ビル・ゲイツの地球の未来のため僕が決断したことの書評


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地球の未来のため僕が決断したこと
著者:ビル・ゲイツ
出版社:早川書房

本書の要約

地球は確実に暖かくなっていて、その原因は産業革命以降の人間の活動にあります。私たちが大気中の温室効果ガスを減らさなけれな、潰滅的なダメージを地球に与えます。最悪の事態が訪れるのがわかっているのですから、今すぐカーボンゼロへの行動を起こす必要があります。

温室効果ガスをゼロにすべき理由

気候変動について知っておくべき数字がふたつある。ひとつが510億。もうひとつがゼロだ。510億は毎年、世界の大気中に増える温室効果ガスのトン数である。年によって多少の増減はあるが、おおむね増加している。これが”現状”だ。(ビル・ゲイツ)

地球温暖化が、暴風雨、高潮、干魃、感染症の拡大などを引き起こし、多くの人々の命や財産を奪っています。日本でもこの数年、豪雨災害が続き、不幸になる人が増えています。

日本政府もついに重い腰を上げ、2050年のカーボンニュートラルを宣言しました。2030年度までに温室効果ガスを46%削減することを目指し、行動を開始しました。

以前からビル・ゲイツは、この地球温暖化に警鐘を鳴らしてきました。彼は科学、経済、政治の専門家と協力し、気候変動を解決するためのブレークスルーを探索し、ベンチャー企業に投資を行なっています。

そこから導き出した答えが、「ゼロ」という数字です。温暖化に歯止めをかけ、気候変動の最悪の影響を避けるために、人類は大気中の温室効果ガスをゼロに減らす必要があります。ビルはすべての国の人々が行動スタイルを変えなければならないと言います。

動物や植物の飼育栽培から、ものづくり、場所から場所への移動まで、現代生活のほぼすべての活動が温室効果ガスを発生させています。今は電気を使えていないアジアやアフリカなどの開発途上国の人々も、やがて現代的なライフスタイルで暮らすようになります。

彼らの暮らしがよくなるのはよいことですが、引きつづき温室効果ガスを排出していては、地球が持たず、人々の暮らしに悪影響を及ぼします。気候変動が悪化の一途をたどれば、人類はほぼ確実に潰滅的な打撃を受けるとビルは指摘します。

排出量を50パーセント削減するだけでは、気温上昇は食い止められない。上昇のペースが落ちるだけであり、やや先送りはされるだろうが、大災害を防ぐことはできない。

最悪の気候シナリオを避けるには、温室効果ガスを増やすのをやめるだけでなく、どこかの時点で、すでに排出したガスを除去しはじめなければなりません。最終的に地球の気温上昇に歯止めをかけるには、増やす量よりも多くの温室効果ガスを大気から除去する必要があるのです。

地球は確実に暖かくなっていて、その原因は産業革命以降の人間の活動にあります。私たちが大気中の温室効果ガスを減らさなければ、潰滅的なダメージを地球に与えます。最悪の事態が訪れるのがわかっているのですから、今すぐカーボンゼロへの行動を起こす必要があります。

産業革命以前と比べると、気温はすでに最低でも摂氏1度は上昇し、炭素の排出を減らさなければ、おそらく今世紀なかばには摂氏1.5~3度、世紀末には摂氏4~8度も上がることになります。これだけ気温が上昇すれば、海面が上昇し、多くの都市に人間が住めなくなるのは自明の理です。

ゼロを実現するためのビル・ゲイツの提言

ゼロを実現するには、はるかに幅広いアプローチが求められる。政府の政策、最新技術、新発明、製品を多数の人へ届ける民間市場の力など、利用可能なありとあらゆる手段を使って大規模な変化を起こさなければならないのだ。

このブログでもSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の重要性を何度も取り上げてきましたが、地球温暖化を防ぐことが、経営者には求められています。生活者が環境に優しい企業の商品を買うようになる中で、製造過程や調達にも厳しい目を向け始められています。

