「人生が充実する」時間のつかい方とは? UCLAのMBA教授キャシー・ホームズに学ぶ幸せになるための時間術。

selective focus photo of brown and blue hourglass on stones「人生が充実する」時間のつかい方 UCLAのMBA教授が教える“いつも時間に追われる自分”をやめるメソッド
キャシー・ホームズ
翔泳社

「人生が充実する」時間のつかい方(キャシー・ホームズ)の要約

最も重要なことは、自分自身の幸福を追求し、その実現のためのバランスを見つけることです。時間は限られた資源ですが、時間を適切に管理し、タイムクラフティングという方法を用いて、美しいモザイクのように時間を配置することで、充実した人生を築く手助けになります。

時間貧乏から抜け出す方法

速度を落として、自分が過ごす時間を実際に味わうための時間が欲しかったのです。自分の人生を振り返ったときに、おぼろげな記憶が残っているだけというのではなく、幸せを感じたいと思いました。(キャシー・ホームズ)

時間は平等で、全ての人に1日24時間が与えられています。この限られた時間の中で、数々のタスクや目標を達成しようと思っても、その全てを達成するのは難しいことも多いです。しかし、「時間がない」と感じる瞬間、それは実際には時間そのものの問題ではなく、私たちの時間の使い方や優先順位の問題であることが多いのです。

日常において多くのタスクを追い求め、自らを忙しいと感じさせることで満足感を得ようとする人もいます。しかしそれは、忙しさ=価値や成果とは限らないことを忘れてはいけません。忙しいことが必ずしも心の充足や生活の質の向上をもたらすわけではありません。 重要なのは、自分の時間をどのように使いたいか、何に時間を使うことで本当の満足感や幸福感を得られるかを見極め、意識的に時間を使うことです。

日々の生活の中で、本当に大切なことに時間を割き、自分の心と向き合いながら、質の高い時間を過ごすことが大切です。

UCLAアンダーソン経営大学院教授であるキャシー・ホームズと研究者たちの調査によると、1日の自由に使える時間が約2時間を下回ると、人々の幸福感は著しく低下することが明らかにされています。実際、以前の著者は「時間貧乏」の状態に陥っていました。

「時間貧乏」とは、自分が行いたいことや必要なことを全て達成するのに十分な時間が持てない状態を指します。そして驚くべきことに、この時間貧乏という状態に悩む人は増加傾向にあり、多くの現代人の課題になっています。

時間がなさすぎる人は、幸せの度合いと人生への満足度が、著しく低いのです。

逆に可処分時間がありすぎると人生に満足できないというペインを感じてしまいます。生産性を実感できない人生はつまらないもので、幸福感を感じられないのです

仕事を持ちながら2時間から5時間の可処分時間を手にするのが、人生の幸福度を高める秘訣です。仕事を持つことは生活費を稼ぐために必要ですが、同時に自己成長や趣味を追求するための時間も必要です。仕事を持ちながら2時間から5時間の可処分時間を手にすることで、人は仕事とプライベートのバランスを取ることができるようになります。

人生における幸福と意義は密接に関連しています。幸せな瞬間や意義のある出来事は、私たちの人生に喜びと充実感をもたらします。しかし、人生にはネガティブな経験もつきものです。失敗や困難な出来事から学び、その意味を理解することは、ネガティブな出来事を克服するための重要な要素です。

ネガティブな経験から学ぶことによって、私たちは成長し、自己理解を深めることができます。困難な状況に直面した際に、自分自身を責めたり絶望的な考えに陥ることもあるかもしれません。しかし、そのような経験を乗り越えることに成功すれば、以前よりも強くなり、前向きに生きることができるでしょう。

人は特に経験のピークや終わりの瞬間に強い影響を受けます。これらの瞬間は私たちの記憶に鮮明に刻まれます。そのため、私たちは幸せな瞬間に焦点を当て、それを祝福するために自分自身への時間を作り上げることが重要です。幸せな瞬間を大切にし、それを思い出すことで、私たちは自己実現を追求する意欲を持ち続けることができるのです。

お金あるいは時間をどれだけ持っているかにかかわらず、時間に意識を向ける方が、幸福感が高まります。お金よりも時間を大切にする人は、日々をよりポジティブに感じており、人生にも満足していると答えました。 時間に焦点を当てることの利点は、慎重に考え、時間をもっとうまく──つまり、楽しく、有意義で、自分の価値観に沿った活動に──投じることから生まれます。

お金を持っているかどうかよりも、時間に意識を向けることが幸福感を高める要素であると言えます。時間を大切にし、自己成長や趣味、人間関係に時間を投じることで、より充実した人生を送ることができるのです。お金を大切にしつつも、時間を重視することがバランスの取れた幸福な生活の鍵となるのです。

仕事に対する満足度は、仕事以外の時間にも影響を及ぼし、人生全体の満足度に大きな影響を与える主要な要因の一つとして認識されています。仕事に意義や目的を見出し、その意識を高めることで、仕事がより楽しみなものになります。

