ネットワーク科学が解明した成功者の法則
アルバート=ラズロ・バラバシ
光文社
本書の要約
多様なアイデアを生み出し、Qファクターを活用することで新たなイノベーションが生まれます。それがネットワーク効果によって、世の中に伝染していくことで成功が手に入ります。ハブになる人とのネットワークを構築し、あきらめずにアイデアを形にすることで、私たちは成功する確率を高められます。
成功にネットワーク効果が欠かせぬ理由
あなたが成功するために重要なのは、あなたとあなたのパフォーマンスではない。 重要なのは社会であり、社会があなたのパフォーマンスをどう捉えるかである。(アルバート=ラズロ・バラバシ)
成功とは集団的な評価で、私たちのパフォーマンスに対する人びとの反応なのです。成功したければ、自分のパフォーマンスだけを見るだけでなく、自分が属する社会について研究し、その社会があなたの貢献にどう反応するかを見極めなければなりません。
理論物理学者のアルバート=ラズロ・バラバシは、「成功は個人的な現象ではなく、集団的な現象だ」と定義します。個人のパフォーマンスと成功は別物で、社会的評価を受けられれなければ、いくらパーフォマンスを磨いても成功は手に入らないと言うのです。
成功が集団的なものであって、社会ネットワークに影響されるなら、自らの評判が高まれば、ネットワーク効果によって、ますます人から評価されるようになります。大きな成功を手に入れた人はネットワークを駆使する術を熟知し、ネットワークを使い倒しているのです。
成功が集団的なものである限り、自分が属するネットワークについてよく研究し、将来の利益につなげるために、その活用方法を戦略的に練る必要があるのです。
重要なのは、あなたの功績に気づき、その価値を認め、より広い世界に広めるネットワークなのだ。
パフォーマンスが測定できない時には、ネットワークが成功を促します。 テニスなどの個人スポーツでは、パフォーマンスが成功とリンクしますが、アートなどのパフォーマンスが測定できない時には、ネットワークが成功をもたらします。
無名だったバスキアが成功できたのも、モナリザが後年評価されるようになったのもネットワーク効果のおかげだったのです。アートの価値はキュレーター、美術史家、ギャラリーのオーナー、美術商、エージェント、オークション会社、蒐集家たちの見えないネットワークによって形成されます。
アンディ・ウォーホルは「作品をいいギャラリーに展示してもらわなければならない。ディオールも、オリジナルデザインの服をウールワースでは販売しなかった」と述べています。
ギャラリーは、有名なアーティストの作品を展示して名声を手に入れ、有名なアーティストは、評判のいいギャラリーで作品を展示してもらって名声を手に入れるのです。成功するかどうかを決めるのは、社会的なネットワークと仕事上のネットワークなのです。
成功したければ、ネットワーキングが本当に得意な人たちつながるべきです。一度勝利を摑むと勝ち続ける可能性が高まります。ネットワークを活用し、最初に勝利し、自分のパーソナルブランドを強固なものにすることが成功するための秘訣なのです。
成功するための5つの法則
知識が知識をもたらす。スキルがスキルを育てる。専門知識が専門知識を築く。そしてそれらが成功につながり、成功が成功を生む。
成功したければ、自分のスキルを高め、それを周りの人にギブし、ネットワーク効果をつくるようにしましょう。最近では一人の力だけで成功することが難しくなっています。夢を実現するためには、才能豊かな多様なチームをつくることが求められています。
ビジョナリーは自分の思考を磨き上げ、メンバーと意見を戦わせ、相手の考えに耳を傾け、多様な視点を提起する必要があります。どれほどアイデアが優れていても、アイデアをかたちにする能力に欠けていれば、重要な成果は生まれません。アイデアを形にできるメンバーを集め、彼らの力を引き出すのです。
「アイデアを形にする能力」は、優れたアイデアと同じくらい重要です。著者はその能力を「Qファクター」と呼んでいます。
人はそれぞれ「ランダムなアイデア」r を持ち、それぞれのスキルを使って、アイデアから「成功」すなわち「S」を生み出す。Sは世界に与える影響力の大きさを表す。その影響力を予測したい時には、ふたつの要素アイデアの未知の値rとその人のQファクターが一緒に働いて、プロジェクトの最終的な成功Sを生み出せるかどうかを見極めなければならない。
自分の脳力であるQファクターと、アイデアの値rとを掛け合わせると、成功できるようになります。 S=Qr という公式を信じて、アイデアを形にする能力(Qファクター)をアップさせるべきです。
著者は本書で成功するための5つの法則を明らかにしています。
1、パフォーマンスが成功を促す。パフォーマンスが測定できない時には、ネットワークが成功を促す。
2、パフォーマンスには上限があるが、成功には上限がない。
3、過去の成功 x 適応度 = 将来の成功
4、チームの成功にはバランスと多様性が不可欠だ。しかし、功績を認められるのはひとりだけ。 誰の功績かを決めるのはパフォーマンスではない。社会がどう評価するかだ。
5、不屈の精神があれば、成功はいつでもやってくる。
多様なアイデアを生み出し、アイデアを形にすること(Qファクターを活用すること)で新たなイノベーションが生まれます。それがネットワーク効果によって、世の中に伝染していくことで、成功が手に入ります。ハブになる人とのネットワークを構築し、不屈の精神を持って、あきらめずにアイデアを形にし続けることで、私たちは成功する確率を高められるのです。
本書はザ・フォーミュラ 科学が解き明かした「成功の普遍的法則」を改題したものです。久々に再読しましたが、バラバシが明らかにしたネットワーク効果の力を再認識しました。以前書いたブログはこちらから。
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