佐治晴夫氏のこの星で生きる理由 ―過去は新しく、未来はなつかしくの書評

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この星で生きる理由 ―過去は新しく、未来はなつかしく
佐治晴夫
アノニマ・スタジオ

本書の要約

最近の研究結果から「思えば叶う」という考え方が正しいということがわかってきました。ひとつの目的を設定すると、自分の意識としての自覚はなくても、周囲の状況から、その目的達成のために有利な条件を自動検索するような機能が私たちの脳に備わっていることが明らかになっています。

「病は気から」や「思えば叶う」を科学的に考える!

病は心の持ち方にも左右されるという意味で、古くから言い伝えられてきた「病は気から」ということが、科学の視点から見て、明らかにされようとしています。(佐治晴夫)

量子論的無からの宇宙創生にかかわる“ゆらぎ”の理論研究で知られる佐治晴夫氏の本を初めて読みましたが、広大な宇宙を基軸に人生を考えることで、多くの刺激を受けることができました。

例えば、病は気からという古くから語り伝えられてきた言葉を著者は科学者の視点から意味づけします。「病気は気持ちしだいで、良くもなれば悪くもなる」という考えが、最近の科学で実証されていると言うのです。

人体の各臓器は、それぞれメッセージ物質を交換しながら全体としてバランスを取っています。分子レベルの研究では、免疫細胞に、神経からの情報を受け取る部位が発見されており、ストレスと病との関係が、明らかになっています。つまり、自分の気持ちの持ちようが、免疫力に影響を与え、人は病気になることもあれば、回復する力をもらえます。

アメリカのある大学での癌患者生存率の研究で、病について悩まなかった人のほうが生存率が高いことがわかりました。自分の病を素直に受け入れ、未来への希望を持って生きている患者のほうが、悲観的、絶望的な毎日を送っている患者よりも、平均生存率が高かったのです。

私たちの人生は何が起こるかわかりません。その際、現状を受け入れ、ポジティブなことを探し、たくましく生きることを選択したほうがよさそうです。著者はすべてはゆらぎ、変転していると言う素粒子の理論を人生にも取り入れるとよいと述べています。

仏教の「諸行無常」を引き合いに出すまでもなく、原子分子レベルから日常まで、すべてはゆらぎ、変転しています。しかも、孤立した個は存在せず、他との関連において存在しています。「諸法無我」、縁起の理法、素粒子の場の理論です。数学的にも、半分しか見えていない未来に夢を託して生きてみるのも、ひとつのいい生き方かもしれません。

私はこの一節を読みながら、ケンタッキー大学のデボラ・ダナー教授の研究を思い出しました。 楽しい・嬉しいなどポジティブな言葉を使う人と、寂しい・悲しいなどネガティブな言葉を使う人について、ダナー氏が調査したところ、60年後の生存率が大きく異なりました。 ポジティブな言葉を使う人の生存率はなんと約90%で、逆にネガティブな言葉を使う人は約34%だったのです。 

最近の研究結果から「思えば叶う」という考え方が正しいということがわかってきました。ひとつの目的を設定すると、自分の意識としての自覚はなくても、周囲の状況から、その目的達成のために有利な条件を自動検索するような機能が私たちの脳に備わっていることが明らかになっています。

「思えば叶う」は精神論ではなく科学で説明できるよういなりました。自分の目標や夢をリストに書くことも意味ある行動なのです。

未来の捉え方を変えることで、幸せになれる?

私たちは、未来を変える自由を「今」持っています。そして、「今」という瞬間は、過去からの集積の結果としての「今」なのです。これからの未来をどう生きるかによって、その時々の「今」の集積として降り積もっていく過去は、未来によって新しく塗り替えられていくことになります。

過去が未来を決めるのではなく、未来がそれを生み出した過去の価値を決めていくと考え、過去へのこだわりを捨てましょう。「これから」が「これまで」を決めると考え、現在の行動を変えることで未来を変えられます。

私たち生物は、同じ場所にとどまっていては、生きながらえていくことができないように設計されています。生物が生息する環境は常に変化していて、生物はその環境に適合するように、自らを変えていかない限り、生き続けることができません。

この習性が私たちにも埋め込まれています。時折環境を変え、変化に適応することで、自分をアップデートできます。引っ越しをしたり、旅行をするなど自分の環境を変えることで、様々な刺激を受けられ、新たなチャレンジのきっかけになります。

本書にはこのブログでもお馴染みのセネカの「人生が短いのではない。我々がそれを短くしているのだ」という言葉が紹介されています。人生をより長く、濃く生きるためには、「新しいことや人に出会う」ことが大切だと著者は言います。私も毎日新たな出会いをデザインしたり、新しいことにチャレンジしています。いろいろな場所に旅することで、多くの刺激を得られます。

驚きや新鮮さと出合うことによって細胞が活性化され、あたかも子ども時代のように、たくさんの時間を感じることができるでしょう。それによって、あなたの人生はより充実し、豊かな毎日になるはずです。

そのためには、好奇心を持って、新たなことに驚き、チャレンジしてみようと思う気持ちが欠かせません。”今さら”の”さ”を”か”に変えて、”今から”はじめてみるという著者のアドバイスに共感を覚えました。佐治氏の87年の知識や体験はとても奥が深く、本書から様々な学びを得られました。科学者の本であるにもかかわらず、わかりやすく書かれていたのもよかったです。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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