60歳からの教科書 お金・家族・死のルール(藤原和博)の書評


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60歳からの教科書 お金・家族・死のルール
藤原和博
朝日新聞出版

本書の要約

1万時間の法則を活用することで、いくつになってもその道のプロになれます。要はやりたいことを決め、今ここに集中すれば、いくつもの経験をつめ、キャリアを充実できるのです。いくつものスキルを掛け合わせることで、自分らしく生きられるようになり、人生100年時代をエンジョイできるようになるのです。

60歳からをどう生きる?

人生を豊かに彩るために、一つひとつの手段を使いこなすこと。日常には、偶然の発見や新たな出逢いなど、ありとあらゆる可能性があります。それらを最大限に活かして、小さな感動を与え合うこと。 その信条こそ、「アール・ド・ヴィーヴル」です。(藤原和博)

人生100年時代となり、私たちの生き方も大きく変わってきました。現在58歳の私も人生折り返し地点をようやく通過したばかりで、これからも人生を楽しんでいきたいと思います。私より数歳年上の藤原和博氏は、今までに何度も自分のキャリアを変化させてきました。定期的に著者の考えに触れながら、私もその時々の自分をアップデートしてきました。

■情報編集力を磨く
■自分のブランドを希少性から整理する
■100万分の1の存在になる(1/100に1/100、そしてさらに1/100を掛ける)
■1万時間の法則で自分をプロ化させる

人生の後半戦では、今までの知識と体験を重ね合わせ、他者への貢献を意識すべきです。自分自身の希少性に気づき、それを高め、お金を有効に使い、家族と向かい、死ぬまで如何に生きるかを考えることで、自分のやるべきこと、パーパスが見つかります。60歳からの自由時間は8万時間あると考えれば、いくつものことを実現できるはずです。

フランスには「ART DE VIVRE(アールドヴィーヴル)」という言葉がありますが、 組織を卒業する60歳から、自分らしく生きることを考え、自分の棚卸しをすることはとても有効だと思います。私は少し早めの54歳の時にサラリーマンをやめ、社外取締役やアドバイザーとして働き始めました。一つの会社だけではなく、複数の会社に関わることで様々なスキルを習得できました。

藤原氏は人生のエネルギーカーブを時代に合わせて、「八ヶ岳型連峰型」にすべきだと言います。人生100年時代には、過去の常識を捨て、やりたいことに時間を使うべきです。

富士山型一山主義ではなく八ヶ岳連峰主義

明治から大正時代にかけて日本人の平均寿命は、43歳前後でした。当時の平均寿命の短さは乳幼児死亡率が高かったことも一つの要因ですが、50歳を超えたら「隠居して社会の一線から退く」のが通例だったのです。

子ども時代をゆったり過ごし、大人になれば、兵役を果たしたり家業を継いだりして一所懸命働き、隠居の時期を迎えたならば、余生は趣味の時間を大事にしながらいずれ死に至ると言うのが、明治の一般的な行き方でした。著者はそういった人生を「坂の上の雲型人生」型と呼んでいます。あの夏目漱石も、『坂の上の雲』の主人公の一人、秋山真之(元連合艦隊参謀)も49歳で亡くなっています。明治は人生50年時代だったのです。

太平洋戦争の敗戦後、長らく続いた昭和・平成を生き抜いた世代は、平均寿命が80歳前後に延びたことで、60歳の定年退職後に20年前後の余生を手にすることになりました。昭和から平成にかけてのビジネスパーソンの人生のエネルギーカーブのピークは、40代から50代にかけて訪れることが一般的です。

年収もその頃が最も高く、仕事に家庭に遊びにと、充実した日々を過ごしていました。著者はこれを「富士山型一山世代」と呼んでいます。当時はエネルギーカーブのピークが一つで良かったのですが、これからはそうはいきません。

私たちの世代の「老後」は、前の世代の人々が口にしていた「老後」とはまったく状況が異なるからです。ガンなどの難病にも良い治療法が開発され、人々の健康意識 も高まったおかげで、平均寿命は80歳から100歳近くにまで延びようとしています。前の世代に比べて、あまりにも余生が「長い」。すると、余生が余生ではなくなります。定年後の人生を現役時代と変わらず人生の「本番」として生きていく必要が出てくるのです。

「坂の上の雲世代」と「昭和・平成を生きた世代」とは異なり、私たちは複数のキャリアを歩めるようになります。いくつものキャリアを重ねていき、様々なスキルを掛け合わせることで、自分らしい人生を送れるようになります。「令和」を生きる私たち世代は、エネルギーカーブのピークがいくつも連続する、いわば「八ヶ岳型連峰主義」を採用し、人生の後半戦をエンジョイすべきです。

この100年で、人生の長さは倍になりました。一つの山だけではその長い人生を充実させるにはとうてい足りません。これからの時代を生きる人は、いくつもの山と谷が交互に訪れる、連峰型エネルギーカーブの人生を生きることが普通にし、人生のピークを長持ちさせるべきです。

エネルギーカーブを描くことで、私たちは「死」を意識することができるようになります。 「死」を意識するのは、誰にとっても勇気が要ることです。自分のエネルギーカーブを描いてみたとき、結末の「死」を見て、暗い気持ちになった方もいるかもしれません。当然です。ですが、「人生は有限」であることをハッキリ自覚することで、かえって強まる意識がある。それが、「今、ここ」を大事にする気持ちです。

著者は人生後半戦でも1万時間の法則を活用することで、その道のプロになれると言います。要はやりたいことを決め、今ここに集中すれば、いくつもの経験をつめ、人生を充実できるのです。

連峰型エネルギーカーブにおける「山の高さ」とは、個人がコミュニティで育んだコミュニケーションの総量です。「山の豊かさ(植生や緑の豊かさ)」は、育んできたコミュニケーションの質だと考え、他者への貢献を考えましょう。 人生後半戦の豊かさは「コミュニティ」への積極的な貢献から生まれます。それが豊かになればなるほど、私たちはより幸せになれるのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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