誰にも言えない「さみしさ」がすっきり消える本
石原加受子
SBクリエイティブ
誰にも言えない「さみしさ」がすっきり消える本(石原加受子)の要約
他者に心を満たしてもらおうとする限り、自分の感情は相手の反応に左右され、不安や焦りに振り回されてしまいます。大切なのは、自分の感情に向き合い、今この瞬間を感じながら、自分自身で心を満たすこと。ネガティブな感情を否定せず受け入れ、ポジティブな感情の感度を高めることで、さみしさを手放し、心の安定を得ることができます。「自分を満たせるのは自分だけ」という意識が、充実した人生への鍵となるのです。
孤独を感じる理由と向き合う——満たされる心の作り方
筆者は長年の心理療法を通して、心のメカニズムを独自の視点から捉えて「自分中心」「他者中心」という概念でまとめていて、これを総じて「自分中心心理学」と呼んでいます。(石原加受子)
孤独と向き合うためには、自分の心に寄り添うことが大切です。 孤独という感情は、多くの人が経験するものです。ふとした瞬間に「あっ、いまさみしいかも」と気づくことがあると著者の心理療法を通して心のメカニズムを研究してきた石原加受子氏は言います。
しかし、その瞬間にすでに孤独は少しずつ和らぎ始めているのかもしれません。「さみしい」と感じたとき、自分の心に意識を向けるきっかけが生まれるからです。
孤独というテーマを深く考え始めると、それはあまりに広く、大きな問題のように思えてしまうことがあります。解決が難しく、逃れられないもののように感じてしまうかもしれません。確かに、人は個として生まれ、誰とも完全に同じ存在にはなれません。その意味で、私たちは根本的に孤独な存在であると言えます。
私たちはその孤独を必要以上に恐れるのではなく、自分の心に耳を傾けることができれば、孤独は別の形で受け止められると著者は指摘します。
「自分中心」と「他者中心」のどちらを基準にして生きるのかによって、人生のあり方が大きく変わります。 自分中心の生き方は、自分の気持ちや欲求を基準にして考え、判断し、行動するものです。
一方で、他者中心の生き方は、他者の気持ちや評価を基準にして考え、判断し、行動するものです。この違いは、日々の選択や人生の方向性にまで影響を及ぼします。多くの人が無意識のうちに、どちらかの傾向を持って生きているものですが、それを自覚することが大切です。
他者中心ばかりの生き方を選んでしまうと、自分の本当の気持ちを置き去りにしてしまうことがあります。確かに周囲の期待や評価を優先し、他者の価値観に振り回されると、自分が何を感じ、何を望んでいるのかがわからなくなることを私もなんども経験しています。それが積み重なると、自分に対する信頼が揺らぎ、他者に対する信頼さえも失われてしまいます。
結果として、孤独感が強まり、心はますます不安定になっていくのです。 孤独感を和らげるには、まず「自分を感じる」ことが大切です。自分の気持ちや欲求に意識を向け、自分が何を感じているのかを知ることから始めます。 自分の心に寄り添うことができれば、自分を裏切ることもなくなります。
何かに悩んだとき、ネガティブな感情を抱えたときに、それを無理に抑え込むのではなく、「私はいま、こう感じているんだ」と素直に受け入れることが大切です。そのうえで、自分のためにできることを考えることが必要です。 自分の感情や欲求を大切にすることは、自分自身を愛することにつながります。そして、それは「自分を信じる」ための努力でもあります。
人間関係においても、「他者が自分をどう思うか」ではなく、「自分が他者をどう思うか」に焦点を当てることが大切です。他人の評価に左右されるのではなく、自分が相手に対して何を感じ、どう考えているのかを大切にすることで、対人関係のあり方も変わってきます。
「さみしい」という感情が生まれる背景には、実は「自分が相手をどう思っているか」に気づいていないことが関係しているかもしれません。誰かに評価されたい、認められたいという気持ちが強すぎると、自分の本来の感情が見えにくくなり、孤独感が増すことがあります。 孤独を感じたとき、その気持ちを無理に消そうとするのではなく、自分の心に意識を向けることが大切です。
