HOW TO THINK LIKE Bill Gates ビル・ゲイツの思考哲学(ダニエル・スミス)の書評

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HOW TO THINK LIKE Bill Gates ビル・ゲイツの思考哲学
ダニエル・スミス
文響社

本書の要約

自分の周囲に、ビジョンを分かち合える、独特な個性や特技を持つ人物(集合天才)を集めることで、成功の可能性が高まります。共通する目的を持つ、才能あふれるスタッフやパートナーを集められるよう自分のビジョンやパーパスを明らかにすることが経営者には求められています。

ビル・ゲイツが成功できた理由とは?

ゲイツは生まれ変わった。かつては資本主義による「奪って、奪って、奪い尽くせ」という文化を体現していた男が、21世紀には「与えて、与えて、もっと与えよう」という動きを代表する人物となったのだ。 (ダニエル・スミス)

ビル・ゲイツは、マイクロソフトの創業者で世界一の大富豪として長年君臨してきました。彼の最大の功績は、コンピュータの発展に貢献したことと、慈善活動に対する既成概念を根本から変えたことです。

ゲイツはライバルを蹴落とし、利益を徹底的に追求する経営者から慈善活動家に見事に変身しますが、ここから私たちは大きな学びを得られます。ゲイツの言葉をまとめた本書を読み、彼の思考の哲学に触れることで、私の中でのゲイツの評価が、仕事一筋のスーパーオタクから、仕事と遊びの両方を徹底的に楽しんでいる魅力的な人に変わりました。

メディアで発信されるものとは異なるゲイツの姿を本書で知ることができました。一人の人間として悩み苦しみながら、思考と行動を重ねることで、自分の人生を素晴らしいものに変えていく姿勢にとても共感を覚えました。

ゲイツの次の言葉を読むと彼のアイデアの源泉が質問力と理解力であることがわかります。さまざまな知識と体験を掛け合わせることで、彼は新たな課題を定義し、解決策を次々と生み出してきたのです。

賢さとは、新しい事実を吸収する力のことです。また、核心を突く質問をして、すぐに理解する力です。物事を記憶し、一見関連がなさそうなものとの間につながりを見つける才能でもあります。(ビル・ゲイツ)

貪欲に目の前の事実を吸収、理解し、知識と体験をストックしておき、それらをつなぎ合わせることで、新たなアイデアを生み出せるようになります。自分の目の前の課題に取り組むこと、ソフトウェア開発にいち早く取り組むことで、ゲイツは成功を手に入れたのです。

その後も、ソフトウェアと慈善活動という全く異なる領域で、創造的な思考力、現実への対応力、組織の統率力、人々を奮い立たせる力によって、いくつもの課題を解決してきました。

集合天才という組織の作り方

ゲイツは自分の能力を補ってくれる、信頼できる友人や協力者といった数人の仲間を周囲に置くことを決して忘れなかった。(ダニエル・スミス)

ゲイツは「集合天才」という考えを取り入れ、イノベーションを起こし続けます。(「集合天才」とは一人の天才の出現に頼らず、組織のメンバーの才能を集めることでよい結果を出そうという考え方)

ゲイツは自分に十分な自信があるため、ある分野で自分より優れた能力を持つ人物や、自分に楯突くことを恐れないような人物と働くことで、多様な才能を自分のもとに集め、彼らの能力を引き出します。「勝てるチームには進んで互いから学ぼうとするメンバーが必須だ」と考え、周りに異能な天才を集め、課題を解決していったのです。

財産などよりも、「何千もの才能のある優秀な人材が集まったチームの指揮を採っているほうがずっと刺激的だ」とゲイツは述べています。

ビル・ゲイツは以下の思考哲学のもと、マイクロソフトを飛躍的に成長させたのです。
・どんなに優秀であっても、たった一人で事業を成功させることは不可能と考える。
・自分の苦手分野を補える、学び好きな仲間をスカウトする。
・仲間との決裂を恐れず、忌憚なく意見をぶつけ合う。
・製品開発の現場は楽しく、活発に意見が飛び交うようにする。

日本でもコンサルタント会社のチームエルが集合天才を活用し、よいカルチャーを築くことで成長を続けています。

一人一人が「自分の力だけでできることには限界がある」という考え方にたち、個々の専門分野を持った人間が自分の経験を人に教えてあげ、他人の経験を教えてもらい、一人一人の経験を全体の経験にしていく。 100人いれば、自分は 100人分の経験と100人分の知識を持って仕事をできる。そうすれば、素晴らしいことが実現できる。 私たち一人一人の力は大きなことを成すには無力である。しかし、「個人の経験を全体のものとし、全体の経験を個人に結集する」というやり方で事に当たれば、天才以上のことも成し遂げられるのである。凡人が集まって天才でなければできないことを成し遂げる。これが「集合天才」の概念です。(チームエルのサイトから引用)

自分の周囲に、ビジョンを分かち合える、独特な個性や特技を持つ人物(集合天才)を集めることで、成功の可能性が高まります。共通する目的を持った才能あふれるスタッフやパートナーを集めるために、自分のビジョンやパーパスを明らかにすることが経営者には求められています。

変化に適応するために新たな動きを絶えず予測し、イノベーションを起こさなければ、経営者は時代に取り残されてしまいます。リーダーはビジョンを示し、多様な才能を引き寄せることに注力する必要があります。

本当のところ、人は起業家モードになっているとき──、つまり一心不乱に新しいものについて考えているときにこそ、世界を驚かせるような価値が生み出せるんです。(ビル・ゲイツ)

壮大なビジョンを実現するために、その道のプロである集合天才と共に挑戦を続けるゲイツの行動力を起業家は身につけるべきです。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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