コアリーディング――たった1冊読んで人生を変える読書術(パク・サンベ)の書評

person reading book on brown wooden table taken at daytome

コアリーディング――たった1冊読んで人生を変える読書術
パク・サンベ
ダイヤモンド社

コアリーディング(パク・サンベ)の要約

読書は知識を得るだけでなく、行動を変え、人生を動かす力を持っています。本書『コアリーディング』は、量より質を重視し、「問い」を持って読み、必要な情報だけを抽出・活用する実践的な読書法を提案します。読む目的を明確にし、構造を理解し、手を動かして思考し、アウトプットにつなげる。この積み重ねが、日々の課題解決や自己成長へとつながっていきます。読書を変えれば、人生も変わり始めるのです。

コアリーディングで人生を変える方法

1冊の本は人生を変える、1行の文が人生の新しい価値に気づかせる (パク・サンベ)

本を読んでも人生が変わらないと感じている方は、実際に少なくありません。いくら読書量を増やしても、現実の課題解決に結びつかないという悩みを、多くの人が抱えています。このような状況に陥る理由の一つに、読書そのものの「質」に目が向けられていないことが挙げられます。

つまり、どれだけ多くの本を読んだとしても、読み方に工夫がなければ、それは単なる情報の消費で終わってしまい、本来得られるべき洞察や成果にはつながらないのです。

実際、私のもとにも「読書に時間を割いているのに、現実の行動に活かせない」といった相談が寄せられます。そうした声に耳を傾ける中で感じるのは、多くの人が読書を内省や課題解決の手段としてではなく、機械的なプロセスと見なしている点です。 これでは、読んだ内容を血肉化することができず、ただページをめくるだけで終わってしまいます。

コアリーディング――たった1冊読んで人生を変える読書術の著者であるパク・サンベは、そうした読書のあり方に対して極めて具体的かつ実践的なアプローチを提案しています。著者の主張は一貫しており、重要なのは「量」ではなく「質」、すなわち本の核心を的確に捉える能力であると説いています。

特に注目すべきなのは、読書を通じて自分自身の課題をどのように明確にし、その課題に対してどの情報を的確に抽出するかという視点です。ここにこそ、読書の本質的な価値が存在しています。かつての私も、多くの人と同じように、読書量を増やすことで成長につなげようと試みていました。ページ数をこなし、年間読破数にこだわることが重要だと信じていたのです。

しかし、そうした姿勢では結果につながらないという現実に直面しました。読んだ内容が行動に結びつかず、知識がただ頭の中に蓄積されていくだけ。もどかしさを感じる日々の中で、私の読書観を根底から変えたのが「アクションリーディング」、つまり行動を前提とした読書の実践でした。

読書によって、自分の行動が少しずつ変わっていく――それはある日突然に訪れる劇的な変化ではありません。けれども、その小さな変化の積み重ねこそが、やがて人生の質そのものを塗り替えていくことになるのです。私自身もかつては、読書とは知識を増やすための行為だと信じて疑わなかった時期がありました。

しかし、読んだことを実際の行動に結びつけるという視点を持ち始めたことで、思考が変わり、習慣が変わり、そして人生そのものが確実に動き出したのです。

重要なのは、ただ読むだけではなく、その本の著者の思考のスタイルを見極め、そこにあるエッセンスを自分の文脈に置き換えて吸収することです。本に書かれていることをすべてを鵜呑みにするのではなく、自分にとって価値のある知識や体験を選び取り、実践していく。そうした一つひとつの積み重ねが、良い結果をもたらしてくれるのです。

100冊の本を読んでも気づくことが何もなければ意味がない。一方、たった1冊を読んだだけで、人生を変える1行に出会えれば、100冊、1000冊、1万冊を読んだよりも価値がある。

本書が提唱する読書術は、単に知識を集めることが目的ではありません。読書を通じて自分自身と向き合い、課題を明確にし、そこから行動を生み出すことを重視しています。大切なのは、量ではなく質です。100冊読んでも何も得られなければ意味がなく、たった1冊の中に「人生を変える一行」があれば、それだけで何千冊分にも匹敵する価値があるのです。

読書を本当の意味で価値あるものにするために、まず大切なのは、「なぜこの本を手に取ったのか」という動機を明確にすることです。読むこと自体が目的になってしまっては、情報は流れていくだけで何も残りません。そのためには、目的を「コアクエスチョン」という問いに変換し、自分が今まさに向き合っている課題を軸に、目的を決める必要があります。

このコアクエスチョンが具体的であればあるほど、どこを読むべきか、どの情報が本当に重要なのかが自ずと明確になり、読む行為そのものの密度が格段に高まっていきます。

読書の目的が曖昧なままだと、どの情報が自分にとって重要なのか判断できず、内容は記憶に残りづらくなります。思考も整理されないまま終わってしまい、当然ながら、読書の成果も得られません。

課題解決のためのコアリーディング・メソッドとは?

