雲雨傘のフレームワークが重要な理由。コンサル一年目が学ぶこと(大石哲之)の書評

girl holding umbrella on grass field

コンサル一年目が学ぶこと
大石哲之
ディスカヴァー・トゥエンティワン

本書の要約

雲雨傘のフレームワークを身につけるとビジネスがうまくいくようになります。重要なのは、情報を正確に理解し、適切な判断を下すために、雲(事実)、雨(解釈)、傘(アクション)の3つを区別することです。事実と解釈を正確に把握し、適切なアクションを取ることが、コンサルタントの仕事において必要不可欠なスキルです。

雲雨傘のフレームワークが重要な理由

大切なのは、①事実②解釈③アクションの3つをきちんと区別することです。これを混同したり、一部を省略して結論づけたりしてしまうと、筋が通らない話になってしまいます。(大石哲之)

大石哲之氏のコンサル一年目が学ぶこと書評を続けます。広告会社に入社した時、事実、会社、アクションの3つを分けて話すとよいと学びました。優秀なコンサルタントになるためいは「雲雨傘」 のフレームワークが不可欠で、広告会社やコンサル会社では、これを徹底的に叩き込まれます。

雲雨傘という表現は、現実の状況に基づいて、事実を判断し、その結果から適切な解釈を行い、適切なアクションを取ることが重要であることを示すたとえです。

雲というのは、「事実」をさします。実際に目で見て観測したこと。雲が出ているということは、誰が見てもわかる客観的な事実です。雨が降りそうだというのは、その事実から推測される「解釈」です。雲が黒いという事実から、雨になるだろう、という解釈を引き出しているのです。最後は、傘です。雨が降り出しそうだ、という解釈から、傘をもっていくという「アクション」を起こしています。

(事実)「空を見てみると、雲が出ている」
(解釈)「曇っているから、雨が降りそうだ」
(アクション)「雨が降りそうだから、傘をもっていく」

重要なのは、情報を正確に理解し、適切な判断を下すために、事実、解釈、アクションの3つを区別することです。これらを混同したり、省略してしまうと、正確性に欠ける結論に至る可能性があります。 たとえば、「雲が出てきたので、傘を持っていったほうがいい」という状況では、雲が事実であり、それに対する「雨が降り出しそうだ」という解釈があります。そして、その解釈に基づいて「傘を持っていく」というアクションを取ることができます。

このように、事実と解釈を正確に把握し、適切なアクションを取ることが、コンサルタントの仕事において必要不可欠なスキルです。雲雨傘のフレームワークを理解することで、正確な情報の収集と分析、適切な判断力を身につけ、成功に繋げることができます。

雲雨傘のフレームワークを使い倒そう!

解釈のないグラフをいくらたくさんつくっても、関係ありそうな記事をいくらたくさん集めても、だから何なのか?という解釈がないと、問題を解決するための役には立ちません。 事実(=雲)だけでは報告とはいえない。「だから何なのか」という解釈もセットでもっていく。

Why So?(なぜそうなるかの視点)が欠けていると解決策が一時的なものになったり、本質的な問題を見逃してしまうことがあります。 問題解決においては、問題の原因や背景を正確に把握し、その上で解決策を提案することが大切です。なぜそうなるかの視点を忘れずに、問題解決に取り組むことを忘れないようにしましょう。

1つの解釈に対して、複数のアクション(解決策)が考えられる場合があります。たとえば、天気が雨であることを知った場合には、レインコートを持っていくだけでなく、リスケも検討できます。ただし、その人にとってどのアクションが最適かは、状況や求める結果によって異なります。

そのため、解釈に対するアクションは一律に提示されるべきではありません。代わりに、その人の状況やゴールに合わせて複数の選択肢を提示することが重要です。特定のアクションだけを提案すると、そのアクションに疑問を持たれる可能性があります。選択肢を増やすことで、その人自身が最適なアクションを選ぶことができ、より満足度の高い結果を得ることができます。

その際、複数の選択肢を提示するだけでなく、なぜそのアクションを提案したのかを説明することも重要です。課題に対する最適解とその理由をセットで説明するようにします。

提案したアクションが最適解であることを説明することで、自分の判断や専門知識が信頼されるようになります。また、なぜそのアクションを選んだのかを話すことで、その背景や理由を理解してもらうことができ、より深い共感や理解を生み出せるようになります。このような信頼関係が築けると、ビジネスの成果や人間関係の質を向上できます。

事実、解釈、アクションをきちんと区別し、 「だから何?」「どうしてそうなるの?」への答えを明確にする。

報告書やレポートを作成する際に、見出しをつけて①事実 ②個人的解釈 ③推奨アクションなどの順に構成することで、よりスッキリとした構造化が可能になります。これにより、情報の整理や伝達がしやすくなります。逆にこの3つが揃っていなければ、クライアントや上司に満足してもらえません。

情報を伝える上で、事実、解釈、アクションを明確に区別し、疑問に対する答えを明確にすることが重要です。事実は客観的な情報であり、解釈やアクションはその事実に基づいて異なるものです。これらを区別し、疑問に対する明確な答えを示すことで、情報の理解や意思決定の質を向上させることができます。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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