あなたの物語には価値が在る: 50歳からのセルフキャリア構築インタビュー narrative efficacy (柏崎哲生)の書評

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あなたの物語には価値が在る: 50歳からのセルフキャリア構築インタビュー narrative efficacy
柏崎哲生
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あなたの物語には価値が在る (柏崎哲生)の要約

私たちの人生には、それぞれ語るべき「キャリアの軌跡」があります。未来を描くには、「バックキャスト」「フォアキャスト」「ミラクル・クエスチョン」、そして「計画的偶発性」が有効です。自分のナラティブを言語化し、「Five Bold Moves」を活用して実践していくことで、人生の後半をより豊かに歩むことができるのです。

あなたのストーリーをナラティブに!

「キャリアストーリーのナラティブ化」には、その壁を突破する力がある。 過去の経験を言語化し、物語として書き出すことで―― 主観の中に埋もれていたあなたの価値が、初めて「客観的なもの」として浮かび上がる。 それを読み返したとき、あなたは「これが自分の生きてきた証だ」と実感できる。 そのナラティブこそが、未来を切り拓く「武器」になるのだ。(柏崎哲生)

人生の折り返し地点に差しかかる頃、人はふと立ち止まり、自分の歩んできた道を見つめ直す瞬間があります。「このままで本当にいいのだろうか?」という心の声は、静かに、しかし確実に胸の奥を揺さぶります。私にとって、その瞬間が訪れたのは40代半ばのことでした。

日々の忙しさに埋もれ、仕事や家庭、社会的な責任を背負いながら、私は次第に自分自身を見失っていきました。ストレスをアルコールで紛らわせることが日常になり、心身のバランスは崩れていきました。このままでは何も成し遂げることなく人生が終わってしまうのではないか、そんな強烈な恐怖が胸を支配するようになったのです。

その頃、何人かの仲間が相次いで亡くなりました。いずれも年齢が近く、これからという時期に突然人生を終えてしまった彼らの姿は、私に深い衝撃を与えました。そして私は思いました。彼らが果たせなかったことを、自分が引き継ぎ、実現していくべきなのではないかと。その思いが、自分自身の生き方を見直す大きなきっかけになったのです。

「これは本当に自分が望んだ人生なのか?」という問いが、私を突き動かしました。私は断酒を決意し、自らの人生を根本から再設計する覚悟を決めたのです。この選択が、後に私の人生を大きく変える転機となるとは、当時の私は想像もしていませんでした。

人生を本気で変えるために、私はプロのエグゼクティブコーチとともに歩み始めました。その対話の中で出会ったのが、「未来から逆算する」というバックキャストの考え方でした。これは、まず理想の未来を描き、そこから現在に立ち戻って必要な行動を導き出すというものです。この思考法に触れたことで、私の中でこれまで曖昧だった将来像が明確になり、それに向けた具体的なステップが見えてくるようになりました。

このアプローチは、著名なキャリア心理学者マーク・サビカスが提唱した「ナラティブ・キャリア理論」とも深く関係しています。サビカスは、人は自分のキャリアを物語として捉えることで、自らの価値や意味を再発見し、未来に対する能動的な選択が可能になると説いています。

柏崎哲生氏はこの理論を基盤に、物語の力を用いて、自分自身の価値観や強み、可能性を再発見するプロセスを丁寧にナビゲートしています。

私自身も、「著者になる」「大学で教える」「ベンチャーの社外取締役として上場に関わる」という目標を掲げてきました。当初は非現実的に思えたこれらのビジョンも、未来の姿を明確に描き、その実現に向けて必要な行動を一つひとつ積み重ねていくことで、次第に実現していきました。

SNSでの発信や、積極的に学び行動するなかで、環境や人脈も少しずつ変化し、夢が現実味を帯び始めたのです。 このように、自分のキャリアを「ナラティブ(物語)」として捉え直すプロセスは、非常に意味のあるものです。

