ツキの方程式 ――人生は思いがけず変化する(マックス・ギュンター、ゴータム・ベイド)の書評


ツキの方程式 ――人生は思いがけず変化する

マックス・ギュンター、 ゴータム・ベイド
パンローリング株式会社

本書の要約

運が強い人には以下の5つの共通点があることが明らかになっています。①社交性に富む ②直感力が強い ③勇気がある ④ラチェット効果をはたらかせる ⑤悲観的推測に基づいて行動する 運を思い通りに変えるために私たちは、まず自分を変えなくてはなりません。

運のよくするために何をすればよいのか?

幸運を引き寄せるには、慎重な楽観主義と健全な悲観主義が必要になる。(ゴータム・ベイド)

運の良い人と悪い人の違いは何にあるのでしょうか?世の中には幸運に恵まれた人がいますが、彼らにはいくつかの共通点があることが明らかになっています。作家のゴータム・ベイドと投資家のマックス・ギュンターは、運の良い人になるための方法があると指摘します。私たちが適切な行動さえ取れば、幸運が訪れる確率を上げることができるというのです。

運の良い人は、まず運が良くなる場所に自分の身を置いています。物事の動きが早く、活発な場所にいるので、その分、幸運に出合いやすくなるのです。彼らはできるだけリスクが小さく、リターンの大きい挑戦を積極的に何度も繰り返しています。 

イベントやパーティー、ミーティング、カンファレンスなどの場にできるだけ出席し、常に心と目を開いて、セレンディピティに出合った時、それに気づけるようにしています。運の良い人は、偶然の出来事を有効に生かせる生き方をしているのです。

幸運を追い求めるよりも、不運を避ける術を学ぶ方が大事だと言ってもいい。そして不運を最小限にすれば、幸運は訪れやすくなるだろう。幸運は常にあなたの周りにある。気づいている、いないにかかわらず、良いことは絶えずあなたに起き得るのだ。  

幸運な人は総じて生来、楽観的で、自分には良いことが起きるだろうと思っています。楽観的な人は幸運になりやすいのです。良いことが起きると信じていると、実際に良いことが起きる確率を上げられます。楽観的な人は、多少、良くないことがあっても、すぐにまた良いことがあると信じているので、早く立ち直ることができ、次のアクションを起こせるのです。

幸運な人とは自分の幸運に気づくことができ、自分の今の境遇に感謝できる人なのです。自分はさまざまな幸運に恵まれていると捉えることで、新たなチャンスが見つかり、結果を出せるようになるのです。

運の良い人の5つの特徴

マックス・ギュンターは運の良い人の5つの特徴を明らかにしています。
①運の良い人は社交性に富む
運の良い人は、多数の人と友好的な関係を築いています。幸運は常に他人からもたらされるものなので、多くの人とつながりを持つほど、幸運が訪れる可能性は高くなります。 

人が思いがけない幸運を得るとすれば、それは、必ず他人の手によってもたらされることになる。その人が見知らぬ人なのか、ちょっとした知人、あるいは友人の友人なのかはわからい。 運命の神様が、どんな幸運を自分のために用意してくれているのか、それを事前に知ることはできない。どういう人間関係を築けば、どういう幸運がやってくるのか、そんなことは一切わからないのだ。しかし、自分の名前を知っている人の数が増えれば、その数に比例して幸運の訪れる確率が上がることだけは確実である。(マックス・ギュンター)

スティーブン・バレット博士は、運の良い人、悪い人の違いについて長年にわたり考察してきました。バレットは生まれつき運が良いように見える人は、人と仲良くなるコツを知っていて、人と仲良くなる機会が多いということを見つけました。また、そういう人は、まるで磁石のように他人を惹きつける力を持っていたのです。

②運の良い人は直感力が強い
運の良い人は、目に見える以上の何かを察知する能力を持っています。多くの場合は、無意識のうちにその能力をはたらかせています。

③運の良い人は勇気がある
勇気がある運の良い人は、目の前にチャンスが訪れたら、確実にそれをつかみ取ります。たとえ、それによって自分の人生設計が狂うことになっても、勇気を出して一歩踏み出します。そのため、運の良い人は「ジグザグ」な人生を歩むことが多いのです。

■勇気ある人になって運を良くするための3つのルール
第1のルール 常にチャンスに目を光らせる
 
第2のルール 勇気と向こう見ずの違いを見極める
リスクとリターンを考え、最悪なシナリオをイメージし、勇気を持って行動することで、良い結果を得られるようになります。
 
自分を不運だという人の多くは、非常に『受け身』な人たちです。運の悪い人たちは、チャンスを生かすべく自ら積極的に動くようなことはなく、ただ起きた出来事にそのまま身をまかせてしまいます。変化を恐れる人が多く、ときには、まったくリスクのない変化でさえ嫌がります。(アブラハム・ワインバーグ)
第3のルール
情報が十分でなくてもまずは一歩踏み出す
間違いのない予測をするために、可能な限り情報を集めましょう。どんな場合でも、まずは情報を集め、慎重に検討します。そのあとで、思い切って前に出るか否かを決断します。
 
④運の良い人はラチェット効果をはたらかせる

運の良い人は、自分のしていることが悪い方向に転がり始めたときや、状況が悪化し始めたときには、素早くその場から逃げ出すことができます。そのため、ひどい不運に見舞われることが少ないのです。

車輪などを一方向にのみ回転させるための装置を「ラチェット(歯止め)」という。定められた方向とは逆に動こうとすると、ラチェットが制止するので、車輪は必ず一方向にだけ動く。装置のこのようなはたらきを「ラチェット効果」と呼ぶ。「運が良い」といわれる人は、どうやらこれと同じような「装置」を、自分の中に持っているようだ。何かをすれば、当然、良い結果もあれば、悪い結果も出る。始める前から、結果が果たしてどちらに転ぶか、完壁に予測をすることは不可能である。だが、「運が良い」といわれる人は、実は、自分のしていることが悪い方向に転がり始めたら、いつでも動きを止められるよう準備をしている。状況が悪化し始めたときには、素早くその場から逃げ出すことができるのだ。
不運をつかんでしまったら、すぐに手放して、さらに悪いことが起きないようにします。普通の人は、いったん悪い状況に陥ると、そこから抜け出すことができず、多くの場合は生涯そのままになってしまいます。ラチェット効果を使い、悪い状況からすぐに抜け出すようにしましょう。
 
運を良くするには、勇気とラチエット効果の2つの要素が欠かせません。勇気を持つことができれば、またラチェット効果をはたらかせることができれば、ある程度は自分の運を良くすることができます。
 

⑤運の良い人は悲観的推測に基づいて行動する
「運の良い人は楽観的な人」というイメージがありますが、実際にはまったく楽観的ではありません。運の良い人は、自ら意識して、極端なほど悲観的な態度を貫いているのです。いつ良くないことが起きるかわからない、と思って行動することが、幸運につながっているのです。

「運を思い通りに変える」というのは幸運に恵まれる確率を上げ、不運に見舞われる確率を下げることです。そのために私たちは、まず自分を変えなくてはなりません。



この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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