自分に過度なストレスをかけず、プレッシャーや不安を軽減することができます。(古川武士)
完璧に仕事を行おうとすることで、結果が出せなくなるジレンマに陥ります。忙しい現代人は多様なタスクを抱えていますが、完璧を目指すことで、残業時間が増え、自分を疲弊させてしまいます。短時間で集中して仕事を終わらすためには、完璧を目指すより、最善を目指した方がよいのです。
パレートの法則によれば、本当に重要なタスクは全体の20%にしか過ぎません。完璧主義の人は100%の力を使って、仕事で結果を出すことを目指しますが、上手に力を抜く人は、重要な20%にフォーカスし、そこで結果を出すことを目指します。残りの80%の仕事は他者の力を借りたり、そこで失敗を起こさない程度によい意味での手抜きをします。
例えば、がんばりすぎる人は資料作成でも完璧を目指します。彼らは全てが完成した後に、ドキュメントをクライアントや上司に確認しますが、その段階で多くの修正が入ると、貴重な時間を無駄にしてしまいます。
上手に力を抜く人は、限られた時間で相手の要望を最大限満たすために、時間や人、エネルギーを効率的に使おうとします。そのために、戦略的に切り捨てたり、諦めたり、ハードルを下げたりと当初の予定を柔軟に変えていきます。この最適化マインドがあれば、予定の変更は妥協ではなく戦略的なものになるのです。
最善主義の人は少しずつ積み上げて、最終的に完成させればいいと考えるため、ゴールを設定したら、最初の一歩を小さくスタートします。初期の段階で目的を確認し、相手とコンセンサスを取れれば、資料作成に集中できます。スタート時や資料のフレームができた時に確認し、相手からフィードバックを得ることで、資料の質も高まりますし、時間を節約できるようになります。
結果を出すために、やらないことを明確にしよう!
仕事では「うまくいかない……」という事態とたくさん向き合う必要があります。完璧主義の人は、今日1日の結果について、「できた」「できなかった」と評価しがちですが、グレーゾーンがないと常に、「できなかった」という自己否定の連続で疲弊します。そして、途中で投げ出してしまいがちです。
私は広告会社を辞めてから、社外取締役やアドバイザー、大学の客員教授として働くようになりました。そのため、日々多くのタスクを抱えていますが、1日単位で自分の評価を行うことをやめました。1日の終わりにその日の成果を振り返るよりも、1週間週単位で捉えた方が私の仕事の場合は、現実的だったのです。
週末にその週の成果を振り返るようにすることで、自分の業務を俯瞰できるようになりました。週単位で考えることで重要度が明らかになり、翌週どの業務を優先するかを考えられるようになったのです。そのための準備を週単位で設計できるようになり、余裕も生まれました。
最近は、大学で教えるようになり、ケーススタディとフレームワークの授業の準備をする中で、多くの学びを得ています。今までの体験と授業で教えるケースを組み合わせることで、自分のクライアントのためのアイデアが生まれるようになったのです。優秀な経営者が乗り越えてきたケースを自分ごと化することで、結果を出せるようになったのです。
当初は、大学で教えることで、授業や準備に時間を取られ、自分の時間がなくなると考えていましたが、この経験が私を変えてくれました。準備を含めると週に10時間程度授業にとられることになりましたが、重要なタスクを優先し、やらないことを決めることで、今まで以上に生産性を上げることができました。
他者の力を借りたり、過去の経営者の体験を知ることはとても重要です。自分の力を過信するのではなく、仲間と協業したり、ケーススタディやフレームワークをビジネスに活用することで、自分のパフォーマンスを高められます。
本当に重要な2割の仕事を明らかにし、それに集中するようにしましょう。そのためにはやらないことを決めることも重要です。自分の仕事のやり方を見直すために、一度、業務を棚卸し、時間配分を考えてみましょう。
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