過去の出来事や選択、葛藤や成功体験をストーリーとして再構築することで、そこに一貫したテーマや価値観が見えてきます。それは、自己理解を深めるだけでなく、自分にとって意味のある未来を選び取るための道しるべにもなります。

私自身は、アルコール依存からの脱却と読書・ブログという体験をストーリーとして語ることで、応援してくれる人が増えていきました。

未来を描くうえで、バックキャストに加えて、「フォアキャスト」と「ミラクル・クエスチョン」という2つのアプローチも効果的です。 フォアキャストは、現在の延長線上にある未来を予測する思考法で、現実的な行動計画を立てるうえで役立ちます。

一方、ミラクル・クエスチョンは「もし明日、奇跡が起きていたとしたら、自分はどうなっているか?」と自問することで、内に秘めた願望や本質的な価値をあぶり出す手法です。こうした問いかけは、自分の深層心理にアクセスし、意識化されていなかった理想像を引き出すのに役立ちます。 キャリアに悩んだときこそ、自分自身の物語に耳を傾け、未来を描き直すチャンスです。

計画的偶発性理論とFive Bold Moves

自分の言葉で、自分の物語を客観視し、未来へ活かすためのヒントです。 どんなに小さな出来事にも、あなただけの意味が眠っています。 思いがけない偶然も、出会いも、あなたが気づけば「導き」に変わります。 そして、語られた言葉はあなたを動かし、未来を静かに変えていきます。

自分の物語を、まるで他人の人生のように見つめ直す。そんな“もう一人の自分”の視点が、私の人生を何度も支えてくれました。 ふとした出来事、偶然の出会い——それらすべてに「意味」を与えるのは、あなた自身です。そして、その瞬間から、それはただの偶然ではなく「導き」となります。

自分の言葉で、自分の歩みを語る。それは過去を整理する行為であると同時に、未来を描き直す力になります。あなたが語ったそのナラティブは、静かに、しかし確実に、これからの人生を動かし始めるのです。

キャリアストーリーのナラティブ化とは、自分のこれまでの経験を振り返り、言語化し、意味を与えるプロセスです。そうすることで、日々の中に埋もれていた価値観や強みが浮かび上がり、「これこそが自分の人生の軌跡だ」と実感できるようになります。この深い自己理解こそが、未来を切り拓く最大の武器になるのです。

人生の再設計において、もう一つ重要な鍵となるのが、このブログでもお馴染みの「計画的偶発性(Planned Happenstance)」という考え方です。スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱したこの理論は、「キャリアは計画通りには進まない」という前提に立ちながらも、「偶然の出来事を活かすための準備と姿勢」を重視します。(計画的偶発性理論の関連記事

大切なのは、予期せぬ出来事が起きたとき、それをチャンスに変えられる自分でいること。そのためには、好奇心を持ち続け、行動をやめず、柔軟な心で変化を受け入れる——そんな日々の在り方が求められるのです。

人生の点と点は、振り返って初めて線になります。過去の経験と、未来のビジョンが、ある日ふとした偶然によってつながる。その瞬間こそが、キャリアにおける“ドットコネクティング”であり、計画的偶発性の本質なのです。

私自身、大きな転機を迎えられたのは、こうした考え方を実践に落とし込むためのフレーム、「Five Bold Moves(5つの大胆な行動)」を取り入れたからでした。
①新たな挑戦を恐れずに一歩を踏み出すこと
②学び続ける姿勢を持ち続けること
③信頼できる人々とのつながりを大切にすること
④意識的に自分の環境を変えてみること
⑤自分の内面と向き合い、変化を受け入れること
この5つを習慣として日常に組み込むことで、私は少しずつ確実に前へ進むことができました。

今、62歳となった私は、過去の自分が下したひとつひとつの決断に対して、深い感謝の気持ちを抱いています。あのとき、人生を見直す勇気を持てたことが、今の私を形づくったのです。 人生は、いつからでも書き換えることができます。私自身がその証明です。 自分のナラティブは、今もなお続いています。そしてこれからも、新しいページを、自らの手で綴っていくつもりです。

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