Deep Skill ディープ・スキル――組織と人を巧みに動かす 深くてさりげない「21の技術」(石川明)の書評

man sitting and using laptop inside building

Deep Skill ディープ・スキル――組織と人を巧みに動かす 深くてさりげない「21の技術」
石川明
ダイヤモンド社

本書の要約

人と組織を巧みに動かす「実行力」=Deep Skillを身につけたときに、はじめて「仕事ができる人」という評価を勝ち取ることができます。組織の中で希少価値のある自分らしいスキルを「武器」にすることができれば、「自分の価値」を劇的に高められ、仕事で結果を出せるようになります。

新規事業を成功させるDeep Skillとは何か?

私は、仕事とは「誰かの〝不〟を解消し、喜んでもらって、その対価をいただくこと」だと考えています。「不」とは不安、不満、不快などの「不」。この「不」を解消して、人々に喜んでもらうことこそが仕事の本質なのです。 そして、会社員の強みは、会社が有するリソース(ヒト・モノ・カネ)を活用して、世の中の「不」を解消できるということ。会社のリソースを使えるからこそ、ひとりではとてもできない「大きな仕事」ができるのです。 (石川明)

新規事業で成功するためには、世の中の「不」の解消が欠かせません。ヒト・モノ・カネという会社の資産を動かし、ビジネスを成功させるためには、社内の上司や同僚、部下、ステークホルダーを味方につけ、組織を動かすことが欠かせません。

仕事を「実行」し、「結果」を出すためには、人と組織を動かすことから絶対に逃げることはできないというのが著者の主張になりますが、それを実現するためには、「人間心理」と「組織力学」に対する深い洞察力と的確な行動力が欠かせません。洞察力と行動力掛け合わせることで、組織を巧みに動かす実行力が身に付きます。

人と組織を巧みに動かすこの「実行力」を身につけたときに、はじめて「仕事ができる人」という評価を勝ち取ることができます。著者はこのスキルを 「Deep Skill(ディープ・スキル)」とネーミングし、それを身につける方法を本書で明らかにしています。

世の中の「不」は刻一刻と変化しています。それを敏感に察知して、その変化に合わせて、組織やマネジメントを変化させていくためには、「ディープ・スキル」を身につけた「仕事ができる人」になる必要があるのです。

著者は「信頼資産」の重要性を指摘します。相手に「信頼できない人間」と思われている限り、どんなに正論を主張しても受け入れてもらえません。一度きりの期間限定での取引であれば「この場さえうまくしのげば」で済んだとしても、長い付き合いを求められるビジネスにおいて、信頼関係の蓄積が欠かせません。コツコツと貯めた「信頼」が、「大きな力」を与えてくれるように、自分を律し、鍛えなければなりません。

まず、自分が「信頼される人間」として組織から認められる必要があります。
・礼儀正しくする。
・謙虚である。
・嘘をつかない。
・約束やルールを守る。
・誰とでも分け隔てなく接する。
・間違ったときには謝る。
などという当たり前のことを日々実践し、周りの人から信頼されるようにすべきです。その上でしたかかに上司や関係者を巻き込んでいくようにします。

「自分は正しい」と思い、正論を主張すると上司を責めることになりかねません。それを避けるために、まずは「現実」を直視し、なぜ、プロジェクトが進行しないのかを考えるようにします。

上司が意思決定したくないのは、そこに何かの「不」があるからです。その「不」を解消することで、物事がスムーズに動きます。 アンケートや調査、学者、コンサルタントなどの著名人のお墨付きなどの「安心材料」を用意して、上司の「不安」を取り除くようにしましょう。上司との良質なコミュニケーションを通じて、新規事業の味方を増やすのです。

︎抜擢されるために独自のポジショニング戦略を取ろう!

人や組織を動かすためには、その背後にパワーがなければならないのです。そのためには、何はさておき「実績」が必要です。

組織においては、「実績」こそが、発言力の源になります。自分の存在を認めてもらうためには、 圧倒的な「量」をこなすことが重要です。大量行動によって仕事の質が高まり、結果を出せるようになります。

「実績」に裏打ちされた「経験知」をもつ人には、ほかの誰にも真似のできない「独自の価値」が備わり、周りの人から認められるようになります。毎日このブログを更新し、ベンチャー経営者にインタビューするうちに、私は自分のポジションを変えることができました。広告会社を辞め、社外取締役やアドバイザーになれたのも自分を変えると決め、大量行動を行ったからです。

自分独自のポジションを獲得するためには、他の人と同じことをするのをやめ、独自の領域で勝負すべきです。周囲の人たちと「同じこと」をしていても、際立つ 「特徴」をつくり出すことなどできません。

組織の中で希少価値のあるスキルを「武器」にすることができれば、「自分の価値」を劇的に高めることができるのです。 自分がやりたいことをするためにはポジショニングが重要になります。 ポジショニングをするうえで大切なのは、「組織にとって重要であるにもかかわらず、まだ誰もいない領域」を見定めて、そこにいち早く飛び込んでトップランナーになること。

会社を辞め、ベンチャー経営者を支援すると決め、マーケティングと情報発信を武器に経営者との課題を解決する壁打ちを続けました。経営者の課題を解決するために書籍を読み、士業やコンサルタントの方々を味方にすることで、ビジネスがうまくいくようになりました。自分の経験値を増やすことで、仕事がどんどん増えていったのです。

ビジョンを実現し、世の中の「不」を解決したいというパッションを持った起業家や新規事業担当者のためのヒントが本書にはいくつも紹介されています。自分のスキルをアップするのは当然ですが、したたかさや人を巻き込む力を鍛えることの重要性を再認識できました。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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