投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント(バートン・マルキール , チャールズ・エリス)の書評


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投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント
バートン・マルキール, チャールズ・エリス
日本経済新聞出版

本書の要約

プロが運用する多くの投資信託は、市場インデックスと同じ動きを目指すパッシブ・ファンドに負けていることを忘れないようにしましょう。個人がプロの彼らに勝つことは至難の業なのですから、インデックスファンドを投資の中心に据えるべきです。

なぜ、インデックス・ファンドを買うべきなのか?

目標を達成したいなら、手数料が少額ですむインデックス・ファンドが一番だ。(ガス・ソーター)

私が投資を始めたときに『ウォール街のランダム・ウォーカー』のバートン・マルキールと『敗者のゲーム』のチャールズ・エリスの2人に、相当影響を受けたのですが、なかなかその教えを実践できずにいます。インデックス・ファンド投資の価値は分かっているのですが、個別グロース株の取引の方が面白いため、どうしてもそちらを優先しがちです。しかし、最近、2人の本を読み返し、自分の投資を修正し、インデックスファンドの積立額を増額しました。

バンガードの最高投資責任者のガス・ソーターもインデックスファンドに投資すべきだと言います。

攻めているほうが守りより楽しい。しかしあえて言う。ほとんどの人にはこのインデックス・ファンド投資が向いている。

実際、多くのアクティブファンドはインデックスファンドに勝てないことが分かっています。あえて手数料の高いアクティブファンドやプロとの戦いを個別株投資で挑むよりも、普通の人はインデックスファンドに投資すべきです。

自分のお金を運用するためには、以下の3つの点を意識すべきです。
①資産配分
株式や債券といった資産を、長期的にどういう割合で持っているのが望ましいかを決めること。

②マーケット・タイミング
長期的に決めた資産配分比率を維持しながら、短期的に特定の資産を売買すること。

③銘柄選択
配分比率を決めた各資産に、具体的にどのような銘柄の株式や債券を組み入れるかの問題。

このうち資産配分がとくに重要だと著者たちは主張します。理論的には、資産配分こそが運用成績を決める最大要因で、マーケット・タイミングや銘柄選択の影響はほとんどないと言います。マーケット・タイミングと銘柄選択に基づいて投資をすれば、運用機関に対する報酬や証券会社に対する売買手数料など多くの費用がかかります。そして、その分だけ確実に投資リターンは下がるのです。マーケット・タイミングと銘柄選択を行うと高くつき、得られるリターンが減ることになるのです。

投資信託に関する数多くの研究から、人々は高値で買い、安値で売るということがわかっています。タイミングの判断の悪さが資産を減らしているのです。それを避けるために、私たちは長期投資戦略を作り、それを貫き通すべきです。

プロが運用する多くの投資信託は、市場インデックスと同じ動きを目指すパッシブ・ファンドに負けていることを忘れないようにしましょう。個人が彼らに勝つことは至難の業なのですから、インデックスファンドを投資の中心に据えるべきです。

KISS Investingの9つのルール

まずお金を貯めることから始まる! 投資をするお金がないことには、リターンが 2%だの、5%だの、 10%だのといっても 始まらない。(バートン・マルキール, チャールズ・エリス)

著者たちは「Keep it Simple」を合言葉に、その投資手法をKISS Investingと名づけ、次の9つのルールをあげています。
①お金は若いうちから定期的に貯めよう
財産を築くのに簡単な方法はありません。若いうちからコツコツが基本になります。

②会社と国に資産形成を手伝ってもらおう
個人の貯蓄への国や会社の支援を活用しましょう。日本であればiDeCoやNISAで積立投資を行います。

③不時の出費に備えて、現金は用意しておこう
「突然の出費」のためのお金を別にとっておく必要があります。

④保険をかけているか確認する
あなたが一家の稼ぎ手で、配偶者と子供を養っているなら、生命保険と長期障害保険に入る必要があります。その際、シンプルでコストが低いものを選びます。

⑤分散投資をすれば心配の種が減る
分散投資はどのような投資でもリスクを減らすことができます。

⑥クレジットカードのローンは使わない
高い金利の借金は避けましょう。

⑦ 短期運用への衝動を無視しよう
極端な暴落や暴騰のときに、周りの人たちみんながパニックに陥っていても、うろたえずに、何もしないこと。ひたすら長期投資をしっかり見据えることが大切です。

⑧低コストのインデックス・ファンドを使う

インデックス・ファンドは株式市場(または債券市場)のすべて(すべてではないときもあるが)を、銘柄を選ばずに単純に買うものだ。この「選択をしないで市場にある銘柄全体を買う」インデックス・ファンドに投資すると、あなたはすべての主要企業の株主になる。個々の銘柄の株や債券、投資信託に投資するのと比べて、このインデックス・ファンドはこの銘柄を買って損をした、得をしたと心配せずにすみ、時間もかからない。 簡単な投資方法であるインデックス投資は、 一般的にいえば、個々の株や債券に投資するアクティブ運用ファンドよりもリターンは高い。

著者たちのお勧めインデックス・ファンド
■S&P500インデックス・ファンド
■中小企業株をも含むラッセル3000インデックス・ファンド
■ダウ・ジョーンズ・ウィルシャー5000インデックス・ファンド

80年以上にわたる株式市場の実績を見ると、小型株は大型株中心のS&P500より高いリターンを上げています。中小企業は当然、経営状況が大企業と比べて安定せず、倒産の危険性も高いが、平均的に見れば将来大きく成長する可能性も高いのです。

⑨オーソドックスな分野に注目
ベンチャー・キャピタルやプライベート・エクイティ、ヘッジファンドのような「目新しい」商品は避けたほうがよい。

「インデックス・ファンドに長期分散投資せよ」という著者のメッセージが響きました。株価が下がっている今だが、長期的な視点にたてば、投資のチャンスなのです。この歴史を学ぶことで、投資への恐怖感を減らせます。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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