社会に出たら高収入を稼ごうと若い頃に目標を立て、のちにその目標を達成した人は、人生に対する満足度も非常に高かった。(ロルフ・ドベリ)
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目標づくりが、なぜ人生に影響を及ぼすのか?
ロルフ・ドベリのThink clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法の書評を続けます。今日は、なぜ目標づくりが、人生に影響を及ぼすのかを考えてみたいと思います。
アメリカの研究チームが、17歳と18歳の学生に「経済的な成功をどのくらい重視するか」と質問し、「(a)重要ではない」「(b)少しは重要」「(c)非常に重要」「(d)経済的な成功は不可欠」の4つから答えを選んでもらいました。そして数十年後に、その学生たちが実際に得ている「収入」と人生に対する「幸福度」を調べました。その結果、2つのことを確認できました。
まず、若い頃に経済的な成功を重視していた人のほうが、数十年後の所得額が多いことがわかりました。若い頃から明確な目標を立てることで、未来の結果を変えることができるのです。また、社会に出たら高収入を稼ごうと若い頃に目標を立て、のちにその目標を達成した人は、人生に対する満足度も非常に高かったのです。
一方、同じように金銭面をとても重視していたにもかかわらず、経済的な成功を得られなかった人たちは人生に大きな不満を抱えていました。多くの人はお金があれば幸せになれるに決まってると考えるでしょうが、彼らの「幸福度の高さ」は「所得の高さ」によるものではなかったのです。
経済的な成功を人生の目標にしていなかった人たちの場合には、所得の高さは人生の幸福度にほとんど影響を与えていませんでした。
つまり、人が幸せを感じるかどうかは所得の額によって決まるのではなく、目標を達成できたかどうかで決まるのである。人生の目標がお金以外の場合でも、同じような傾向が確認されている。
では、どうして、「目標」がこれほど大きな意味を持つのでしょうか?著者のロルフ・ドベリは、目標を持っている人は、持っていない人より、目標達成のために努力するからだと指摘します。目標を持っている人は、行動することを躊躇しませんし、正しい決断を下すことができます。
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目標達成のために、ハードルの低い目標をあえて設定する!
人生には、無数の分かれ道がある。分岐点に差しかかるたびに、そのときの気分でどちらに進むか決めてもいいだろうが、目標があれば、それに適した道を選ぶことができる。
調査研究の対象となった学生のうち、経済的な成功が「不可欠」と答えた学生がその後、収入のよい仕事(医者、弁護士、コンサルタント)などの仕事を選んでいます。人生に明確な目標を持つことで、良い判断を下せるようになります。
ノーベル賞受賞者のダニエル・カーネマンは「達成困難な目標を立てている人は、人生に不満を感じるもの」だと述べています。目標を立てるときには、この説を信じて、目標がどのくらい実現可能なものか?をよく考えるべきです。例えば、人類で初めて火星に降り立つことやアメリカの大統領になることを目標に設定するのはやめましょう。こういった難しい課題は、自分自身ではコントロールできないことに左右されるため、実現するのがとても難しいからです。非現実的な目標を立てても幸せにはなれないのですから、ハードルの高い目標を立てないようにすべきです。
目標を持っていたとしても、そのハードルを高く設定しすぎている人にとっては、ハードルを下げて実現可能な目標を立てなおすのも、よい人生に近づく方法のひとつだ。大事なのは、少しでも早くどこかにたどり着くことではない。自分がどこに向かっているかをきちんと把握しておくことだ。
私は目標を作るときに、大きな目標を作った後で、その目標を細分化し、達成可能な目標に置き換えています。日々それをこなすうちに、小さな目標をクリアでき、人生の満足度を高められます。徐々に目標を達成するうちに、やがて大きな目標に到達できるようになります。大きな目標だけに的を絞るとモチベーションが保てなくなり、やがてはそれを諦めてしまいます。行動を続けていれば、失敗しても、すぐに軌道修正が可能です。自分のゴールに近づくために、いくつものドアをノックし、それを達成するための方法を実践していれば、結果を出せるようになるのです。
まとめ
幸せな人生を送っている人は、明確な目標を立てていることが明らかになりました。目標がある人は、判断を間違えずに、的確な道を選択できるので、良い結果を残せます。大きな目標を細かく切り刻み、実現可能な目標を設定することで、日々、達成感を得られ、行動を継続できるようになるのです。
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