ケイティ・ミルクマンの自分を変える方法――いやでも体が動いてしまうとてつもなく強力な行動科学の書評

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自分を変える方法――いやでも体が動いてしまうとてつもなく強力な行動科学
ケイティ・ミルクマン
ダイヤモンド社

本書の要約

自分を変えたければ、自分の行動を変え、戦略を変更することです。新年や誕生日などの節目の日を変わり目の日に設定し、新たなアクションをすることで自分の習慣を変えることができます。このフレッシュスタート効果によって、私たちは今までとは異なる「別人」になれるのです。

自分の行動をよくするフレシュスタート効果とは何か?

ケイティ・ミルクマンは自分の人間的な性質を自在に操ることができる。目標や夢を実現するためにどんな行動を取ればよいかを知っている。(アンジェラ・ダックワース)

このブログでもお馴染みのアンジェラ・ダックワースが推奨していたため、ケイティ・ミルクマンに興味を持ちました。ミルクマンはペンシルベニア大学ウォートンスクール教授の行動科学者で、世界で最も影響力の大きい経営思想家 「Thinkers50」にも選出されています。

多くの人は自分の行動を変えたいと考えていますが、習慣の力に支配され、なかなか新たなチャレンジができません。著者は行動科学の研究から、新たな「行動変革の方法」を発見します。

早死の主な原因は、不十分な医療でも、劣悪な生活環境や悪い遺伝子、環境有害物質ではなく、実は自分の行動に原因があります。早死の40%が個人の行動、しかも自分で変えられる行動によるものと推定されています。 食事や運動、喫煙、セックス、交通安全などに関わる、毎日の一見ささいな決定が積もり積もって、毎年数千件のがんや心臓発作、交通事故での死亡を招いているのです。 

自分を変えたければ、自分の行動を変え、戦略を変更することです。最強の戦略家を見習い、敵(目標を遮るものや悪い習慣)を正しく評価し、それに合わせて戦略を調整するのです。

戦略をカスタマイズすれば、さらに手っ取り早く目標に到達できる。前進を阻んでいる障害を特定して撃破するのだ。(ケイティ・ミルクマン)

「目標達成」も「悪習断ち」も著者のメソッドを活用すれば、簡単に実現できます。著者はメガスタディによって科学的にも正しい方法で、私たちの行動を変える手伝いをしてくれます。

では、行動変容を起こし、定着させるためには何を行えばよいのでしょうか?実は自分の行動を変えたければ、始めるタイミングが重要であることがわかっています。人は何かを変えたいと思うとき、新たなスタートのように感じられる瞬間を探そうとします。

行動を始めるためのフレッシュスタートとは?

自分や他人の行動を変えるには、足を引っ張る古い習慣がない「フレッシュスタート(新たなスタート)」の状態から始めれば、とても有利な立場に立てるということだ。

何かを始めたければ、「フレッシュスタート効果」を活用しましょう。行動を始めるには成功しやすいタイミングがあるのです。自分が「新しい日だ!」と思えれば、その日が行動を開始する日に最適な1日になります。1月1日とか、自分の誕生日、月初めなどの節目になる日を変わり目の日に設定し、新たアクションを起こすことで、自分の習慣を変えられます。このフレッシュスタート効果によって、私たちは今までとは異なる「別人」になれるのです。

新しい日は過去の失敗から距離を置き、別人として未来をやり直すチャンスを与えてくれます。過去の失敗から距離を置き、別人(未来を楽観視できる人間)に生まれ変わったような気持ちになれるのです。このフレッシュスタート効果によって、多くの人が悪い習慣から抜け出し、新たな目標を達成しています。

ほとんどの新しい習慣は継続することなく失敗に終わります。 しかし、新年のフレッシュスタートの誓いは、たった 80%の失敗しかしないのです

たとえば新年は、普通の月曜日よりも行動への影響がずっと大きいのです。その日付が重要な節目であるほど、一歩後ろに下がり、自分を見つめ直し、過去の悪い習慣を断ち切れます。

私は毎年、夢の100リストを更新していますが、新年に自分の目標を書くようになって、達成する確率が高まったのです。毎年、20から30の目標が達成できるようになり、私の人生はよりよいものになりました。新年の誓いは 80%が失敗すると言いますが、成功する確率が20%もあると考え、自分の目標を書き出してみましょう。

健康不安も自分を変えるきっかけになります。私が断酒を成功できたのも、自分の体調が悪化し、ドクターストップを受けたからです。ドクターの本気のアドバイスと健康を取り戻したい私の意志が結びつき、悪い習慣(飲酒)をやめることができました。

自分を変えたいと思ったとき、環境を変えることも効果があります。古い生活習慣や考え方を断ち切りやすくなります。自分の環境を変えることで、フレッシュスタート感を演出しましょう。私は出張の際、できるだけ早めにその街に移動し、いつもとは異なる環境を楽しみます。この小さな変化が私に新しいことへのチャレンジを促してくれます。

2人の心理学者が転職する、恋人と別れる、ダイエットを始めるなど、人生を有意義な方向に変えようとしたことがある200人以上を対象に調査を行いました。 驚くべきことに、成功した人の36%が引っ越し後に行動変容に取り組んでいたのに対し、失敗した人のうち引っ越し後に取り組んでいた人は13%に過ぎませんでした。 引っ越しにより、生活環境を実際に変化させることで、それまで目に入らなかった、変化に向かう新しい道に気づけるようになります。

フレッシュスタートは変化を起こすのに役立つ一方で、良い習慣を継続できなくさせることがあります。長い夏休みによって、運動やダイエットの習慣が断ち切られてしまうことがあります。よい習慣を維持したい人は、フレッシュスタート効果のマイナス面にも注意を払う必要があります。


 

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