静かな力(スーザン・ケイン , グレゴリー・モーン)の書評

man siting on wooden dock

静かな力
スーザン・ケイン , グレゴリー・モーン
学研プラス

本書の要約

スーザン・ケインは、静かで内向的(ビタースイート)な人々が持つ深い思考力、集中力、そして独自の洞察力が、実は社会にとって非常に価値あるものであると主張しています。 内向的な人々は、一人の時間を重視し、その時間を使って深い洞察や創造的なアイデアを生み出すことができます。

ビタースイート(静かな時間)を過ごす価値とは?

「ビタースイート」な人は、「切なる望み」や「心のうずき」、「悲しみ」を抱きやすく、時が過ぎゆくのを鋭く感じ取る。そして、世の中の美しいものに接すると、心に妙に突き刺さるような喜びを覚える。(スーザン・ケイン)

近年、外向的な特質を持つ人々が賞賛される社会の中で、スーザン・ケインの「静かなる力」は一風変わった視点を提示しています。この本は、しばしば見過ごされがちな内向的な性格の持つ力に焦点を当てています。 社会はよく「積極的なリーダーシップ」や「社交的な能力」を持つ人々を高く評価しますが、ケインはその常識を根本から覆します。

彼女は、静かで内向的(ビタースイート)な人々が持つ深い思考力、集中力、そして独自の洞察力が、実は社会にとって非常に価値あるものであると主張しています。 内向的な人々は、一人の時間を重視し、その時間を使ってビターな体験をスイートなストーリーに転換しています。彼らは悲しい体験から深い洞察や創造的なアイデアを生み出すことができるのです。

また、細部に気を配る能力や、変化を迅速に捉える感受性も持ち合わせています。内向的な人々の集中力と洞察力は、ビジネスの世界でも非常に重要な役割を果たしています。例えば、彼らは複雑な問題に対して深く考え、独自の視点から新たな解決策を見つけることができます。

一方で、内向的な人々は、社交的な能力に欠けるため、コミュニケーションや人間関係の構築に苦労することもあります。しかし、ケインは、内向的な人々が自分自身の性格を受け入れ、自分らしさを大切にすることで、自信を持ち、他者との関係を築くことができるとも述べています。

「ビタースイート」であることは、「静かな力」であり、「生き方」であり、「多くの物語の伝統的なテーマ」でもあって、人間としての可能性にあふれている。それなのに、そうしたことは完全に見落とされている。「ビタースイート」であることは、不変の美しさを備えながらも大きな欠陥のある世界で生きていく、という課題に対する、確実で気分を高めてくれる「答え」でもある。

ビタースイートの感情は、その名の通り、苦しさと甘さを同時に感じる複雑なものであり、私たちの心の中に根付く「苦痛」や「切なさ」を表しています。多くの人は、この「苦痛」に直面したときに迷いや不安を抱えることがあります。

しかし、このビタースイートの中には、私たちが成長するための大きな可能性が秘められているのです。ミュージシャンたちがビタースイートな感情を楽曲に変換するように、私たちは自身の「苦痛」を様々な形で「転換」することができます。

それは、絵を描くことで感情を表現することもあれば、詩や日記を書くことで自分の気持ちを整理することもあります。私はブログを書いたり、瞑想などの静かな時間を過ごすことで、自分との対話の時間を持つようにしています。この時間が私の創造性を刺激してくれます。

ビタースイートな感情を転換することによって、私たちは自己成長の機会を得ることができます。苦しみや切なさを感じることで、私たちは自分自身を深く知ることができます。また、これらの感情を受け入れることで、他の人々にも理解と共感を示すことができます。ビタースイートな感情は、私たちの人間関係やコミュニケーションにおいても重要な役割を果たしています。

相反する感情が想像力の源になる!

もし私たちが「悲しみ」や「切なる望み」を転換しなかったら、他人を虐待したり、支配したり、ないがしろにしたりするようになり、結局は「悲しみ」や「切なる望み」を他人に負わせることになる。でも、もし私たちが「人はだれもが喪失や苦しみを知っている、あるいは、いずれ知ることになる」とわかっているなら、お互いに向き合うことができるのだ。

「ビタースイート」という言葉は、喜びと悲しみ、光と闇、希望と絶望といった相反する感情や状況が入れ替わることを表しています。これは、人生の多くの局面で私たちが経験するものです。

ケインが指摘するように、この相反する感情こそが、私たちの深い感受性や創造力を喚起する要因となるのです。 人は、挫折や困難、痛みを経験することで、それを乗り越える力や知恵、感受性を培っていきます。そして、その過程で生まれる新しい感情や認識、視点は、他者との共感や深いつながりを生み出す原動力となります。

悲しみは、私たちの感情の中で特別な存在です。それは、喜びや怒り、驚きといった他の感情とは異なり、私たちを深く結びつける「接着剤」のような存在です。悲しみは、私たちが経験するさまざまな喪失や失敗、挫折などから生まれますが、その感情を理解し、受け入れることは、心の回復にとって重要なステップです。

悲しみや苦痛は、一見、避けたい感情として捉えられることが多いです。しかし、これらの感情は私たちの成長や理解の深まりを促す重要な要素となり得ます。私たちが経験する挫折や痛みを通して、新たな視点や人とのつながり、深い共感を得ることができるのです。

特に、アーティストや作家などのクリエイティブな人々は、このようなビタースイートな感情を糧として、感動的な作品を世に送り出すことができます。彼らは、内向的な性格がもたらす独特の感受性や洞察力を活用して、共通の人間経験を表現することで、他者との深いつながりを築くことができるのです。 このようなビタースイートな感情は、多くの傑作や革新的な発明の背後に存在しています。

ベートーヴェンやシェークスピアは、自身の深い感情や体験を作品に昇華させ、それが後の世代にも受け継がれています。 ビタースイートな感情を持つことは、私たちの創造力や共感、愛の深さを示しているのです。それを認識し、受け入れることで、私たちはより豊かな人間関係や創造的な活動を展開することができるのです。

「静かなる力」は、内向的な人々にとっての心の支えとなるだけでなく、外向的な人々にも、異なる視点や価値を理解する手助けをしてくれる一冊です。内向的な性格を持つ人々は、社会においても重要な存在であり、その独自の能力や価値を認めることが求められます。私たちは、内向的な人々が持つ「静かなる力」を尊重し、彼らの貢献を十分に評価するべきです。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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