自分を知り、自分の心に寄り添うことで、孤独は少しずつ和らいでいきます。 他者の評価や期待に縛られるのではなく、自分の感じ方を大切にすることで、孤独は恐れるべきものではなくなります。むしろ、孤独をきっかけにして、自分の本当の気持ちに気づくことができるかもしれません。
生き方を「自分中心」に切り替えることで、孤独は「さみしさ」ではなく、自分を深く知るための大切な時間になると著者は述べていますが、このメッセージには共感を覚えます。自分との対話の時間を持ち、自分を見つめ直すことで自分を信頼できるようになります。
「自分を満たせるのは自分だけ」——心の安定を手に入れる方法
自分で自分の心の満たし方を知らなければ、相手にそれを求めます。けれども他者に求めている限り、自分の心は、相手の反応によって絶えず揺れ動くことになります。実際には自分が振り回しているときであっても、自分が振り回されているような気分にもなるでしょう。かといって、自分ではそんな気持ちを処理することができないために、またそれを、相手に求めることになるという悪循環に陥ります。
人は誰しも、心の満たし方を知らなければ、無意識のうちに他者にそれを求めてしまうものです。しかし、他者に満たしてもらおうとする限り、自分の心は相手の言動によって揺れ動き、安定することはありません。自分の気持ちが思い通りにならないとき、「相手に振り回されている」と感じることもあるはずです。
けれども実際には、自分が相手に期待し、依存することで、心のバランスを崩しているのかもしれません。その結果、自分では感情を整理できず、さらに相手に満たしてもらおうとする――そうした悪循環に陥ることもあります。 こうした状況を避けようと、ネガティブな感情を抑え込み、誰にも言わずに我慢している方もいるかもしれません。
しかし、その思い込みこそが、さみしさを生んでいる可能性があると著者は言います。自分の弱さを誰かに打ち明けることや、つらい気持ちを言葉にすることは、決して迷惑なことではありません。
むしろ、素直な気持ちを伝えないことで、相手との心の距離が広がり、より一層孤独を感じてしまうこともあるのです。 人は誰しも、ポジティブな感情だけを抱えて生きていくことはできません。ネガティブな感情があるからこそ、自分と向き合い、そこから抜け出そうと努力することができるのです。もし感情そのものが失われてしまえば、さみしさどころか、生きる意欲さえも失ってしまうでしょう。
どのような環境であれ、自分の人生に喜びや満足をもたらすためには、「感じられる心」を育てることが不可欠です。他者に心を満たしてもらおうとするよりも、自分自身が自分の心に関心を向け、真正面から向き合うことが大切なのです。 心と向き合うことは、決して難しいことではありません。
心が落ち着かないとき、まずその感情の原因を探り、なぜそう感じているのかを理解することから始めましょう。不安や焦りを感じるのは自然なことですが、過去や未来に意識を向けすぎることで、かえって心の揺れが大きくなってしまいます。そんなとき、私は深呼吸をしながら「今この瞬間」に意識を向けることで、少しずつ心を落ち着かせています。
感情との向き合い方も大切です。悲しいときにはその悲しみをありのままに受け入れ、嬉しいときにはその喜びを十分に味わう。そうして自分の心に寄り添う生き方を選んでいくことで、心の安定を見出すことができるでしょう。
「自分を満たせるのは自分だけ」という考え方は、私たちの心の健康に重要な示唆を与えてくれます。他者に依存するのではなく、自分の感情としっかりと向き合い、それをコントロールしていく力を育むことで、より充実した人生を送ることができます。ネガティブな感情もポジティブな感情も、どちらも自分の一部として受け入れながら、バランスの取れた心の状態を目指していくことが、真の幸せへとつながる道筋となるのです。
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