デンマーク人が世界で一番幸せな10の理由(マレーヌ・ライダル著)の書評 デンマーク人でなくても幸せになれる10の方法

幸せとは、気分がよく、人生を愛し 、その感情がずっと続くのを望むことである。(リチャード・レイヤード)

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デンマーク人が世界で一番幸せな10の理由(マレーヌ・ライダル著)読みながら
日本人の幸せについて考えてみました。
アメリカのピュー・リサーチセンターが2014年に世界の各国の「幸福度」を調べたところ
2014年の日本の「幸福度」は43点で、先進国の最下位レベルに位置しています。

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悲しいことに多くの調査で、われわれ日本人は
自分たちのことを幸せだと思っていないというような結果が報告されています。

2012年と2013年の「世界幸福度報告書 (ワールド・ハピネス・レポート)」、2012年の 「ユーロバロメーター」(EUの世論調査)、2011年の 「ギャラップ・ワールド・ポール」(世界的に知られる幸福度アンケート調査 、2008年の欧州社会調査でも、デンマークがそれぞれ一位を獲得している。ちなみに世界幸福度報告書は国連の支援を受けてアメリカのコロンビア大学が毎年調査しているもので、2013年度はアメリカ17位、フランス25位、日本43位だった。 (マレーヌ・ライダル

かたや、北欧のデンマークは、多くの調査で幸福度の高い国だと評価されています。
日照時間も短く、自殺やうつ病も多いデンマーク人がなぜ幸せで
われわれ日本人は幸福を感じられないのでしょうか?

デンマーク人は、この千年近くずっと衰退してきたので
未来に対して、過度の期待を持たない国民だと言われています。
そこそこの夢が、実現すればよいと彼らは考えていて
その現実主義が、幸せ指数を高めているのかもしれません。
彼らの夢は、頑張れば、手が届くモノが多く
比較的自己実現がしやすいのだとマレーヌ・ライダルは指摘しています。

実現不可能な夢や幻想は、十代でのうちに捨ててしまうべきだ。決して叶うはずのない夢や幻想は、本人の個性や、内に秘めた才能を伸ばす妨げにしかならない。 (シルヴィー・テネンバウム)

また、デンマーク人には、以下のキルケゴールの思想が行き渡り
自分の使命に忠実になることを教育されているのです。
人との比較ではなく、自分のやりたいことを目指すことが優先されているので
より、幸せを感じやすいのかもしれません。

私たちには義務がある。それは、自分自身の使命に忠実であることだ。そして、私たちの使命とは、自分の運命を理解すること、自分にとっての真実を見いだすこと、そして命をかけて貫きたいと思える思想を見つけることである。(キルケゴール)

親や教師、社会にブレーキを踏まれがちな日本と
夢の実現しようとするデンマークとの違いをここから感じました。

デンマークの教育システムは、日本とは全く異なります。
デンマークでは、自己実現、夢を叶える教育がなされているのです。

デンマークの教育システムの目的は、知識をたくさん詰めこむことではない。生徒一人ひとりが自分の個性と能力を発見し、自分に自信が持てるようになること。自分が必要とされていると実感し、社会に居場所を見いだせるようになることだ。(マレーヌ・ライダル

日本とは異なり、競争するのではなく、社会と共存しようという考え方が
子供の頃から教育されることで、自己のアイデンティティを作りやすいのかもしれません。
絶えず、子供たちに自立を求める家庭、学校、社会が
子供たちを積極的に行動させています。
多くの子供たちが13歳からアルバイトをして、自立し、社会体験しています。
世の中と接点をもちながら、彼らは夢を見つけていくという事実に驚きました。
(日本人には、この発想はありませんよね。)

このように自分のやりたいことが、若い時からでき
社会に居場所があれば、私たちは幸せを実感しやすくなります。
たとえ、失敗したとしても、社会保障がその後の人生を
リカバーしてくれるので、安心感も得られます。
また、何度チャレンジしてもよいのですから、幸せになる確率も高められます。
失敗したら終わりの日本とは、メンタル面でも大きな差があります。

デンマーク人は大金持ちになることにも、他人の上に立つことにも関心がない。なぜなら、自分らしく生きることが一番幸せだと知っているからだ。

デンマークでは、教育費の負担がないので
自分の学びたいこと、やりたいことにチャレンジできます。
親の言うことを聞かずに、自分の好きなことができる自立型社会なので
本当に好きなことがやれると言うのです。
それが、幸福度を高めているのでしょう。
また、お金にこだわらずともそこそこの生活ができます。
家族との時間を大切にするライフワークバランスがとれた働き方ができれば
日頃の生活からでも、より多くの幸せを手に入れられます。
通勤や残業面から見ても、日本との差を感じます。

人生の目的を優先して、やりたいことをやったほうが
お金を稼ぐだけの人生よりも、幸せになれます。
多くのデンマーク人はそれがわかっているので、競争を好みません。

私たち人間の本質は 「人生に意義を与えること」にあるという(ベン・シャハー)。人生の目的…つまり、目指すべき星、到達すべき山がなければ、私たちは本当の意味では幸せになれない。だからといって、幸せを 「星をつかむこと」や 「頂上に到達すること」だと考えるのは間違いだ。目的に達するまでの道のりを楽しみ、途中でぶつかる困難をきちんと受け入れること。それこそがリアリストの幸せなのである。