コアリーデイングは、 「効率」と「効果」を最大化する読書法である。 無駄な読書時間は極力排除する。本を1から10まですべて読む必要はない。あくまでコアリーディングのゴールは、読み切ることではない。あなたが抱える課題解決が最大の目的だ。

情報があふれる今の時代において、「問いを持って読む」という姿勢こそが、読書をただの情報消費ではなく、自分なりの意味や価値を生み出す創造的な行為へと変えてくれます。 そしてもう一つ、読書の質を根本から高める鍵となるのが、「構造を読む力」です。これは、文章の流れや論理の組み立てを俯瞰し、著者の意図やメッセージの本質を見抜くための視点です。

目次や序章には、著者の意図や構成が端的に凝縮されています。ここを丁寧に読み解くことで、自分が解決したいテーマと、書籍の中で重点的に語られているトピックとの接点を見出すことができます。つまり、「自分にとって価値のある情報」をあらかじめ見極めたうえで、読み進めるというスタンスを取ることが可能になるのです。

さらに、読みながら自分の思考を深めるためには、受動的な姿勢ではなく、能動的な取り組みが欠かせません。たとえば、パク氏が推奨する「3色ボールペン」でのマーキングや、付箋を使った情報の可視化は、内容の重要度を視覚的に整理し、再読や復習の効率を飛躍的に高めるツールとなります。

読むという行為に“手を動かす”という身体性を取り入れることで、私たちは知識をただ頭で理解するだけでなく、感覚として定着させることができるようになると著者は指摘します。目で追うだけの読書とは異なり、ペンを持ち、メモを取り、色分けしながら読む――この「身体を通した思考」が、知識の定着率と応用力を飛躍的に高めてくれるのです。

読書中に生まれるちょっとした疑問や、ふとしたひらめきを見過ごさず、その場で書き留めておくこと。これは一見すると些細な作業に思えるかもしれません。しかし、後になってその断片が新たな視点や具体的な行動へとつながる瞬間が訪れます。メモという形で残された自分の思考の軌跡が、次なる成長のステップへと自然につながっていくのです。

私自身、そうした気づきや学びを、このブログに記録することを日々の習慣としています。著者との対話を通じて得たヒントや考え方を、自分なりにかみ砕き、言葉にする。そしてそれを体系的に残しておくことで、困ったときには自分のブログを検索するだけで、過去の自分の知恵に助けられるというサイクルが生まれるようになりました。これはまさに、「読むことが思考になり、思考が行動になり、行動が知的資産になる」という好循環です。

そして、読書を真に人生の力に変えるために欠かせないのが「アウトプット」です。読むだけでは変化は起こりません。インプットした情報を自分の言葉で再構築し、行動に落とし込むことで初めて、それは「使える知識」として意味を持ち始めます。

こうした読書の姿勢が日々の習慣として根づけば、読書はもはや「学びの手段」にとどまらず、「変化を生み出す装置」へと進化します。読書がきっかけとなって思考が深まり、行動が変わり、結果として人生の質が上がっていく。これは理想論ではなく、実践すれば誰でも手にできる成果です。

さらに、読書の成果を最大化するためには「時間の設計」が重要になると著者は述べています。たとえば、3時間という限られた時間があるならば、「核心の発見」に30分、「集中読解」に2時間、「要点の整理と内省」に30分というバランスで時間を使う。このように読む前に設計図を持つことで、読書の質と密度は格段に上がります。無計画に時間をかけるのではなく、目的と構造を持って取り組む読書こそが、現代における知的生産の基本スタイルになるのです。

読書とは、誰にも邪魔されないひとときに自分自身と向き合い、同時に社会との接点を見出していく知的な営みです。数多あるページの中から「人生を変える一行」に出会えたなら、それは100冊、いや1000冊分の情報を読む以上の価値を持ちます。

膨大な情報が押し寄せるこの時代において、本当に必要なのは“意味を見出す力”です。読むという行為の真の目的は、まさにそこにあります。

そして最後に、ひとつ大切なことを強調しておきたいと思います。それは「変化には時間がかかる」というごく当たり前の事実です。たった一度読んだだけで人生が劇的に変わることは滅多にありません。

しかし、「問いを持ち、考え、そして行動する」。この知的サイクルを日常に取り入れることで、少しずつ確実に、自分自身の内面は変わっていきます。すぐに結果を求めるのではなく、地道にコアリーディングを習慣化していくこと。それこそが、読書を人生の力に変えていく最も確実な方法なのです。

本書は、その変化の種を蒔くための優れたガイドです。この読書術を取り入れることで、徐々に人生が良い方向に変わり始めるはずです。

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