父が息子に語る 壮大かつ圧倒的に面白い哲学の書(スコット・ハーショヴィッツ)の書評

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父が息子に語る 壮大かつ圧倒的に面白い哲学の書
スコット・ハーショヴィッツ
ダイヤモンド社

父が息子に語る 壮大かつ圧倒的に面白い哲学の書の要約

哲学は、単なる学問や知識の集積ではなく、私たちが考えるための技術なのです。 哲学的な問いは、自分自身と世界について考えることを求めます。これは私たちにとって大変重要なことです。なぜなら、自分自身や世界のことを深く理解することは、私たちの生活において大きな影響を与えるからです。

哲学とは何か?

哲学は考える技術だ。哲学的な問いは、自分自身と世界について考えること、より深く理解するよう努力することを私たちに求める。(スコット・ハーショヴィッツ)

本書は哲学の根本的な問いについて取り上げています。「哲学は考える技術だ」という言葉が冒頭に紹介されていますが、これはスコット・ハーショヴィッツの息子、レックスの言葉です。

著者であるスコット・ハーショヴィッツは、、ミシガン大学で法学と哲学の教授を務めるとともに、同大学の「法と倫理プログラム」のディレクターです。彼はジョージア大学で哲学と政治学の学士号を取得し、その後イェール大学ロースクールで法務博士号を獲得しました。さらに、ローズ奨学生としてオックスフォード大学にて哲学博士号も取得している異才です。

著者は、「最もシンプルでわかりやすい言葉」を使って哲学を解説しており、読者はその説明によって、哲学の世界に入り込むことができます。

哲学は、単なる学問や知識の集積ではなく、私たちが考えるための技術なのです。 哲学的な問いは、自分自身と世界について考えることを求めます。これは私たちにとって大変重要なことです。なぜなら、自分自身や世界のことを深く理解することは、私たちの生活において大きな影響を与えるからです。

哲学的な問いは、私たちに思考力を養うよう努力することを求めます。思考力は、問題解決や意思決定において非常に重要です。哲学的な思考は、単純な答えを求めるのではなく、問いの意味や背景を考え、複雑な問題に対しても柔軟な思考を持つことを可能にします。

哲学的な思考は、単なる学問の領域にとどまらず、私たちの生活全般においても活かすことができます。私たちは日常的に意見や価値観が異なる人々と接する機会がありますが、哲学的な思考は異なる意見を尊重し、対話を通じて新たな視点を得ることにも役立ちます。

大人は、よりよく哲学をするために必要な素朴さを努力して養わなければならないが、子どもはそれをまったく自然に備えている。(ガレス・マシューズ)

哲学は、私たちが世界をどのように認識し、理解するかに関する深い思考です。子どもたちは、大人が当たり前と思っていることに疑問を持つ能力を持っているため、優れた哲学者と言えます。

彼らは、創造的で自由な発想で物事を見ることができるからです。 大人には、時には実用的な問題から離れ、子どものように考えることが必要です。これによって、世界に対する新鮮な驚きや発見を取り戻すことができます。大人は筋道立てて考える傾向がありますが、子どもは自然と創造的な思考をします。この違いを理解することは、哲学的な探求において非常に重要です。

スタンフォード大学のデイヴィッド・ヒルズは哲学を、「子どもたちの自然な疑問に対して、法律家のような方法で取り組む」と表現しています。これは哲学者の仕事を的確に表していますが、大人と子どもは一緒に哲学することができ、それが有益であることを示唆しています。

本書では、著者が親子の対話を通して哲学的な視点から権利や復讐、差別などのテーマを探求しています。親子のやりとりを読むことで、思考することの重要性を学べます。また、親は子どもたちに考える力の大切さを伝える手段を得ることができます。

子どもを成長させる哲学的アプローチとは?

目的は、子どもに考えを話させ、反対方向からも考えさせることだ。

ハーショヴィッツは、哲学を通じて自分自身や世界について深く思考し、他者と対等に会話する能力を身につけることの重要性を強調しています。まずは、子どもたちを対等な相手として捉え、会話すべきです。

子どもと会話する際には、以下のような質問を繰り返し、共に考えるようにするとよいでしょう。実際、著者は子どもたちに以下の質問をすることで、正しい考え方を身につけさせる努力をしています。
・きみはどう思うの?
・なぜそう思うの?
・もしきみが間違っているとしたら、それはどうしてだと思う?
・それはどういう意味?
・〇〇って何?

これらの質問を通じて、子どもは自分の考えを構築し、理解を深めることができます。親は、子どもの独自の思考過程を尊重し、一緒に考えることで子どもの成長を支援するようにしましょう。

たとえ賛成できない意見であっても、またそれがばかげていると感じる場合でも、子どもが言うことを真剣に受け止めることが大切です。子どもに「こう考えなさい」と指示するのではなく、子どもの考えに耳を傾け、共に考えを深めていくことが重要です。

子どもが「大きな質問」をしてきたときは、結論を述べて話を終わらせるのではなく、そこから話をスタートさせることが大切だと考えているからだ。

「神様の存在や聖書の物語が実際に起こったと信じる人がいる一方で、それらが人間が理解できないことを説明するために創作されたものだと考える人もいます」と教えた後に、「〇〇はどう思う?」と著者は子どもに問いかけます。子どもの答えを聞いたら、それを受け止めて、会話を展開していく姿勢は素晴らしく、私も取り入れたいと思いました。

子供の話を真剣に聞き、親は自分の考えを伝えるようにします。また、他人の考えに対して理由や根拠を求め、自分の考えに対する反論や批判を受け入れることを教えることで、子どもは成長します。

著者は常に物事に疑問を抱き、その疑問自体をも疑うと言います。これは哲学者にとって最も重要な資質であり、著者が子どもたちに身につけさせ、育てようとしている資質なのです。

私が追い求めているのは、昨日より今日、今日よりも明日、ものごとを少しでも深く理解するということだ。

また、哲学の学びには終わりがないという考えを持ち、昨日よりも今日をよくするようにすべきです。これらのアプローチを通じて、ハーショヴィッツは哲学が個人の知的成長に与える影響の大きさを説いています。子ども共に哲学的思考を繰り返すことで、自分も成長できるのです。

著者は、哲学における重要な態度として、相手を打ち負かすことではなく、異なる意見を受け入れることを強調しています。自分が間違っていると気づいた場合は、それを素直に認めることで、自分をよりよくできるのです。

本当に面白い哲学書で、600ページほどの分厚い書籍ですが一気に読めました。考える力だけでなく、哲学の歴史やさまざまな哲学者の考えを学べるようになっている良書です。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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