スティーヴン・プールのRE:THINK(リ・シンク):答えは過去にあるの書評

創造性とは、異なる分野の既存の考えを組み合わせる能力ともいわれる。だがそれは、見過ごされていたひとつの考えが、実は理にかなっていたのだと気づける想像力でもある。わたしたちは革新の時代に生きている。けれど、それは再発見の時代でもある。革新が古いアイデアをよりどころに生まれることが、驚くほど多いとわかってきたからだ。(スティーヴン・プール)


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新しいアイデアを「RE:THINK(再考)」から生み出そう!

新しいアイデアは再発見から生まれると英国のジャーナリストのスティーヴン・プールは、RE:THINK(リ・シンク):答えは過去にあるの中で述べています。イノベーションは時に古いアイデアから生まれてくることは数々の事例から明らかになっています。ビジネスやクリエイティブな現場で時代をリードしたアイデアやイノベーションには、「RE:THINK(再考)」されたものが多いのです。

今、話題の電気自動車は、ガソリン自動車より早く発明されていました。しかし、バッテリーの問題やガソリンの値下がりによって、電気自動車の普及が遅れただけなのです。イーロン・マスクは一度は忘れ去られた電気自動車を「RE:THINK」することで、成功を手に入れました。以前はヒルによって病気が治ると信じられていましたが、医学の発達によって、すっかり忘れ去られていました。しかし、最近になって、ヒルの止血法が見直され、外科手術に利用されるようになったのです。

過去の人たちが考えたアイデアや技術が、「RE:THINK(再考)」によって新たなものに生まれ変わります。時に解決策はボツ案や過去の人の知見から得られることもあるのです。イノベーションを起こしたければ、ヒントを探すために歴史を学ぶこともありだと覚えておきましょう。

テスラ・モーターズが電気自動車を復活させることができたのは、バッテリー技術が進化したからです。初期の電気自動車が再充電せずに走れる距離が短かったために、ガソリン車の開発が優先されたのです。しかし、21世紀になるとこの状況は一変します。リチウムイオン技術によって、バッテリーの問題が解決されたのです。

実はテスラの初期のプロトタイプでは、普通の電話のバッテリーを何百もつなぎ、開発が行われました。やがて自社の車を一度の充電で数百キロメートル走らせるため、独自のバッテリーパックを作るというアイデアが生まれたのです。その結果、電気自動車の長年の問題である”走行距離不安”は払拭されました。

パズルの新しいピース、すなわち隠れていたメカニズムが発覚することによって、時代遅れだったアイデアが、最先端の理論として現代科学によみがえることもあるのです。携帯電話やパソコンのバッテリーが電気自動車というアイデアを蘇らせ、環境問題を解決する武器になったのです。

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ブラックボックスの中からアイデアの芽を見つけよう!

19世紀の年からウィーン総合病院の産科副部長のイグナーツ・ゼンメルヴァイスは、第一診療所ではおよそ10パーセントの母親が産褥熱で死亡する理由を探していました。第一診療所の死亡率は第二診療所に比べて2.5倍も高かったのです。ゼンメルヴァイスは思いつく限り、2つの診療所のギャップを洗い出し、ある理由を見つけました。第一診療所は医学生の教育をおこなう診療所でもあり、第二のほうでは助産婦だけに教えていました。実は、第一診療所の医学生たちは下階で死体を切開した直後に、妊婦の診察を行っていたのです。ゼンメルヴァイスは、医学生たちが目に見えない”死体の小片”を手に付着させていて、それが妊婦に影響をおよぼすのではないかと推論し、さらし粉水溶液で手を洗うことを命じました。この結果、第一診療所での妊婦死亡率はたちまち90パーセントも低下し、数カ月後にはゼロになったのです。

しかし、ゼンメルヴァイスの手洗いを多くの医師はバカにし、なかなか普及しませんでした。彼らは信頼できる理論の裏づけがないと文句をつけたのです。ゼンメルヴァイスのアドバイスには、実際、裏づけはなかったのですが、死亡率を下げる効果はありました。今では常識である医療施設の衛生改善、手洗いの実践も当時は理論が確立されていないという理由で多くの医師から無視されたのです。科学などの発見の歴史の中では、このようなブラックボックスはよくあります。理論がわからなくとも効果があることはたくさんあるのです。

どうして正しいのか理解できないけれど正しい古いアイデアが、ほかにないほうが驚きだ。作用するしくみがわからないからといって、作用しないということにはならない。そういうわけで、思考する人間が見捨てられた古いアイデアから着想を得て、それが確かに作用することを示す重要な欠落したピースを探し求めることもある。

過去のどうしようもないアイデアが次世代のイノベーターにひらめきを与えます。ブラックボックスの中にアイデアの芽を見つけること、自分のアイデアと過去のアイデアを組み合わせることで、イノベーションを起こせるのです。

まとめ

過去の人たちが考えたアイデアや技術が、「RE:THINK(再考)」によって新たなものに生まれ変わります。時に解決策はボツ案や過去の人の知見から得られることもあるのです。イノベーションを起こしたければ、歴史の中のブラックボックスを学び、そこからヒントを見つけるようにしましょう。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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