エクスプレッシブ・ライティングによって得られる効果とは?スーザン・ケインの静かな力の書評

red and purple coloring pencils on pink journal

静かな力
スーザン・ケイン, グレゴリー・モーン
学研プラス

静かな力(スーザン・ケイン)の要約

エクスプレッシブ・ライティングの真の目的は、自己治癒のプロセスを促進することです。完璧な文章を追求するのではなく、素直な心の声を記すことが最も重要です。書く行為を通じて、感情の乱れや混乱が次第に整理され、心の平穏を取り戻すことが期待されます。

エクスプレッシブ・ライティングの効果とは?

もしあなたが「エクスプレッシブ・ライティング」という考え方に興味をお持ちなら、次のようなことを新しい日課にしてはいかがだろう。まず、無地のノートを用意しよう。そしてノートを開いたら、何かを書き留めよう。あなたのビターな部分、あるいは、あなたのスイートな部分を引き出してみよう。(スーザン・ケイン)

テキサス大学のジェームズ・ペネベイカー教授の研究によれば、書くことは私たちの心と体に驚くほどのポジティブな効果をもたらすことが明らかになりました。「エクスプレッシブ・ライティング(自分が抱えている悩みや不安を書き出すこと)」によって、思考や感情がクリアになり、それが私たちの心の健康に寄与すると言われています。

ペネベイカー教授の研究では、「苦しみ」に関して書いたグループと、自分のスニーカーについて書いたグループとを比較しました。結果、前者のグループの参加者は、心の平穏や幸福感を感じる確率が高く、さらに健康面でもメリットがあることが明らかになりました。具体的には、数カ月後においても血圧が安定していたり、医者の診察を受ける頻度が低かったりという実績が確認されました。さらに、人間関係やキャリア面での成功も報告されました。

ペネベイカー教授は、解雇後のシニアエンジニアたちを対象としたもう一つの実験も実施しました。このエンジニアたちは長年、同じ企業で働いていたにもかかわらず、再就職が難しくなっていました。彼らを2つのグループに分け、一方には心の中の苦痛や怒り、不安について書くよう指示し、もう一方には中立的なトピックについて書くよう指示しました。

数カ月後の結果、心の中の感情を書き出したグループの中で再就職に成功したエンジニアの数は、中立的なトピックを書いたグループの3倍でした。 これらの研究から、私たちの感情や苦悩を言葉にすることが、心理的、身体的、さらには職業的な成功へと繋がる可能性があることが示唆されています。

私たちがペネベイカー教授の「エクスプレッシブ・ライティング」という手法を試すことで、人生の障害や困難を「不幸」として避けるのではなく、それを「成長の機会」として受け入れる新しい視点を手に入れることができるのです。

ペネベイカー教授の研究によれば、自分の悩みや心の中を書き出すことで、後に良い結果を得た人々の中には、「私はこう学びました」とか「私はこれに感銘を受けました」といった言葉を使って自己の変化や成長を表現する人が多かったといいます。彼らは困難を「楽しむ」わけではありません。むしろ、困難を通して「深い洞察」や「真実を理解する力」を身につけたのです。

エクスプレッシブ・ライティングは、手軽に始められる自己成長のツールの一つです。ノートとペンがあれば、いつでもどこでも、あなたの心の中を文字にすることができます。このプロセスを通して、感じること、考えることを深く探求することで、自己理解が深まり、成長の足がかりとなるでしょう。

エクスプレッシブ・ライティングを書く際に気をつけること!

もしあなたが、悲惨な一日を過ごしたなら、そのことについて書いておこう。何があったのか、あなたがそれをどう思ったか、なぜそう思ったかを正確に書き留めよう。あなたがなぜ失望したのか、なぜ裏切られた気がしたのか、何を恐れているのかを書き留めよう。もしあなたが、書くことで自分の悩みや苦しみが解消するような気がするなら、それはいいことだ。でも、そんな気はしなくても、一向にかまわない。また、すばらしい文章を書かなくてもかまわない。ただ、書きさえすれば、それでいいのだ。

エクスプレッシブ・ライティングは、私たちの心の中に秘められた感情や思考を文字にする方法です。スーザン・ケインのアドバイスに従えば、この手法の本質は、真実の自分を明確に表現することにあります。特に困難な時期や辛い経験をしたとき、その瞬間を文字にすることは、自分自身の感情や背後にある要因をより深く理解する手助けとなります。

エクスプレッシブ・ライティングの真の目的は、自己治癒のプロセスを促進することです。完璧な文章を追求するのではなく、素直な心の声を記すことが最も重要です。書く行為を通じて、感情の乱れや混乱が次第に整理され、心の平穏を取り戻すことが期待されます。ただし、すぐに効果を実感できなくても、継続することで、自己との対話が深まり、自己認識や自己成長につながります。

エクスプレッシブ・ライティングは、心の健康を維持するための強力なツールです。この手法によって、日々の疲れやストレスを癒すだけでなく、自己受容や自己肯定感の強化にも寄与します。さらに、思考の自由な流れを通じて、未知の自分や新しいアイディア、解決策を発見することができるのです。

エクスプレッシブ・ライティングは、自分自身を深く知るプロセスとして、また心の健康を向上させる手段として、誰もが容易に取り組むことができます。必要なのは、紙とペン、そして自分自身の思考や感情を率直に表現する勇気だけです。このシンプルな行為が、自分との対話を深め、心の成長と健康を促進することができるようになります。

私自身も、毎日の感謝日記の習慣によって、幸福感を高めています。日々の出来事や人々との交流を通して得た学びや気づき、そして何より他者への感謝を書くことで、私の中の困難やネガティブな感情も、乗り越える力を持つ源となりました。それは、心の整理や再確認の場として、書くことが大きな役割を果たしているからです。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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