マインドフル・ボディ ハーバード大学の人気教授が教える意識で身体を変える方法(エレン・J・ランガー)の書評

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マインドフル・ボディ ハーバード大学の人気教授が教える意識で身体を変える方法
エレン・J・ランガー
徳間書店

マインドフル・ボディ(エレン・J・ランガー)の要約

自分のマインドセットを変え、不確実性のパワーを理解し活用することで、「マインドフル・ユートピア」が実現できます。私たちの限界は、過去の判断に基づくものであり、現代のニーズに合わせて世界を再設計することで、自分の可能性を広げられます。

マインドフルに考えることで、健康に生きられるようになる?

心と身体は一つのシステムを成していて、人間に起こるすべての変化は基本的に、心理レベル(認識の変化)と、身体的レベル(ホルモン、神経、そして/あるいは行動の変化)で、同時に起きている。この「心と身体の一体性」という考え方を受け入れると、健康をコントロールする新たな可能性が現実のものとなる。マインドフルな身体のパワーを活用することは、決して難しいことではない。(エレン・J・ランガー)

社会心理学者のエレン・J・ランガーは、ハーバード大学研究所での最新研究をもとに、心と身体が統一のシステムで動いていて、健康のための心を利用する方法を明らかにしました。心と身体が実際には単一のシステムであり、それを理解すれば健康をコントロールできるようになると言います。

心と身体が統一のシステムであることを理解することは、健康をコントロールする上で非常に重要です。私たちの心の状態は、身体の健康に直接影響を与えるのです。心がストレスや不安に満ちていると、それが身体にも悪影響を及ぼします。逆に、心が穏やかでリラックスしていると、身体も健康な状態を保つことができます。

大事なのは、これまでマインドレスに受容していたことに疑問を持ち、自分を抑制してきた情報や診断をマインドフルに問い直すことだ。

検査結果によって、永続的に治療を必要とするカテゴリーに入れられてしまうことがあります。しかし、同じ検査を次の日に受けたら、まったく違う結果が出る可能性もあるのです。つまり、一度の検査結果だけで判断することはできず、継続的なモニタリングが必要です。

ルールもラベルも、正常と病気を分ける分割ラインも、すべて人間が定めたものであることを理解すると、ある状況が違うものになりうるということがわかってきます。私たちが病気とされる基準は時と共に変化してきましたし、個人の状態や環境によっても異なることがありま。

私たちはこれまでマインドレスに受容してきたことに疑問を持ち、自分を抑制してきた情報や診断をマインドフルに問い直すことが大切です。 一回の検査結果に一憂せず、自分の体の声に耳を傾け、自己のニーズや価値観に基づいて行動することが大切です。

著者は「マインドフルネス」を、「意識を今ここに集中する」という一般的なマインドフルネスの概念からさらに発展させ、「新しいことや変化に積極的に気づくこと」と定義しています。つまり、さまざまなラベルに対してマインドフルな考え方を持つことで、自己成長や新たな学びを得ることができるのです。

マインドフルな視点が健康をもたらす理由

人生のあらゆることが本質的に不確実であることを受け入れると、ルールやそれを破ることに関しても、よりマインドフルな視点を取り入れられるようになる。

もし私たちがすべての選択を成長と学びの機会として捉えることができれば、失敗や困難に直面した時でも、自分自身を責めたり後悔したりすることは少なくなるでしょう。私たちはその経験から何かを学び、成長することができるのです。

また、すべての選択を成長と学びの機会と捉えることで、世の中の見方も変わってきます。私たちは選択の結果によって生じるストレスや不安を恐れるのではなく、新たな可能性や面白さを感じることができるようになるのです。 さらに、他者の視点に立って相手の気持ちを理解することも大切です。

しかし、それは相手の気持ちが完全に理解できることではありません。むしろ、自分がこれまでどれほど知らなかったかを認識することが重要です。

マサチューセッツ工科大学の予備将校訓練課程(ROTCプログラム)の学生たちに、興味深い実験を行いました。実験の目的は、フライト・シミュレータを使って学生たちの視力を向上させることでした。

実験の仮説は、学生たちがシミュレータでパイロットを演じることで視力が改善されるのではないかというものでした。学生たちには、パイロットの制服を着てもらい、より高揚感を味わってもらいました。シミュレータを操作しながら、学生たちには細かい数字や文字を読む課題も与えられました。 その結果、予想通り40%の学生が、事前の検査よりも視力が向上していたことがわかりました。

一方、パイロット役を演じなかった学生たちは、視力に変化がありませんでした。このことから、学生たちの新たなマインドセットが、身体的制約を取り払った結果、視力向上に繋がったのだと言えるでしょう。 この研究結果は興味深く、その後さらに多くの学生を対象に再現実験を行いました。

また、パイロットではなく、「アスレチック」なマインドセットを持ってもらうために、ジャンピング・ジャックを数分間行ってもらいました。 再現実験の結果も、以前の実験と同様に興味深いものでした。アスレチックなマインドセットを持つ学生たちの視力も、ジャンピング・ジャックを行った後に向上していたのです。

