佐々木紀彦氏の異質なモノをかけ合わせ、新たなビジネスを生み出す 編集思考の書評

「編集」とは、私なりに整理すれば、「セレクト(選ぶ)」「コネクト(つなげる)」「プロモート(届ける)」「エンゲージ(深める)」の4つのステップによって、ヒト・モノ・コトの価値を高める行為です。(佐々木紀彦)


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閉塞状況を打破するために、編集思考を鍛えよう!

仕事柄、たくさんの編集者に会ってきましたが、彼らは皆優秀で、情報の粒度をあっという間に高めてくれます。編集者は様々な情報を組み合わせ、新しいアイデアを生み出す達人なのです。佐々木紀彦氏の異質なモノをかけ合わせ、新たなビジネスを生み出す 編集思考を読むことで、なぜ編集者が優秀なのかを理解できました。佐々木氏は東洋経済オンラインをビジネス誌系サイトNo.1にし、その後NewsPicks初代編集長として活躍した辣腕編集者ですが、彼の思考を取り入れることで、新しいアイデアを生み出せるようになります。

編集者(editor)の語源はラテン語のedereで、ex(外に)とdare(与える)をつなげたものです。

編集とは、ヒトやモノやコトのいいところを「外に出」して、何かとつなげて、新しい価値を「生み出す」手法なのです。そう考えると、編集とは編集者だけが用いる特殊技術ではないことがわかります。編集とは、あらゆる企業がイノベーションを起こし、新規事業を開発するための技術であり、あらゆる人々が自分らしいキャリアや人生を紡ぎ出すための道具なのです(そもそもイノベーションが日本語で「新結合」と呼ばれることからも、編集とイノベーションの相性のよさがうかがえます)。

こう考えるとアイデアを生み出すために、編集思考を身につけておいた方がよさそうです。多くのビジネスパーソンが編集思考を活用することで、日本の未来をよくできるのです。ビジネスパーソンが思考停止、感情停止、行動停止の罠に陥る中で、日本企業は競争の原泉である創造力を失っています。この閉塞状況を打破するために、多くの日本人は編集思考を取り入れるべきです。自分の強みを周りの人の価値とつなげ、提供することで、他者との関係が深まります。

 

「経済×テクノロジー×文化 」を越境する人材になれ!

大半の人が「経済」「テクノロジー」「文化」、あるいは「東洋」「西洋」のどれかに偏って、ゆがんだ未来を描くのに対して、彼はすべてのファクターを高次に編集しながら、頭だけでなく、身体を使って未来を表現しようとしています。

落合陽一氏は「つなげる」ことと「かけ合わせる」ことの名手で、彼の手法を真似ることで、編集力を強化できます。彼は2つのかけ合わせを実践し、絶えず新たな価値を提供しています。
■「経済×テクノロジー×文化」のかけ算
■「東洋×西洋」のかけ算
落合氏は筑波大学の研究者としてテクノロジーを深掘りしています。また、スタートアップ企業の経営者として会社を切り盛りし、あるときはメディアアーティストとして創作に打ち込みます。東洋思想と西洋思考をかけ合せながら、頭と身体の両方を使い、様々なファクターを編集しているのです。ジャンルにこだわらず、要素を組み合わせることで、斬新なアイデアを生み出しています。

この落合型の思考をできる人を増やせれば、日本の未来は面白くなるはずです。

「経済×テクノロジー×文化」のトライアングルを編集することこそが、これからの時代に個人が躍動するカギであり、日本を変えるカギになる。これが、私の結論です。

多くの日本人は一つのジャンルに偏りすぎで、袋小路に陥っています。経済、テクノロジー、文化のバランスが崩れている人からは、イノベーションは生まれません。

21世紀の前半は金融、テクノロジーの時代でしたが、佐々木氏は今後は文化の時代になると予測します。日本は金融とテックの世界では米中に出遅れましたが、この文化の時代には巻き返しをはかれます。そのための切り札が編集思考なのです。「経済×テクノロジー×文化」を軸に、横串で多彩な価値を生み出す人が増えれば、日本は変われます。

本書で取り上げられている、「箱根本箱」や「文喫」「made in ピエール・エルメ」などの事例から、文化からもイノベーションを起こせることを学べます。新たな「かけ合せ」を考える編集思考を鍛えることで、サービスやプロダクトにイノベーションを起こせます。

素材の選び方、つなげ方、届け方を変え、価値を高めることのできる編集思考型の人が増えれば、日本の未来は明るくなります。縦割り思考を抜け出し、横串を刺せるように自分の世界を広げましょう。ネットフリックスもアップルも異質なものをかけ合わせることで、イノベーションを起こしてきました。創造力を高めたければ、佐々木氏の編集思考を取り入れましょう!

まとめ

「セレクト」「コネクト」「プロモート」「エンゲージ」という編集思考を取り入れることで、創造力を鍛えられます。「経済×テクノロジー×文化」を軸に、ファクターを編集することで、イノベーションを起こせるようになります。袋小路を抜け出すために、文化を意識しましょう!

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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