人と一緒に何かに取り組んだり、今ある幸せに感謝することで
幸せになれるとわかっているのが、デンマーク人なのでしょう。
お金儲けや、もっともっと良いものが欲しいという資本主義の考え方だけでは
人は、幸せには、なれません。
私たちはお金やモノにすぐに慣れてしまうのです。
先進国においては、お金や物質だけでは、もはや幸せにはなれないのです。
チャレンジする目標があって、それを階段を登りながら
実現した方が達成感があり、長期に渡り、幸せを感じられるのです。

こうして見ると、お金は確かに幸福度に影響するが、それは貧しい人たちに限られることがわかる。所得が一定レベル以上の、つまり基本的ニーズが満たされている人たちの場合、お金があるかどうかは幸福度にそれほど影響しないのだ。裕福になっても幸せになれるわけではない……それはいったいどうしてだろう?イギリスのエコノミスト、リチャード・レイヤードによると、それは人間が新しい環境にすぐに適応するせいだという。つまり、たとえ財産が増えても、人間はその状態にすぐに慣れてしまうのだ。

今、ちゃんと生きていること、そのことに感謝することで
私たちは、幸せを実感できます。
未来は、予測できませんが、たとえ悪いことが起こったとしても
自分がしっかり生きてさえいれば、また幸せになれるはずです。

私たちは幸せについて幻想を抱きがちだ。そのせいで失望したり、逆に不幸せになったりする。幸せのことを「不変の状態」だと思いこんでしまうからだ。美しい妻、イケメンの夫、かわいい子ども、立派な一軒家、憧れだった仕事……そういうものが手に入ると、「さあ、これから理想的な人生のはじまりだ」と思う。そしてその幸せは永遠に続くものだと信じこむ。当然のことながら、それは幻想にすぎない。人生は絶えず変化する。よいことも、悪いことも、先の予測はつかないし、いつも思いがけないことが起こる。想像以上に嬉しいことが起こるときもあれば、予想すらしなかった苦しみに見舞われるときもある。だが、たとえどんなことが起きても、それが通りすぎると、また自分自身の「幸せのべース」に戻る……そういうものなのだ。

個人が幸せになるためには、どうすれば、幸せになれるかを考え
それに向かって、努力することが一番なのですが
確かに、デンマークには、その基盤が整っています。
羨ましい環境であることは間違いありません。

社会環境の影響も大きい。とくにデンマークの場合、この要素が重要な役割を果たしている。デンマーク社会は、人々が幸せになりやすいシステムを意識的に構築してきた。いや、むしろ、個人が自分の「幸せのべース」を築くのに向いているシステム、と言うべきだろう。みんなが自分自身の居場所を見つけられて、自由に、自信を持って生きていける社会。デンマークのシステムは、個人の幸せのべース 「基礎」の役割を果たしているのだ。信頼、平等、現実主義、連帯意識……そのおかげで、誰もが自分に合う場所を見つけられる。これこそ、幸せになるための「スタート地点」だ。そう、長い目で見て人生に幸せを感じられるための


しかし、デンマーク人が、すべて幸せであるわけでもありません。
結局は、一人一人の考え方に基づくはずです。
スタートラインが違っても、環境が異なっても、人は行動と習慣によって
幸せを勝ちとれると言うのが、最近の考え方です。
幸せを決める3要素は、遺伝が50%、環境が10%、意図的な行動が40%だと
ソニア・リュボミアスキー幸せがずっと続く12の行動習慣で、紹介しています。
デンマークのような環境に生まれなくても、私たちは幸せになれるはずです。

だが、デンマーク社会の出番はここまでだ。社会環境が人の幸せに影響するのはこく最初の段階だけ。そこから先は個人の責任になる。自分らしさを手に入れるために、1人ひとりがどう生きていくかにかかっている。世界で一番幸せな国に生まれても、不幸せになる人はいる。逆に、世界で一番不幸せな国に生まれても、幸せになる人もいる。デンマークに生まれたからって、幸せになれると保証されたわけではない。

先進国に住んでいる多くの人間は、実は、考え方を変えさえすれば、幸せになれるのです。
その時に、マレーヌ・ライダルアドバイスがとても参考になります。
以下、デンマーク人でなくても幸せになれる10の方法を引用します。
■自分自身の一番の親友になる。
■他人と比べるのをやめる。
■社会の慣習や圧力を気にしない。
■第二の道を準備しておく。
■戦う相手を選ぶ。
■自分に正直になって現実を受け入れる。
■理想的主義的リアリストになる。
■今を生きる。
■たくさんの幸せの種を持つ。
■他人を愛する。

この10の方法を絶えず意識すれば、私たちは幸せになれそうです。
日本人は、もっともっと幸せになれると私は思います。
そういった社会を実現するための指針としても、本書はオススメです!

今日もお読みいただき、ありがとうございました。

   

photo credit: R0013906.tif via photopin (license)

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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