あえて数字からおりる働き方 個人がつながる時代の生存戦略(尾原和啓) の書評

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あえて数字からおりる働き方 個人がつながる時代の生存戦略
尾原和啓
SBクリエイティブ

本書の要約

GIVEを日常に取り入れること、他者への貢献を実践することで、「他の誰かではなく、あなたに仕事を頼みたい」という存在になれるのです。 誰かにとって意味がある存在になることで、自分のやりたいことを仕事にでき、人生を縁上位できるようになります。

誰かにとって「意味のある」存在になろう!

大事なことは「他の誰かではなく、あなたに仕事を頼みたい」という、誰かにとって意味がある存在になることです。 自分が誰かにとって「意味のある」存在になる。その積み重ねで、たくさんの人の「意味のある」存在となり、最終的に人は「何者かになる」のだと、僕は思っています。(尾原和啓)

会社に頼らず食べていける人になりたい、今のままでいたくない人は多いと思いますが、そのために何をしたらよいのでしょうか?様々なビジネスで他者に貢献する尾原和啓氏は、GIVEが重要だと本書で指摘します。

尾原氏は、見かけたニュース、読んだ本など、様々な情報について、それが誰のためになりそうかを考えながら、毎日20通のGIVEメールを送り続けていると言います。その情報に価値を感じた人からは、「ありがとう」という言葉が返ってきます。 この貢献型の情報交換によって、相手との信頼関係が構築され、仕事によい影響を及ぼします。

SNSの普及で、私たちはいいね!やフォロワー数などを増やすことを重視しがちですが、実はそれには意味がありません。仕事でよい人間関係を作りたければ、「数字のおばけ」になるよりも、発信する情報の質を高めていくべきです。

そのためには、他者に喜んでもらうGIVEを考えるべきです。
・自分が誰かから「有り難う」と言ってもらえるGIVEを繰り返すこと
・ギブを繰り返すことによって、特定の誰かにとっての「意味のある」存在になること
・特定の誰かにとって「意味のある」存在になることを重ねていくこと

現代のように変化が激しく、昨日までの正解が突然通用しなくなる時代においては、同質な仲間に頼るよりも、様々な課題を解決できる仲間を持つべきです。この「集合天才」というコミュニティをリアルの人間関係だけでなく、SNSでつくることで、課題が解決できるようになり、他者から一緒に仕事がしたいと思ってもらえる人材になれるのです。

これからの時代における”働き方”で大事なのは、”あなたは誰にとって意味のある存在ですか?”という問いであり、その答えを持てる存在になるということです。だからこそ、人間関係をベースとした、”あなたが好きだから一緒に仕事がしたい”というような信頼関係を築くことが、個人の働き方の主軸になっていくのだろうと僕は考えています。

現代は、会社の肩書きだけで生きていけるほど甘くはありません。今、私たちに必要なのは、課題を定義・解決できるための豊富な経験と人脈なのです。

そのためにSNSやブログを活用して、GIVEを習慣にしましょう。私も11年間この書評ブログで情報発信を行ってきました。読書というインプットとアウトプットを継続すること(自己投資)によって、自分を鍛えるだけでなく、多くの出会いをデザインできました。

「あなたに仕事を頼みたい」という存在になるために必要なこと

実践の戦いの中で生き残ってきている、つまり実戦のテストの中で勝ち抜いて実力が証明されていることを「バトル・テスティッド(Battle Tested)」と言います。プロジェクトの成功でも人柄でも「バトルテスティッド」なカードがたまった人はネットやソーシャルでの評判が高まりますから、より大きな舞台が提供されることが増え、より経験を積み、より大きな舞台を呼び込んでいくことになり、経験の拡大再生産を繰り返していくことになります。  

GIVEを実践し、よい人間関係を築けると、人を疑うことがなくなります。相手との信頼が高まれば、情報の伝達や人との出会い、コミュニケーションがぐっと速くなります。「ハイパー性善説」でお互いを信じていれば、どんどんアイデアが広がりますし、お互いをサポートできます。

相手の視野、視座に立って世界を見直していき、さらに相手が喜ぶことをGIVEするようにします。相手の視点に立ち情報を集めるようになるとアンテナの立ち方が変わり、日常の様々なニュースや景色から学びを得られます。それらをGIVEすることで、他者から感謝されるようになります。

GIVEを継続することで、信頼の連鎖が起こりやすくなります。GIVEによって人的資本が充実でき、ビジネスの可能性が広がります。

著者は伊藤穰一氏の「変化の時代で向かうべき9つの原則」を身につけることで、これからの時代を生き抜けると言います。
①強さではなくしなやかさを持つこと。つまり、失敗に抵抗しようとするのではなく、失敗を認め、受け入れた上で、そこから跳ね上がっていくこと
②「押す」のではなく「引く」こと。資源を中央に集めてコントロールするのではなく、必要に応じてネットワークから引き出すこと
③安全に焦点を当てるのではなく、リスクをとること
④モノではなく、システムに焦点を合わせること
⑤地図ではなく、よいコンパスを持つこと
⑥理論ではなく、実践に基づくこと。なぜそれが機能するのかわからないときもあるが、大事なのは、理論を知っていることではなく、それが機能するということだ
⑦服従ではなく、反抗すること。人に言われたことをしても、ノーベル賞は取れない。多くの学校は服従について教えるが、われわれは反抗を賞賛するべきだ
⑧専門家ではなく、クラウド(人々)に向かうこと
⑨教育ではなく、学習に焦点を当てること

普段の仕事では関わらない範囲まで人との交流を広げたり、仕事そのものの意義を拡げたりすることで、いつもと違う景色を味わおうとします。何より、仕事に自分なりの意義をもって働いている人の姿は、他者から見てもとても気持ちのいいものです。仕事に「美学」を持っている人の所作はどこか人目を引きます。そのことを本人もよくわかっているし、反響があることがまた嬉しくて、さらに技術を磨くようになります。仕事を工夫することに、本人なりの意義や美学が重なっていくと、良い循環にハマり、ブーストがかかる。すると、もはや単純作業といわれる仕事だったとしても、その人にしかできない、唯一無二の仕事になっていくのです。そういう人にかかれば、どんな仕事も自分の天職になってしまうでしょう。

自分の仕事を自ら設計し、仕事に対する意識や気持ちを変えていくことで、結果を出せるようになります。そのためには以下の3つを実践するとよいでしょう。
①社会的交流の質や量(範囲)を見直す
②仕事の意義を拡げる(目的を大きな範囲から見直す)
③仕事の内容に手を加えてみる(課題を変える)

GIVEを日常に取り入れること、他者への貢献を実践することで、「他の誰かではなく、あなたに仕事を頼みたい」という存在になれるのです。 誰かにとって意味がある存在になることで、自分のやりたいことを仕事にでき、人生をエンジョイできるようになります。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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