レジリエンス(再起力)を強化する方法は2つある。1つは内省すること。もう1つは脳を再訓練することだ。(ダニエル・ゴールマン)
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レジリエンスを養う2つの方法
レジリエンス (ハーバード・ビジネス・レビュー EIシリーズ)の中に、EIの提唱者であるダニエル・ゴールマンの良記事が紹介されています。彼はレジリエンス(再起力)を強化するために、内省と脳の再訓練を行うべきだと述べています。悲観的な考え方をやめ、将来を前向きにとらえることで、私たちは人生をより良いものに変えられます。
大きなトラブルを乗り越えたければ、内省して認知的介入を行い、楽観主義になるべきだと言います。人は楽観的に行動することで、負け犬思考を解消できると言います。リーダーは些細なミスや挫折を日常的に体験します。ここから立ち直る時にも、このレジリエンスが役立ちます。この場合には、脳を再訓練するとよいでしょう。
日々積み重なる厄介事から立ち直ろうとする際に、脳は非常に独特なメカニズムを働かせます。気が動転している時には、後で後悔するような言動を取ってしまいがちですが、これは脳の扁桃体の働きによるものです。扁桃体は危険を察知して闘争・逃走反応を誘発する脳のレーダーですが、ミスを起こす時には、この扁桃体が乗っ取られてしまうことが多いのです。
扁桃体を乗っ取られた状態をすぐに解消することが、レジリエンスにつながります。ウィスコンシン大学の神経科学者リチャード・デビッドソンは、扁桃体による乗っ取りが生じた後に、エネルギーと集中力を取り戻すための回路は、前頭前野の左側に集中していることを発見しました。また、動揺や不安を感じている時には、前頭前野の右側が活発に活動することもわかっています。前頭前野の左右の活動レベルには個人差があり、それが日々の気分に影響を及ぼします。右側が活発になるといら立ち、左側が活発になるとさまざまな憂うつからすぐに回復できます。
デビッドソンはマサチューセッツ大学メディカルスクールのジョン・カバットジンとチーム組み、この脳の仕組みを研究しました。カバットジンは、バイオテクノロジー企業の従業員たちに「マインドフルネス」の指導を行い、注意力トレーニング法を実施したのです。
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マインドフルネスによって、レジリエンスが養える!
ジョン・カバットジンは以下のマインドフルネスの指導を行いました。
①数分間一人きりになって集中できる、静かな場所を見つける。たとえば、オフィスのドアを閉めて電話を無音にする。
②ゆったりと座り、力まずに背筋を伸ばす。
③呼吸に意識を集中させる。吸う感覚、吐く感覚をしっかりと意識してから、次の呼吸を始める。
④呼吸がうまくできているかを気にしない。呼吸法を変えようとしないこと。
⑤意識に侵入し、集中を阻むもの思考や音などをやり過ごし、呼吸に集中する。
従業員たちは1日平均30分、8週間にわたって、このマインドフルネスを実践しました。その結果、当初はストレスを司る右側に偏っていた脳の活動が、レジリエンスのある左側でより活発になったのです。さらに、自分の仕事のやりがいが何であったかを思い出す従業員もいました。
最大の効果を上げるためには、これをメンタル・エクササイズとして習慣化し、毎日20~30分を行うべきです。マインドフルネスは効果があることから、グーグルやマイクロソフトなどの先進的な企業で導入が進んでいます。最近では日本でもマインドフルネスを採用する企業が増えています。
ダニエルの同僚のリチャード・ボヤツィスとアニー・マッキーは、リーダーがストレスを自己診断する簡易的な質問を行うべきだと言います。
■漠然とした不安やいら立ちを感じているか?
■人生は素晴らしい(“まあまあ”よりもよい)と思えなくなっているか?
この質問によって、ストレスを感じてなら、マインドフルネスの手法を少し取り入れてみましょう。脳のバランスを取り戻すことで、自分を取り戻せるようになります。私たちはマインドフルネスを習得することで、脳の再起回路を鍛えることができるのです。
私はマインドフルネスを数年前から習慣化していますが、この習慣によって自分を強くすることができました。マインドフルネスを続けることで、嫌なことが気にならなくなり、自分のやりたいことに集中できるようになります。
まとめ
レジリエンス(再起力)を強化する方法は2つあります。1つは内省し、楽観的に振舞うことです。もう1つは脳を再訓練することで、マインドフルネスを習慣化するとよいでしょう。マインドフルネスによって、レジリエンスを司る脳の左側を活発にできることがわかっています。
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