なぜか好かれる人の「言葉」と「表現」の選び方
牛窪万里子
明日香出版社
本書の要約
聞き手にプラスの印象を与える言葉を習慣にすることで、自分の印象を変えられます。逆に、相手を責める言葉はマイナスの感情を揺さぶって、自分の印象を下げてしまいます。無意識に言葉を発するのではなく、相手がどう感じるかを考え、自分の考えや気持ちを表現することで、相手との関係が改善されます。
相手に好印象を与える方法
ちょっとした言い回しで印象は大きく変わる。(牛窪万里子)
元NHKのキャスターである牛窪万里子氏は、発する言葉によって相手への印象を変えられると述べています。コミュニケーションの基本は傾聴だとよく言われますが、これだけでは一方通行になります。相手との関係を構築したければ、聴くだけでなく、表現することも重要になります。表現力を鍛えることで、私たちは相手との関係を正常に保ち、人間関係という悩みを解決できるようになるのです。
では、どうすれば、自分の印象をよくできるのでしょうか?
著者は以下のような言葉が相手との関係をよくすると述べています。
・相手の背中をポンと押してあげるような励ましの言葉や喜びを共有するような言葉
・人の気持ちに寄り添う言葉
・相手のことを本気で思いやる言葉
このように聞き手にプラスの印象を与える言葉を習慣にすることで、自分の印象を変えられます。逆に、相手を責める言葉はマイナスの感情を揺さぶって、自分の印象を下げてしまいます。
著者は何が伝わったかを重視すべきだと言います。無意識に言葉を発するのではなく、相手がどう感じるかを考え、自分の考えや気持ちを表現することで、相手との関係が改善されます。本書には100のフレーズとそれを使う理由が書かれていますが、このアドバイスを実践することで、ビジネスでも結果を出せそうです。
今日はこの中から、私が特によいと思ったケースを紹介します。
相手に快く動いてもらうためには、どうすればよいでしょうか?
✖️資料を送ってもらえますか?
○資料を送っていただけますか?
◎資料を送っていただけると助かります。
言葉を少し変えるだけで優先順位を高めてもらうことができ、相手の行動を促すことにもつながります。大切なのは「助かる」「ありがたい」といった感謝の気持ちを相手に伝えることです。
相手に依頼するとき、「~してもらえますか?」という言い方だと、疑問形になっている分、命令調はなりませんが、よりよい表現は「助かります」をつけることになります。「ありがたいです」「幸いです」といった感謝の言葉を付加するだけで、相手は資料を送るという自分の行動があなたのためになると感じてくれるようになります。
感謝の言葉を付加することで、相手の行動が変わる?
節約をお願いする場合にもポジティブな表現が相手を動かします。
✖️無駄にしないでください。
○節約してください。
◎大切にしてください。
「人の脳は否定語を受け入れない」という特徴があります。「無駄にしないでください」という言葉だと、「しないで」の部分を無意識では理解せず、「無駄」という言葉だけが無意識に記憶されてしまいます。これでは相手は動いてくれません。
お願いをする際には、否定語をなるべく使わずに、相手に「してほしいこと」をストレートに伝えるようにしましょう。
相手が納得する「断りの言葉」の使い方も覚えてくとトラブルを減らせます。
✖️今は手が離せません。
○後ほど、ご連絡致します。
◎申し訳ありませんが、○○時頃にご連絡致します。
忙しい時に「今は手が離せません』と直接的に伝えてしまうと、冷たい人だと思われてしましいます。まずは、相手をないがしろにしているわけではないという意思を伝える意味で、後ほど連絡しますと伝えましょう。その際、時間を明らかにすることで、相手の印象が変わります。
相手に気づきを与えたい時には、相手を責めるのではなく、正直な気持ちを表現します。
×なぜ連絡してこなかったの?
〇連絡してくれたら良かったのに。
◎連絡がほしかったな。
「連絡がほしかったな」と正直な気持ちを伝えれば、相手も自分の気持ちを素直に伝えてくれます。SNSでのやり取りでも相手を責めるのではなく、正直な気持ちを言葉で伝えることで、相手との関係を友好に保てるようになります。
ほめ言葉を上手に使うことで、相手のモチベーションを高められます。
×次回も頼むよ。
○ ○○が好評だったから、次回も頼むよ。
◎あなたでなければ、この仕事は任せられない。
せっかく相手をほめるのであれば、よりダイレクトに伝えることで、相手の喜びも大きくできます。「○○が好評だったから、次回も頼むよ」と伝えると、相手の仕事に対する内容やプロセス、姿勢など具体的なことへの評価を伝えられ、気持ちよく仕事をしてもらえます。
ほめ言葉で大切なのは、相手への敬意と、信頼感を盛り込み、相手の承認欲求を満たしてあげるようにすることです。
「あなたでなければ」と強い気持ちを伝えることで、相手のやる気を引き出せます。部下のモチベーションを高めることがリーダーの仕事だとすれば、言葉の使い方にも注意を払うべきです。相手への敬意を言葉に込めて、相手の承認欲求を満たすことで、個々のメンバーの力を引き出せるようになります。
著者は感謝という気持ちを言葉にし、相手に伝えることがとても大事なことだと繰り返し指摘します。確かに感謝の言葉、「ありがとう」が当たり前の会社には、ポジティブなエネルギーが満ち溢れています。私のクライアントでも感謝の言葉を伝える組織の業績はとてもよく、感謝の言葉の効果を実感しています。
リーダーは、感謝の言葉を口癖にする組織を目指すべきです。本書にはそのためのヒントがいくつも紹介されています。まずは、自分の口癖を変え、感謝の言葉を組織の当たり前にすることから始めましょう。
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