イェール大学人気講義 天才 ~その「隠れた習慣」を解き明かす
クレイグ・ライト
すばる舎
本書の要約
天才とは創造力を持った人たちで、そこからイノベーションを起こし、世の中に大きな影響を与えています。著者は、天性の才能と努力は二項対立ではないと指摘します。天才は天性の才能と努力の両方の賜物だと言うのです。 彼らはいくつになってもその学習中毒という素晴らしい習慣を持っているのです。
天才とは何か?
「天才」という語の意味が、何世紀かのあいだにこれほど頻繁に変わってきたということは、天才というのは時間と場所に左右される概念だということである。天才とは私たち人間が成し遂げたいものを表す。「天才」は私たちが選んでそう命名した人物である。(クレイグ・ライト)
本書の著者のクレイグ・ライトは、世界を大きく変える影響力を持った「天才」をさまざまな角度から分析します。天才はどのように生まれるのか?どういう教育が効果があるかなどは理解できますが、本書を読んでも、おそらく天才にはなれないと彼は言います。しかし、クリエイティブに生きるためのきっかけは掴めるはずです。
著者はイェール大学、ヘンリー・L・アンド・ルーシー・G・モーゼス名誉教授で、学部生向けの人気講座「Exploring the Nature of Genius」(天才の資質探求)を長年担当しています。本書を読むことで、そのレッスンを擬似体験できます。
現代の定義からすると、天才になるには、単に他人には見えない目標を達成するだけではダメで、一番乗りで達成しなければならない。独創性が重要なのだ。だが、これは必ずしも欧米における昔からの考え方というわけではない。天才の習慣の謎を解き、それを取り入れることで、自分を変えることは可能です。
本書に紹介されている天才100人以上の行動や発言を手がかりに、自分に合ったやり方を見つけ出し、より良い人生を送りましょう。
ライトは、以下のように天才を定義します。
天才とは、精神力が並外れていて、その人独自の業績や見解が、文化や時代を超えて、良くも悪くも社会を大きく変革する人を指す。 簡単に言うと、最も偉大な天才は、きわめて長期にわたり、最大公約数の人に最大のインパクトを与える、ということだ。人の命はすべて平等ではあるけれど、なかには、世の中に大きな影響を与える人物がいる。 私は、自身のこの定義において「社会を変革する」という表現を強調したい。なぜなら、天才とは創造力であり、創造力には変革が含まれるからだ。
創造力から天才を評価すれば、今日私たちが広く一般に「天才」と名づけている人の多くは、単なる有名人でしかありません。真の天才を見極めるには、俳優、女優、パフォーマーの大半を除外して、天才について考え直す必要があります。
天才とは創造力を持った人たちで、そこからイノベーションを起こし、世の中に大きな影響を与えています。
天才たちに共通する習慣とは?
天才は突然、そしてどうやら、人のさまざまな表現型 [遺伝子の組み合わせと環境の相互作用により、その遺伝子の組み合わせによる形態や特質の一部が目に見える形で現れる生物的特徴]の組み合わせ――なかでも、知性や立ち直る力、好奇心、洞察力ある思考、少しどころではない強迫的行動から、ランダムに出現するもののように思える。
世の中にはさまざまなタイプの天才がいます。ミケランジェロやベートーベンは、イーロン・マスクはそれぞれ異なった分野の力を発揮し、天才になっていたのです。
当然、先祖からの遺伝子も影響を及ぼしますが、後天的な努力も欠かせません。実際、多くの天才たちも努力の重要性についての名言を残しています。
・どれだけ努力すれば、それが成し遂げられるかがわかる程度であれば、人はそれを天才とは呼ばないだろう。(ミケランジェロ)。
・週末があるなんて思わなかった。休暇があるなんて思わなかった」(ビル・ゲイツ)。
・才能ある人と、成功者を分けるのは、懸命の努力だ。(スティーヴン・キング)
・1週間に40時間働いていただけで、世の中を変えた人など誰もいない。(イーロン・マスク)
・才能は神が与えてくださるものだ。でも、努力が才能を天才に変える。
著者は、天性の才能と努力は二項対立ではないと指摘します。天才は天性の才能と努力の両方の賜物だと言うのです。
イェール大学で著者に学んだフィギュアスケートの金メダリストのネイサン・チェンの言葉を読むと、遺伝子と努力の両方が必要なことがわかります。
天性と努力とどちらが重要かなんて、簡単には言えません。どちらもそれぞれ重要ですが、毎日、どれほど必死で練習を重ねても、遺伝的な素養がなければ、トップに立つのはほぼ不可能でしよう。(ネイサン・チェン)
IQは天才をつくるために不可欠なのでしょうか?アダム・グラントはその考え方を否定します。学業成績では、創造力やリーダーシップ、チームワークカ、社会的知性、感情的知性、政治的知性などの資質はほとんど測れません。
オールAの学生は、情報を詰め込んで、それを試験で吐き出す技を修得しています。しかし、問題に対して正しい解を見つけさえすれば、仕事で成功することは稀で、解決すべき問題を正しく見つけるほうが重要なことが多いと述べています。
IQテストやSATなどのテストは、感情的な交流や社会的交流よりも、限られた範囲の認知能力(数学や言語)を上位に置きます。学力テストは目的も内容も狭すぎるため、天才を予測する指標にはならないのです。
ベートーヴェン、ダーウィン、エジソン、ピカソ、ディズニー、ジョブズなどの成績が悪かった人を見れば、「賢い」にさまざまな意味があることがわかります。
では、このようなイノベーターはどのように学んでいるのでしょうか?
成功者と天才には共通の性質がある。それは、大半の人は、いくつになってもその学習中毒だということだ。これは、持つべき素晴らしい習慣である。
■新しい、馴染みのない経験に対してオープンになる。
自分が怖いと思うことを何かやるよう、自分で自分の背中を押すことで、さまざまな体験を積めるようになります。自分とは異なる世界を覗くことで、世の中の課題を発見できるようになります。
■恐れ知らずになる。
新しい街にいるときは、歩くか公共交通機関を利用すべきです。そうすれば、地理や歴史、地域の文化や現地の人の自裁の生活がわります。
■質問をする。
知らないことがあれば、積極的に質問をします
■質問したら、答えを注意深く聞く。
賢い成功者は聞き方を心得ていて、質問から新たな課題を発見できます。
多くの天才は学びを続けています。イーロン。マスクには、学校の図書館の本を読み尽くしたという逸話が残っています。」とマスクは言っていた。オプラ・ウィンフリーは読書によって、自分の可能性を広げることに成功します。彼女は学び続けることで、黒人・女性というハンディを克服したのです。
現代のテクノロジーがあれば、自学習の機会など、いつでも、どこにでもあるし、今ほど確かで、多様性に富んでいたことはない。昔の天才と比べてみれば、今の時代は楽なものだ。
凡人のような私も読書を続け、それをアウトプットすることで、自分の人生を面白くできました。私たちはテクノロジーの発達によって、Kindleやオーディオブック、大学の無料のオンライン講座などを活用することで、いつでもどこでも学べます。
遺伝子に優位性がなくとも、学び続けることで自分の可能性を広げられます。本書の天才たちの習慣を取り入れ、人生をより面白いものにしましょう。
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