優秀なリーダーシップとチームサイエンスが成功をもたらす?

チームがうまくいくためには、メンバーの何人かがすでに一緒に働いた経験が必要だ。それによって、共通の体験や緊密な関係と多様性の両方を実現する。古いメンバーと新人、信頼できる仲間と初めて参加する顔見知り。そのような多様性が、チームの成功には欠かせない。


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成功するチームには、強力なリーダシップと多様性が不可欠。

アルバート=ラズロ・バラバシの ザ・フォーミュラ 科学が解き明かした「成功の普遍的法則」書評を続けます。成功するためには、チームワークが欠かせません。よいリーダーと信頼できるメンバーの組み合わせによって、結果を出せるようになります。一人の強力なリーダーと新旧のメンバーが参加することで、最高のチームが生まれます。マイルス・デイビスは「カインド・オブ・ブルー」という名盤を、信頼できるメンバーと新しいメンバーを組み合わせることで生み出したのです。

リーダーは自ら、プロジェクトを引っ張り、努力を重ねる必要があります。そして、チームに多様性を持たせ、メンバーの力を引き出す必要があります。リーダーが多過ぎると、口論や足の引っ張り合いやいじめが横行して、チームはうまく機能しません。

1980年代後半から90年代にかけて、ノース力ロライナ州のデューク大学では、世界最高の英文学科を目指して、スーパースター級の教授を数多く集めました。しかし、スーパースター教授がお互いの理論を酷評し合い、考え方の違いから衝突を繰り返しました。この対立によって、英文学科は崩壊してしまったのです。

「スーパースター選手が多過ぎる」プロスポーツも結果を残せないことがわかっています。サッカーとバスケットボールにおいて、一流選手がチームにもたらす利益には限界があることがわかったのです。ずば抜けた選手ばかりを集めると チームワークが破綻します。スター選手ばかりのチームでは協力ができず、パフォーマンスも発揮できません。

才能ある人材を選ぶ際に、チーム全体の成果よりも個人の業績を重視すると、望む結果はまず手に入らない。実際、人間であろうと動物であろうと、そのアプローチは逆効果になる。権力闘争に明け暮れて、誰も目の前の仕事に集中できなくなるからだ。

また、個々のメンバーの能力はチームパフォーマンスの決定的な要因ではないことがわかりました。チームが固い結束で結ばれて排他的になると、組織は失敗をおかします。別の解決策を検討すべきところを、欠陥のある計画に固執して、集団的な愚かさに支配されてしまうのです。リーダーは、チームサイエンスを使って、共同作業に伴う落とし穴を避け、能力を充分に発揮できるチームづくりを目指さなければなりません。

 

チームサイエンスによって進化する組織

効果的なチームづくりのためには、次のようなふたつの要素が明らかになる。「成功するチームにはバランスと多様性が必要だ」。「そのいっぽう、リーダーが欠けてもならない」。現代のようにチームがますます大きく、距離的に広がりのあるものになった時代に、チームサイエンスは、最大の成果をあげるための的確な助言を与えてくれる。すなわち「リーダーを信頼して、そのまわりに専門的で多様な支援体制を築く」ことだ。

画期的なイノベーションを生み出し、プロジェクトの価値を高めるためには強力なリーダーが必要です。特にファンの反応や評判が重要な分野では、マイルス・デイビスやオプラ・ウィンフリー、ジェフ・ベゾスのようなリーダーの存在が欠かせません。ただ、強力なリーダーだけでは、ダメなこともわかっています。プロジェクトに多様な考えや経験や視点を持ち込む、適切な協力者の組み合わせとリーダーの指導力の両方が必要なのです。

MITメディアラボのンディ・ペントランド教授は6週間、ある銀行のコールセンターで実験を行いました。オペレーターに、普段のヘッドセットのほかにも、ペントランド特製のバッジをつけてもらい、声のトーンから彼らが話す頻度までの幅広い情報を拾い集めました。

分析の結果、メンバーが直接交わすコミュニケーションが、チームパフォーマンスに大きく貢献していることが明らかになったのです。視線を合わせ、生き生きと言葉を交わし、笑ったり質問したり相手の話を聞いたりする、昔ながらの気軽なお喋りが重要であることが明らかになったのです。

ここから、メールは最も価値の低いコミュニケーション形態であることがわかりました。効率的なメールより、給湯室でのお喋りが価値をもたらしていたのです。一見、無駄と思しき時間が従業員にとっては重要な時間であり、彼らは気軽なコミュニケーションを通して、メンバーどうしの信頼関係を築いていたのです。

ある銀行のコールセンターはペントランド教授の指導のもと、オペレーターどうしが直接顔を合わせて同時に休憩を取るアイデアを採用しました。その結果、平均的な顧客対応時間をコールセンター全体で8パーセントも減らしました。なんと効率の悪かったチームでは20パーセントも対応時間を削減できたのです。そのうえ、職場の雰囲気を和気あいあいとしたものに変えられたのです。さらには、銀行の最終利益に驚くような違いをもたらしました。このアブローチを全面的に採用したところ、生産性が年に約1500万ドルも向上したのです。

真のチームスピリットを発揮してコミュニケーションを図るチームは、たいてい生産性が高い。チーム内の活動とチーム外の相手との活動響のバランスがうまく取れているチームは、より創造的だった。幅広い相手から新鮮な視点や考えを積極的に学ぼうとすると、チームパフォーマンスに大きな影響を与えるらしい。

効果的なチームづくりのためには、仕事帰りの一杯よりも、大きなランチテーブルを購入したほうがいいことがわかりました。一日の途中で思わぬ人の隣に座ると、共通の課題を見つけたり、新鮮なものの見方に気づいたりできるのです。仕事が終わったあと、同僚とビールを飲む時にはそのような効果は得られません。従業員の多くが仕事に不満を抱く企業文化では、コミュニケーションの改善は誰にとってもプラスに働きます。

チームの成功にはバランスと多様性が不可欠だが、功績を認められるのはひとりだけだ。

いくら良いチームができても、成功したければ、その他大勢の存在に甘んじていてはいけません。なぜなら、功績を認められるのは、スティーブ・ジョブズのようなリーダーだけだからです。その分野のスーパースターになりたければ、リーダーにならなければなりません。成功を勝ち取るためには、自分の優先的選択を始動させ、自分自身の功績を築かなければなりません。

社会的な評判を築く最善の方法は有名なチームに所属し、リーダーともに実績を出すことです。そして、なるべく早いタイミングで独立し、自分の評判を築くようにしましょう。未知の領域で自分の存在を主張し続けることで、存在感が増していきます。パフォーマンスを高めながら、社会的な評判を得ることを意識しましょう。

まとめ

成功するためには、チームワークが欠かせません。よいリーダーと信頼できるメンバーの組み合わせによって、結果を出せるようになります。強力なリーダーが、メンバーがはたらきやすいようにチームサイエンスを採用することで、成功を手に入れられるようになるのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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