実践・採用ブランディング
佐藤タカトシ
クロスメディア・パブリッシング
本書の要約
自社で働くことに対してポジティブな印象を与える採用ブランディングによって、最適な人財を採用できるようになります。ゴールを大きなものに設定し、パーパスや理念を明らかにすることで、それに共感する人材が集まり、力を発揮してくれるようになり、組織の成長が加速します。
採用ブランディングが効果を発揮する理由
採用ブランディングとは、仕事を探している学生や社会人に「あの会社で働きたい」「あの会社のあの仕事をしたい」「あの会社のあの人と働きたい」などと、自社で働くことに対してポジティブな印象を感じさせることを指します。(佐藤タカトシ)
最近、採用に関わるご相談が増えています。組織を成長させるためには、正しい戦略と優秀なメンバーが欠かせませんが、戦略に合致した採用を行なっている会社は少ないように思えます。自らのパーパス、理念、強みを明らかにし、それに共感してくれるメンバーを集めることが重要になっています。
著者の佐藤タカトシ氏は採用のプロフェッショナルで、採用ブランディングによって、最適な人財を採用できるようになるとしてきます。コロナ禍が終わりを迎える中で、企業の採用マインドが変化し、「売り手市場の時代」が訪れています。
優秀な人材を獲得するためには「その会社に入りたい」と強く感じてもらうことが必要になります。このような環境下において、採用側もマインドセットを変える必要があります。今までの企業優位の考え方で採用を続けていると、求める人材の確保は非常に難しくなるはずです。
企業が生き残り、成長するために欠かせない一つの大きな要素が、学生や求職者に「入社したい」と思ってもらう、採用ブランディングなのです。
採用自体のそもそもの目的を、プロジェクトのゴールに置くことで集まる人材の質が変わります。「会社を変えたい」「事業を成長させたい」「組織に変革をもたらしたい」「会社の進化を契機に社会を変えたい」といった、より大きなゴールが設定されたとき、ブランディング活動が成就する可能性が高まると著者は言います。
ゴールを大きなものに設定し、パーパスや理念を明らかにすることで、社内外のスタッフを巻き込みやすくなります。また発信された情報の共感する学生が応募してくれるようになり、採用メディアに頼らなくとも優秀な人材が集められるようになります。
採用ブランディングにおいて戦略が重要な理由
多くの企業は、会社の規模や仕事の内容、職場の環境など、「目に見える条件」にフォーカスし、採用サイトをデザインしますが、それだけでは応募者からの共感を得られません。
自社の強みや創業者の思い、パーパス、理念、会社のカルチャーや人が醸し出している空気などの「目に見えないもの」が人を動かします。企業の様々な情報が、求職者本人の働き方や生き方とマッチすることで、行動変容が起こります。
その会社が持つ唯一無二のものに候補者が共感し、自身の生き方とシンクロさせることができれば、大きな効果を生み出すことができるのです。
■採用ブランディングの「戦略」の3つの要素
①目的:何のための採用活動なのか
②求める人物像:その目的を達成するために誰を採用するのか
③伝える内容:何をキーとして伝えるのか
「①目的」「②求める人物像」「③伝える内容」の3つの要素をまずは明確化した上で、きっちりと言語化することが大切です。これをしっかりと定義すれば、戦術と施策がプレないものになり、結果として強い採用ブランドを形成することが可能になります。
■戦術→コミュニケーション設計。自社の魅力をどのように伝えるのか?を徹底的に明らかにします。
■施策→実行するコミュニケーションの「手段」
・求人広告の掲載
・人材紹介会社への依頼
・自社での説明会開催
・採用オウンドメディアの運営などの各施策を、コミュニケーション設計(戦術)に立脚して実行します。
「戦略」→「戦術」→「施策」の順で設計していくことで、採用の軸がぶれず、採用チームが力を発揮できます。戦略の3要素の「目的」「求める人物像」「伝える内容」を明確に定義し、そこからコミュニケーションを展開していきましょう。
採用ブランディングを実施することで、自社のパーパスやビジョンに共感する優秀な人材が集まります。戦略、戦術、施策を明確にし、自社の思いを積極的に発信しましょう。応募者にとって有益な情報を発信することで、最適な人財と出会えるようになります。
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