この研究からわかることは、マインドセットが身体の機能に影響を与える可能性があるということです。視力の向上に限らず、他の身体的な能力もマインドセットによって変化する可能性があるのかもしれません。

世の中の優れたものは「希少」だという思い込みが、人々の行動や健康を支配していることがよくある。その結果、自分に厳しく当たったり人を批判したりする。「希少」なものが自分の手に入ることはないと思い、もっと強くなることも、賢くなることも、目がよくなることもないと考えてしまう。ストレスも避けられないと思い込む。私は、そういつ「希少神話」に惑わされることなく、可能性に満ちた世界を誰もが実感してほしいと思っている。

新しいマインドセットを取り入れることで、私たちは「希少神話」の先に目をやることができます。そして、その先には日々刻々と変化する自分の身体についても新しいチャンスが待っているはずです。

私たちの身体は、常に変化しています。時には調子が良くて活力に満ち溢れている日もあれば、疲れてしまって思うように動けないこともあります。しかし、新しいマインドセットを持つことで、これらの変化をポジティブに捉えることができます。

マインドセットを変え、マインドフルユートピアを実現しよう!

健康のカギは、おそらくこの不確実性にある。不確実性を受け入れることで、そこに有利な点を見出せる。マインドフルに身体の変化に気づくことが、健康的な身体作りの第一歩だ。

身体の変動性について考えると、いくつかの重要な点が明らかになります。まず、症状は常に同じ強さで現れるわけではなく、思い込みとは異なる変動性を持っていることに気づきます。これにより、自分の状態を客観的に見ることができ、気分をよくする効果があります。

次に、変化に気づくことはマインドフルな状態であることがわかります。長年の研究結果は、マインドフルネスが健康に良い影響を与えることを示しています。自分の状態に敏感になることで、より良い自己管理ができるようになります。

また、自分に救いがないと考えるのではなく、解決策を探すことで問題を解決できることが分かります。無力感にとらわれず、積極的に対処することで、解決策が見つかることが多いです。

さらに、変動性に対する感度が深まることで、自分の人生に対するコントロール感覚が増すことがわかります。自分の身体の変化や環境の変化に気づくことで、自己の力を感じることができます。 全ての人は、平均値から外れた特徴を持っています。

しかし、科学はこれらの差異を「ノイズ」として扱い、平均化しています。しかし、健康を手に入れるためには、この「ノイズ」に注目することが重要です。標準的な反応だけでなく、個々の変動性にも注意を払うことで、健康の鍵を見つけることができるのではないでしょうか。

高齢者を対象にした著者の研究では、老人ホームの入居者に日々のささいな選択肢をいくつか与えただけで、彼らの寿命を延ばすことができたと言います。例えば、朝食のメニューや服装の選択など、小さなことでも自分で選択することができるようにしました。これにより、老人ホームの入居者たちは自己決定の機会を得ることができ、生活の質が向上しました。

また、別の研究では、老人ホームの入居者たちに、記憶力に関する実験を行いました。看護師の名前などを覚えてもらい、覚えられたら記念品を渡すなどして、覚える行為が重視されるようにしました。記憶する内容は、毎週少しずつ難しくなっていきました。

一般に、人の記憶力は年月と共に衰えると信じられていますが、参加した高齢者たちの記憶力は次第に向上していったのです。これは、人が思考や期待を少し変えることによって、健康、能力、楽観性、活力を損なわせている行動習慣を修正することができることを示しています。

まずは、自分が旧来のマインドレスな決定に縛られていると気づくことだ。そうすれば、過去に現在や未来を決めさせるのではなく、現状を見直して自分のニーズに合うものに作り替えることができる。すると、これまでの「不可能」が、新たな「可能性」に道を譲る。すべてを先入観で憶測するのは、そろそろやめにしよう。あなたは自分の人生物語を、主人公として生きるべきだ。

著者は、不確実性のパワーを理解し活用することで、「マインドフル・ユートピア」が可能であると説いています。私たちの限界は、過去の判断に基づくものであり、現代のニーズに合わせて世界を再設計することで、新たな可能性を見出せると述べています。

また、自分が知らないことを知る重要性や、不可思議な現象を否定するのではなく、開かれた態度で受け入れることの大切さを強調しています。先入観を捨て、自分の人生を主人公として生きることで、不可能と思われたことも可能になると述べています。

本書で紹介された研究は、私たちが信じているよりも多くのことが可能であることを示しています。例えば、視力や聴力を向上させることも可能ですし、慢性的な症状を改善することもできます。また、心の持ち方を変えることでストレスを軽減し、他人に対する批判的な態度も減らすことができます。

そして何よりも、幸せな気持ちになることができます。 私たちは自分自身に対してもっと自信を持ち、自分の可能性を最大限に引き出すために努力しましょう。そして、私たちが信じ込んでいることが実は可能であることを知り、自分自身を限定することなく、自由に成長していくことができるのです。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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