アメリカやEC、日本などの豊かな国は、気候についての斬新な解決策を生み出すべきです。政府の補助金、研究型の大学、国立研究所、世界中から人材を集めるスタートアップ企業がある先進国は、今こそリーダーシップを発揮しなければなりません。

エネルギー分野でブレークスルーを実現させ、それを世界規模で安価に展開できることを示せれば、新興経済国でもそれを採用しようとする顧客を生み出せます。

僕たちは、これまでにしたことのないとてつもないことを、かつてなく迅速に成し遂げなければならない。そのためには、科学と工学において数多くのブレークスルーが必要だ。まだ存在しない合意を形成し、移行をあと押しする公共政策をつくる必要もある。政策がなければエネルギー移行は起こらない。望まないことをすべて止め、望むことをすべて可能にするエネルギー・システムが必要だ。つまり、完全に変化しながら、同時にこれまでと同じでいられるようにしなければならないのである。

環境に優しい代替策を使用する際に発生する追加コストであるグリーン・プレミアムを経営者は意識し、炭素ゼロになるような施策を取り入れるべきです。さまざまなプレミアムを検討することで、いま展開すべき炭素ゼロのソリューションが何であるかがわかります。実際、・ビル・ゲイツはこのグリーン・プレミアムを考えながら、最適な投資先を決めていると言います。

ビルはイノベーションの供給を増やすために、政府に以下の提言を行います。民間にはできないことを政府が担当し、カーボンゼロを目指すようにすべきです。
①今後10年で、クリーンエネルギーと気候関係の研究開発予算を5倍にする。
②高リスク高リターンの研究開発プロジェクトに、より多くの資金を投じる。
③研究開発を最大のニーズにマッチさせる。
④はじめから産業界と協働する。

また、イノベーションの需要に弾みをつける必要もあります。
■イノベーションの開発段階
①エネルギーのスタートアップを支援するために、各国政府は購買力を行使する。(スタートアップの死の谷を防ぐ)
②コストを下げてリスクを減らすインセンティブをつくる。(税額控除や借入補償などの支援策でスタートアップをサポートする)
③新技術を市場に送るインフラをつくる。
④新技術が他と競合できるようにルールを変える。

■イノベーションを展開・普及させる
①炭素に値段をつけるカーボン・プライシング。(誰もが自分の排出コストを支払うようにする)
②クリーン電力基準(電力会社に一定の割合で再生エネルギーを使用させる)
③クリーン燃料基準
④クリーン製品基準
⑤古いものを追い出す。

新技術をできるだけ迅速に展開するのに加えて、政府は、発電所であれ自動車であれ、化石燃料で動く効率の悪いものを通常よりも早くリタイアさせる必要がある。

⑥誰が何をするのか?(あらゆるレベルの行政での意識改革と行動が必要)
電力、燃料、製造にクリーン基準を取り入れ、各分野でのイノベーションを後押しすることで、人々の思考と行動は変わります。

その上で、すべての国の政府は以下の3つのことを実践する必要があります。
1、ゼロの達成を目標にする。
富裕国は2050年まで、中所得国は2050年以降の可能なかぎり早い時期に達成することを目指す。  

2、目標を達成するための具体的な計画を策定。
2050年までにゼロを達成するには、2030年までに政策と市場構造が整える必要がある。  

3、研究に資金提供する立場にある国はすべて、研究がクリーン・エネルギー価格の大幅な引き下げに確実につながるようにしなければならない。
グリーン・プレミアムを大幅に下げて、中所得国が排出ゼロを実現できるようにすべきです。

気候変動ほどの大きな問題を目の前にすると、無力感を覚えるのも無理はない。しかし、あなたは無力ではない。政治家や慈善家でなくても状況は変えられる。あなたにも市民、消費者、従業員、雇い主としての影響力があるからだ。

当然、行政や企業だけでなく、一人ひとりの行動を変える必要があります。私もグリーン・プレミアムを意識し、環境に優しい行動を続けていきたいと思いました。

 

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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