仕事の目的は個々の考え方によって異なりますが、自分自身の幸せや成長、他の人々の幸福、自己の能力の発揮といった目的に向かって仕事に取り組むことは、モチベーションとやる気を維持するために非常に重要です。自分が仕事に時間をつぎ込む究極の理由を知ることで、充実感や満足感を得ることができるでしょう。

私自身も独立してから、自分のパーパスに意識を向けることで、仕事をより楽しむことができるようになりました。楽しい時間を増やすことで、私の幸福感は確実に高まっています。

タイムクラフティングで幸せな時間を増やす方法

時間的な余裕がないと、さまざまなネガティブな影響が生じる可能性があります。体力を維持するための運動を怠ることで不健康になり、他人に手を差し伸べる余裕がなくなり、自信を喪失し、失敗を恐れるようになることがあります。これにより、幸福感も低下することがあります。

時間的な余裕の感覚は主観的であり、改善する方法がいくつかあります。時間的な余裕を感じるためには、自己肯定感を高め、やりたいことを達成できるという自信を持つことが大切です。以下にその方法をいくつか示します。

■運動
体を動かす運動は、自己肯定感を高めるだけでなく、気分を高める効果もあります。定期的な運動を取り入れることで、体力が向上し、自信を持つことができます。

■親切な行為
他人を助けることは、時間的な余裕がないと感じる不安を和らげるだけでなく、自己満足感を高めることができます。他人に対して親切に行動することで、共感力や人間関係も向上し、幸福感が増します。

■畏敬の念をを感じるものを見つける
自分自身や時間の感覚を広げるために、畏敬の念を感じられる要素を探しましょう。他人との関わり、自然の美しさ、芸術、他人の偉業など、畏敬の念を味わえる瞬間を追求することで、時間の豊かさを感じることができます。 時間は限られた資源ですが、自己肯定感を高め、他人に親切に接し、畏敬の念を感じることで、幸福感を向上させることができます。これらの要素を組み合わせて、時間的な余裕を持ち、より充実した生活を実現しましょう。

アーティストとして、日々のスケジュールを美しいモザイクとしてデザインすること(タイムクラフティング)は、幸福な生活を築くための重要なステップです。時間を選び、配置し、活用する方法は、個人によって異なりますが、理想的な1週間をデザインするために考慮すべきいくつかのポイントを紹介しましょう。

①固定タイルを置く
毎週の決まったタスクをカレンダーに記入します。

②喜びのタイルを置く
・人とつながる時間を確保する。
・集中力を削ぐものを禁止し、大切な時間を守る。
・雑用をアウトソースし、喜びの時間を最大化する。
・よいことに集中する時間を割り当てる。

感謝日記をつけると、人生や世の中のよい点(たくさんあります)に意識を向ける訓練になるため、効果的です。これを実践すると実際に、「コップが半分空だ」と自然と考えるタイプの人でも、永続的によりポジティブに変わる可能性があります。

感謝の気持ちを表現する人は、生活の中で感じる幸福度が高く、人生全体の満足度も高いことが研究によって示されています。私も感謝日記を習慣にすることで、毎朝、幸せなを実感しています。

・定期的に一緒に過ごすという伝統を作る。

・友情を育む時間を作る。

・確実に行うために、「やりたい活動」と「やらなければいけない活動」を抱き合わせる。

・目的を達成するために、注意散漫にならない時間を確保する。

・集中力を要するものは、自然と一番集中できる時間に予定する。

・生産的でいたい時間には、注意力を散漫にさせるものを排除し、フローに入りやすくなる環境を作る。

③時間的余裕を取る
・好きに過ごせる時間を作る。

・考える時間を作る。

・何もしない時間を確保する。

ご存知の通り、人は予定をつめ込みがちです。ノーとなかなか言えず、将来的にはもっと時間ができるだろうと考え、イエスと言いすぎてしまいます。加えて、人は生産的かつ社交的になるよう駆り立てられています。意図を持って計画しないと、時間のガラス瓶はあっという間にいっぱいになってしまうでしょう。意図を持っていても、カンバスはすぐに覆い尽くされてしまいます。

心を落ち着け、余裕を保つために、空白の時間を確保しましょう。カレンダーに空白を書き込むことで、自分の人生の可能性を広げられます。

④タイルを並べる
・楽しめる活動を分割して広げる。

・楽しくない活動を一つにまとめる。

・楽しい活動を家事と抱き合わせる。

・ネガティブな活動の直後にポジティブな活動の予定を入れる。

・ポジティブな経験を何度も思い出す。

タイムクラフティングにより、1週間全体を俯瞰することにより、時間の使い方においてある活動を「するか否か」ではなく、「いつするか」に焦点を当てることができます。この俯瞰の視点は、葛藤や罪悪感の解消や効率的な時間管理に役立ちます。日常生活や仕事において、ぜひ俯瞰の視点を持つことを心掛けましょう。

最も重要なことは、自分自身の幸せを追求し、時間を使ってそれを実現するためのバランスを見つけることです。時間は限られた資源ですが、適切に管理し、日々のタスクを美しいモザイクのように配置することで、充実した人生を築く手助けになります。


 

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