自己効力感の4つの要素。ハイディ・グラント・ハルバーソンのやる気が上がる8つのスイッチ コロンビア大学のモチベーションの科学の書評


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やる気が上がる8つのスイッチ コロンビア大学のモチベーションの科学 (コロンビア大学モチベーション心理学シリーズ)
著者:ハイディ・グラント・ハルバーソン
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン

本書の要約

自己効力感を育むことで、目標を達成できるようになります。自己効力感には、①成功体験 ②他者の体験から学ぶ ③他者からの保証や警告 ④その時々の私たちの気分の4つの要素が必要です。自分の自信を持つことで、失敗を恐れず、様々なプランを実践するうちに、ゴールに到達できるのです。

自己効力感の4つの要素

自信を持つことが大切だという台詞は聞き飽きたかもしれません。しかしその重要性は何度繰り返しても足らないほどです。自信は目標を達成するためには必須の要素です。その目標が高ければ高いほど自信の有無がものを言いますし、たとえその達成が困難を極めても、粘り強くやり抜く力を与えてくれます。(ハイディ・グラント・ハルバーソン)

ハイディ・グラント・ハルバーソンやる気が上がる8つのスイッチ コロンビア大学のモチベーションの科学書評を続けます。社会心理学者の著者は自信を持つことで、目標を達成できるようになるといいます。

アルバート・バンデューラは、やり抜く力を与える自信を「自己効力感」と呼びました。自己効力感とは、望む結果を得るために必要とされる能力が自分にはあるという確信です。目標を達成するために必要な力を自分が持っていると信じているとき、人は自己効力感を持っているのです。

今までに行われた何百もの研究によると、自己効力感と成功の相関係数は0.34だそうです。一見低い数字に見えますが、ある仕事に必要とされる技能のテスト結果とその仕事での成功の相関係数は0.19にすぎないことを知れば、自己効力感のすごさがわかるはずです。

バンデューラは自己効力感の4つの要素を紹介しています。
①成功体験
②他者の体験から学ぶ
③他者からの保証や警告
④その時々の私たちの気分

①成功体験
実際に自分が達成した成功の体験が、自己効力感をアップします。特に、難しいと感じられた目標や課題をやり遂げたという体験であればさらに自己効力感を大きくします。過去に成功体験を豊富に持っていれば、困難な課題に直面しても自分の達成能力への確信は簡単には揺るぎません。何度も成功体験を繰り返すことで、自信を持てるようになります。小さな目標を日々達成するように、目標を細かく切り刻みましょう。

②他者の体験から学ぶ
他者の成功体験を学び、それを追体験することも効果があります。他人が簡単そうにやっているのを見れば、自分にもできそうだという自信が生まれます。いきなり背伸びをして、無理をすると失敗するので、基本をしっかりと固めて、小さな成功を目指しましょう。

③他者からの保証や警告
つまり「あなたなら必ずできるよ」とか、その反対に「そんなことをしていてはだめだよ」というような言葉を他者からもらうとよいでしょう。他者とのつながりがあなたに自信を運んでくれます。

④その時々の私たちの気分
たとえ、どれほど強い自信を持っていても、その時々で不安や苛立ちに駆られることは人間である以上必ずあるものです。そんなときにはどうしても自信が揺らいでしまいます。気分を整えるために、好きな音楽を聞いたり、瞑想を習慣化しましょう。

ポジティブ・シンキングだけでは、目標達成は不可能!

未来の理想の自分を想像するだけでは、目標を達成できません。科学的に言えば、理想の未来だけを考えることは目標達成の力を阻害してしまいます。成功を考えるだけでは実際に成功する確率は逆に下がってしまうのです。

ネガティブ・シンキングの評判はとても悪いようです。これは先ほどのポジティブ・シンキングの称賛者たちが、ネガティブ・シンキングすべてを望ましくないものとして一まとめにしてしまっているからかもしれません。しかし、ネガティブ・シンキングといっても、中にはやる気を上げる効果があるものもあるのです。

「いつも失敗ばかりしている私にこんなことができるわけがない」という考え方と「これはなかなか難しい仕事だ。気を引き締めて取り組もう」という考え方の問には大きな違いがあります。前者は自信に欠けた「悪いネガティブ・シンキング」であり、後者は自信に裏打ちされ成功につながる「よいネガティブ・シンキング」です。

多くの研究によると、目標を達成した場面ばかりを想像して、そのための準備を何もせずに待っている人よりも、目標を達成するために乗り越えるべき障害を考え、自分にはそれを乗り越える力があると信じて対応策を検討する人のほうが、成功する可能性はかなり高いことがわかっています。

望む結果をただ想像するだけよりも、での困難とその克服をしっかり考えるほうが、成功する確率が高くなります。自信は、困難から目をそむけることでは得られません。起こり得る問題を見据えて代替案(オプションB)を持つといったネガティブに見えるようなことも、高い自己効力感を持つ人は自然にやっています。現実感の欠如を自信と間違えたり、現実をしっかり見ている人を自信がない人と勘違いしないようにすべきです。

たとえ、失敗しても、自分の自信があれば、オプションBを試せます。ただ夢みるだけでなく、様々な仮説を実践し、行動を続けることで、目標を達成できるようになるのです。

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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