SNSに子供を依存させないための方法

写真を撮るのは思い出を自分で見返すためでもあるが、基本的には、他人に見せるのが一番の目的だ。アダム・オルター

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インスタグラムが人を魅了する理由

アダム・オルター僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた書評を続けます。ケヴィン・シストロムとマイク・クリーガーが生み出したインスタグラムには、ヒップスタマティックという強力なライバルが存在していました。ヒップスタマティックとインスタグラムは、基本的な機能がほぼ同じでしたが、あっという間にライバルを駆逐し、フェイスブックに10億ドルでMAされました。

なぜ、インスタグラムはヒップスタマティックに勝利したのでしょうか?インスタグラム・アプリのダウンロードが無料であったことが考えられます。また、専用のソーシャルネットワーク機能を設けて、ユーザーがそこに写真を投稿するようにしたことが、インスタグラムの強みになったのです。

ヒップスタマティックでも写真をフェイスブックにアップロードできましたが、彼らは独自のSNS機能を作っていませんでした。マーク・ザッカーバーグがインスタグラムの買収を決めた理由もここにあったのです。インスタグラムとフェイスブックのビジョンは同じでした。ザッカーバーグもインスタグラムを開発したシストロムたちも、人間には他人と比較したい永遠の欲求があることを見抜いていました。

現代に生きる私たちは撮った写真をリアルタイムでアップロードできます。投稿した写真には、「いいね!」がつき、素晴らしければシェアされ、コメントもつきます。たとえ、1枚の写真に「いいね!」がつかなくとも、どんどん次の作品で試すことができます。見る方も新しい投稿を次々にチェックできます。

人生の先が読めないように、フェイスブックとインスタグラムでは、予測の立たない刺激がエンドレスで続いている。インスタグラムのソーシャル・フィードバック機能には、人をのめりこませる力がある。

SNSにのめり込む仕組みは、他人からどう見られているのか気になって仕方ないという人間の気持ちを刺激します。ソーシャルメディアは社会的承認を与えることで、人々を虜にしているのです。問題は大人だけでなく、子供もこの魅力にはまってしまうことです。

 

ソーシャルメディアと適度に距離を置く!

社会的承認を受ける、すなわち他人と自分の価値観が一緒だと認めてもらえるというのは、自分が同じ考えを持つ集団に帰属しているしるしになる。進化という観点から言うと、単独で暮らしていれば敵にやられやすいが、集団で生活していれば生存の確率が高まるので、自分と他人が似ていると確認できるというのは大きな安心材料なのだ。こうした関係性が奪われることを人はひどく苦痛に感じる。「社会的な死刑宣告」と表現する場合もある。しかも、その痛みは長く続く過去に仲間外れにされたことを思い出すだけでも当時と同じ怒りに燃えたりするし、輪に入れなかった経験を人生でもっとも暗い記憶として挙げたりする。

いいね!やコメントを確認することで、人は集団に属していることを確認します。同じように考えている仲間がいることで安心します。ただ、この安心感は短期間しか続かないため、常に確認したくなります。インスタグラムなどのソーシャルメディアに過剰にアクセスする理由もここにあります。

自分の嗜好が承認されるのは嬉しいものですが、ときにはそれが外れることもあります。そんな時は、自分は特別だと人は考えます。だいたいはみんなと一緒で、ときどき自分だけ特別という、この2つが一番いいバランスで感じられる状態のことを、心理学では「最適相違」と呼びます。他人とほぼ意見が一致しているが、すべて一致するわけではないというときに、この最適相違になりやすいことがわかっています。

ソーシャルメディアの似通った趣味や嗜好をもつ仲間とのコミュニケーションは最適相違になりやすく、そこから離れられなくなります。大人だけでなく、最近では子供のソーシャルメディアの時間が問題になっています。特に、孤独を感じる子供はつながりを求め、ソーシャルメディアをチェックする頻度が高まります。子供がインスタグラムなどにはまり、ネット依存症になることで、リアルの会話が減ってしまうのです。

今の子供達は、ゲームやソーシャルメディアなどスクリーンを見続け、一日の自由時間のほとんどをそれに費やしています。オンラインの会話ばかりに時間を使うとリアルの世界の交流に適応できなくなり、コミュニケーション能力を育めなくなるのです。

チャットやテキストメッセージの会話には大きな問題があります。テキストメッセージでは、相手の反応がわからず、曖昧なものを許容できません。話すときの「間」や、声のピッチなどを意識しないため、適切な会話ができません。非言語的な手がかりが存在しないため、対面でのコミュニケーションスキルを学ぶ機会が奪われてしまうのです。顔を合わせて話す機会がなくなることで、他者との関係を築けなくなります。それを避けるために、親は子供のスクリーンの使用時間を制限する必要があります。

インスタグラムやゲームは現代生活の一部になっています。寂しい子供はつながりを求め、ソーシャルメディアに依存するようになります。子供にはSNSとの付き合い方を理解させ、生活の中に区切りをつけるようすべきです。子供をスクリーン漬けにさせないために、区切りや制限を設けるようにしましょう。家族とのオフラインで実のある会話を行い、1日のどこかで子供と顔を合わせるようにすべきです。

まとめ

人は社会的承認を受けることで、ソーシャルメディアに依存するようになります。リアルの会話が減り、オンラインの交流が増えるとコミュニケーション能力が育めなくなります。これを避けるために、親はソーシャルメディアやネットの制限をすべきです。リアルな会話を増やし、子供に孤独を感じさせないようにすべきです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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