交渉力を身につけるために必要な3つのルールと5つのセオリー。頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術(犬塚壮志)の書評

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頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術
犬塚壮志
サンクチュアリ・パブリッシング

本書の要約

著者の犬塚壮志氏は頭のいい人を、対人関係を交渉によってつくっている人たちだと定義します。有利な交渉をすることで、ビジネスでも結果を出せるだけでなく、相手を笑顔にさせてしまうのです。交渉力のある人には次の5つの特徴があります。1,相手に交渉の開始と終了を気づかせない 2,相手とぶつからない 3,身を守ることを最優先にする 4,“All-Win”を目指している 5,目的にフォーカスして手段を選択する

交渉力を身につけるために必要な3つのルールと5つのセオリー

「頭のいい交渉術」を身につけると、あなたは有利な合意を得ながら、交渉相手との人間関係をより良くしていくことができるのです。(犬塚壮志)

著者の犬塚壮志氏は私のアドバイザリー仲間ですが、いつも物事をロジカルかつわかりやすく説明してくれます。彼が作るパワーポイントは見る人を納得させるストーリーがあり、ビジネスをよい方向に進めてくれます。今回、犬塚氏は東大の大学院で学んだ交渉学に、認知科学や心理学などの視点を取り入れ、本書を執筆しました。そのために交渉に関する文献を1000本以上読み込んだと言います。

交渉というと弁護士や外交官に必要なスキルだと考えがちですが、私達の日常生活やビジネスシーンなどいたるところに交渉が必要なことがあふれています。その中で、交渉力を身に着けた人たちがWin-Winの関係を築き、果実を手に入れています。

著者は頭のいい人を、対人関係を交渉によってつくっている人たちだと定義します。有利な交渉をすることで、ビジネスでも結果を出すだけでなく、相手を笑顔にさせてしまうのです。

著者は多くの学びと体験から、交渉力を身につけるために必要な「3つのルール」と、最短最速で交渉力を爆上げする「5つのセオリー」「55の交渉テクニック」を明らかにしました。

交渉力を身につけるために必要な3つのルール
・ルール1 マインドセットからはじめる
・ルール2 事前に相手の情報を集める
・ルール3 互いの「利害」に注目する

覚えておくべき5大セオリー
・セオリー1 人はコストをかけたものを選ぶ(サンクコスト理論)
・セオリー2 人はあたえてくれる人を選ぶ(返報性の法則)
・セオリー3 人はリスクをコントロールしてくれる人を選ぶ(プロスペクト理論)
・セオリー4 人はモヤモヤを解消してくれる人を選ぶ(認知的不協和理論)
・セオリー5 人はやる気を引き出してくれる人を選ぶ(モチベーション理論)

55の交渉テクニック
・自分の見せたいところだけを提示する(ハロー効果)
・「はい」と答えさせて肯定的な空気をつくる(イエスセット話法でラポールを築く)
・信用を勝ち取る要素を話に盛り込む(信憑性の3要素)
・自分から好きだと言ってしまう(好意の返報性)
・冒頭と最後に全力を注ぐ(初頭効果と新近効果)
・気になるキーワードをちりばめる(カクテルパーティ効果)
・覚えてもらいたい話を物語る(ストーリーテリング)など

この他にも有名なベンジャミン・フランクリン効果=自分を適視する相手にあえてお願い事や頼み事をし友好関係を築く方法やイエスバッド法(反対意見を述べても反感を買わないようにするテクニック)などが紹介されています。どれも役立つテクニックですから、本書を読んで身につけるようにしましょう。

交渉力に必要なのは、まずはマインドセット!

「頭のいい交渉術」を身につけさえすれば人生の問題のすべてを解決できるといっても過言ではありません。

頭のいい人の交渉には以下の隠された5つの特徴があります。
特徴1. 相手に交渉の開始と終了を気づかせない
特徴2. 相手とぶつからない
特徴3. 身を守ることを最優先にする
特徴4. “All-Win”を目指している
特徴5. 目的にフォーカスして手段を選択する

交渉においては、まずマインドセットづくりが重要になります。交渉に対するマインドセットができているだけで、軸がしっかりと定まり、自信を持って相手と接することができるようになります。自分の考えをはっきりさせ、自信を持ちながら、相手に自分の思惑を悟られないような精神状態で臨むことが何よりも重要なのです。

自分を「交渉の達人」だと思えれば、交渉の達人のような振る舞いや思考ができるようになります。私は広告会社出身ですが、周りに交渉の達人がたくさん存在していたため、若いときは彼らの思考や言動をとにかく真似することにしました。事前にこの交渉は「絶対にうまくいく」と考え、プロファイリングやお互いの利害を明らかにすることで、ビジネスで結果を出せるようになりました。

交渉というとついつい自分が有利になることを考えてしまいますが、All-Winを目指したほうが交渉がうまくまとまつだけでなく、相手との関係も長続きします。Giveの精神を持って自分の価値を提供し、他者を勝たせることで結果がついてきます。実際、犬塚氏の交渉力は抜群で、いつもWin-Winの関係を相手と築いています。

さすがに1000冊を読み込んだだけに、翻訳書レベルの内容でエビデンスもしっかりしています。交渉学や経済行動学、心理学に裏打ちされたアドバイスはとても参考になりますし、再現性もあります。本書の内容を実践することで、誰もが自由に生きられるようになります。

このブログで今まで書き続けてきたことが、一冊の本にまとまっているという感じで、犬塚氏の頭のよさと構成力に脱帽しました。本書が売れている理由がよくわかりました。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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